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コレカラ会議 #より良い未来につなげる兆し #みんなで考える #日本の未来

第2回 10月28日実施

フィットマッチング

リアルの場でお互いが構えて「一発勝負」だった重要意思決定。特に、これまでなかなかオンライン化が進みにくかった「婚活」「人材」「進学」領域ですが、このコロナ禍においてオンラインへのシフトが加速している事例があります。そこで、これまでとは違う意思決定プロセスの在り方の変化や、未来に向けた兆しについて、データと事例を用いながら「婚活」「人材」「進学」の3領域の話者がお話ししました。

セミナー動画

※当日のものを短く編集したダイジェスト動画となります

セミナーレポート

フィットマッチング

リクルート内の多種多様な事業領域を横断し見渡すことで、世の中のさまざまな「兆し」を見つける「コレカラ会議」。2回目のテーマは「人生の岐路の決め方が変わる、"○○活動"のコレカラ」。今回は「結婚」「転職」「進学」という3領域の話者を迎え、これまでは「一発勝負の対面」の場が前提とされてきた意思決定のありかたにおいて、コロナ禍で一気に加速した変化、コロナ禍と関係なく起きていた変化などについて、リクルートマーケティングパートナーズ ゼクシィ縁結び 恋愛・婚活アドバイザー 桜井 まり恵、リクルートキャリア HR統括編集長 藤井 薫、リクルートマーケティングパートナーズ リクルート進学総研所長 小林 浩が語ります。


左から島 雄輝(モデレーター)、桜井 まり恵、藤井 薫、小林 浩

婚姻者の13.0%が婚活サービスを通じて結婚する時代に

桜井:リクルートマーケティングパートナーズ ゼクシィ縁結び 恋愛・婚活アドバイザーの桜井と申します。『ゼクシィ縁結び』の企画・運営を行っております。

私からは「恋愛・婚活のオンライン化から見えてきた"お見せ合い婚"~お試し期間の発生による行動様式変化~」についてお話できればと思っております。

まずはコロナ前から起きていた市場の変化からお話させていただきます。婚活サービスを通じて結婚した人の割合は、年々伸びており2019年では婚姻者全体の13.0%にものぼります(下図)。また同時に利用経験者も右肩上がりに増加しており、2020年の調査では、恋愛もしくは結婚意向のある恋人がいない独身者の25%以上に婚活サービスの利用経験があるという結果も出ており、今や婚活サービスが当たり前に利用されている環境になってきております。

そしてコロナ禍でも活動を継続していたという方が7割にものぼります。コロナ禍よりも前に、対面を前提とせずとも、オンラインでの活動がある程度当たり前の選択肢として定着してきていたということが大きな要因ではないかと思います。

画面越しのオンラインデートで人となりを知る

続きましてはコロナ禍により一段と進んだ具体的な変化についてお話させていただきます。こちらはオンラインデート機能。ビデオチャット機能を使ってデートをするというものなのですが、画面越しとはいえ非常に利用満足度が高く、オンラインでお相手の人となりを理解したいという理由から利用されています。

また結婚相談所に関してもオンライン化が進んできており、「無料カウンセリング」「入会手続き」「お相手検索・紹介」「お見合い」というこれまで対面を前提としてきたステップがオンライン化されてきております。通常は対面でコーディネーターと話しながら活動計画を立てていくのですがそこもオンライン化され、オンラインでお見合いまでできるようになってきています。

オンライン化でより進化した「フィッティング」までの意思決定プロセスの変化

これはコロナ前から起こってきていた変化であるのですが、「新しい恋愛のプロセス」についてお伝えしたいと思います。まずはオンラインで出会う、そして「相思相Likeな関係」、つまり「この人、なんかいいな」という相手に興味を持つプロセスを経て、「では1回オンラインでお会いしましょうか」となり、その後初めてリアルで会うという流れに変わってきています。

また、対面での一発勝負となってしまうリアルな出会いでは、限られた時間のなかなのでお互い知り得る情報も限定されてしまいますが、オンライン化が進んできたことによって時間の制約が緩和され、一度の対面の機会ですべての情報を得なければいけないという状態から、より多面的に気軽な方法でお互いの情報を見せ合う機会が生まれ、結果として、より深く相手のことを知り、また自分のことも知ってもらうことが可能になってきていると考えています。

今後は、オンラインとオフラインの共存により、よりリアルな場の大切さがキーになっていくと思います。つまり、すべてがオンライン化していくのではなく、リアルだからできること、したいことの選定がシャープになり、相手とどう過ごすことが楽しいのか、相手とどう過ごしたらもっとよく相手のことを知ることができるのかを、今以上に考えるようになっていくと思います。私からは以上です。

 
 

緊急事態宣言下では66.6%、解除後も88.8%がWEB面接を実施

藤井:リクルートキャリア HR統括編集長 藤井です。普段はHR領域で、人と組織の新しい在り方について調査・編集・発信を行っております。今日は皆さんに新しい潮流をお伝えできればと思っております。

私からは、「"場リアル"から"場ーチャリアル"へ・超リアルでディープな出会いへ。コロナ禍のWEB面接で深化するバーチャリアル転職」と題してお伝えします。

コロナ禍で中途転職市場でも新たな採用プロセスの深化が起こっています。以前は対面を前提とした意志決定プロセスだったのですが、半ば強制的に始まったWEB面接の浸透の中で、今までは見えなかった新たな効用が見えてきました。

まずは変化の実態ですが、これはリクルートエージェントを利用いただいている企業を調査したデータなのですが、緊急事態宣言下でのWEB面接の実施率が全体の約2/3、66.6%にものぼり、さらには宣言解除後も88.8%もの企業がWEB面接を継続しているということで、驚くほどオンライン化が進んでいるというのが面接現場での実態です。

安心安全の環境で採用を行い、定着まで結びつけていく

WEB面接を継続している理由で見ると、「安全への配慮」が上位に挙がります。対面での面接を避けたい、また会わなくても面接ができることが分かったため、安心安全の環境に配慮しながら採用活動しているという実態が見えてきました。

ご存じの通り、コロナ前から構造的な人材不足が問題となっていました。ですからコロナ禍でも人材採用を止められないということで、「緊急事態宣言以前から変わらず、採用活動を続けている(64.8%)」「緊急事態宣言により一度は採用活動を停止したが、緊急事態宣言解除後に再開している(19.0%)」という企業をあわせると、83.8%もの企業がコロナ禍でも採用を続けているというのが現状です。

また、深刻な人材不足の背景には、採用しても入社後に辞めてしまうという問題もあります。それに対して今は人事だけではなく、実際の上司や同僚が入社前からきめ細かくすりあわせていくような「職場スカウト採用」という動きも進んできています。

ということでコロナ禍でも安心安全な環境を作りながら採用活動を行い、かつ定着まで結びつけていくというのが現在の中途転職市場の兆しです。

コロナ禍のWEB面接への"強制シフト"を経て、WEB面接での効用の実感が進む

安全への配慮というコロナ禍での「制約」として強制シフトがはじまったWEB面接化ですが、実際にWEB面接を導入している企業がその効用を実感しているという結果も出てきています。企業側からは「面接日の日程調整がしやすい」「選考のリードタイムが短縮できた」「面接担当者の移動オペレーションが省力化」という声が多く、個人からは「リラックスした状態で対話できる」「忙しくても面接が受けられる」などが挙がり、双方にとってのメリットが見え始めています。また、WEB面接で計画数を上回る中途採用ができたという企業の声も聞いております。

オンラインで広がる採用から定着までの新しい戦略

ここでいくつか事例をご紹介しましょう。三菱UFJ銀行、こちらのようなメガバンクでも新規事業部署において、一次面接から入社後配属までをすべてWEBで完結するという事例が出てきています。これによりこれまで出会えなかった遠方の方とも面接できたり、トータルの選考期間が大幅に短縮できたり、人事だけでなく、上司や同僚、さらには役員まで含め入社前後のきめ細かなフォローができるなど、リアル以上に丁寧なコミュニケーションができているそうです。

また、対面接触が基本となる介護の業界においても興味深い取り組みが行われています。社会福祉法人 若竹大寿会では施設の職員採用において業務を体感する目的で、WEBカメラを活用したリアルタイム施設見学会を行ったりしています。それによりエントリーが増え、将来の従業員候補となり得るフォロワーも生まれています。

最後はoverflowというHRtechのスタートアップ企業ですが、この会社はこのコロナ禍でオフィスをすべて手放し従業員はフルリモートで仕事をする「リモート組織2.0」というところまで進んでいるのです。この中でこだわっているのが徹底的な透明化です。入社1ヶ月前からダッシュボードが共有されたり、月次ミーティングへ参加できたり、Slackに参加できたりと社内のコミュニケーションを享受できるようにして、インプットを十分にしてもらう期間にしています。入社後も動画などで組織や文化をきめ細かく共有したりしています。入社後のギャップを最小限にする取り組みは、リモートワークが前提の中でも実施できているのです。

ということで簡単にまとめますと、以下のような兆しが出てきています。
・空間に束縛されない安心・安全な対話場の出現
・時間の小口化により、隙間での対話の実現
・人間の参加体系変容:段階型の面談から同時並行型の面談へ
・カジュアル(自然体)オープン(解放)フラット(対等)
・面談・入社後の生活・働き方のフィッティング機会が増える

特に強調したいのは、以下のふたつです。
・働き方・貢献の仕方への自己編集・相互編集意識が高まる
・対面プロセス偏重が取りこぼしていた意志決定の納得解へ

こんな働き方がしたい、こんな貢献の仕方がしたいということを採用側、求職者側双方がお互いの意見をすりあわせていく、そんななかで意志決定の納得度が上がっていく。こんなことが採用の世界ではどんどん進んでいます。ありがとうございました。

 
 

7万人を超える中退者、ミスマッチの要因は?

小林:リクルートマーケティングパートナーズ リクルート進学総研所長で高等教育の専門誌『カレッジマネジメント』編集長の小林 浩です。高校・大学・社会へとつながるさまざまな進路選択の情報収集・リサーチ・経営戦略などを研究しております。

「高校生の進路選びはDX化によって体験機会が増加。オープンキャンパス(OC)オンライン化による納得度の高い進路選びへ」というテーマでお話をさせていただきたいと思います。

まず、1990年と昨年2019年を比較したものを見てください(下図)。1990年というのが、今の高校生・大学生の保護者世代、または会社の管理職世代が大学に通っていた時代です。大学に入学する18歳人口で比較すると、201万人から118万人と約4割減っています。一方、大学の数は507校から786校と1.6倍に増えています。なぜこうなったかといいますと、四年制大学への進学率が24.6%から53.7%まで上昇し、言い換えるとクラスの4人に1人から半数以上が四年制大学へ行く時代になったということです。

学部名称も経商文工理農を始め、1990年当時は29種類しかなかったものが、規制緩和により「環境」「国際」とか「情報」などが使えるようになり、約24倍の700種類を超えています。また入試方法も多様化しており、1990年に慶應義塾大学がAO入試を導入してから、現在は私立大学でいえば半数以上が「年内入試」といわれるAO入試・推薦入試で入学を決定している状況です。

このように高等教育の量的拡大が進む一方で、入学後のミスマッチ、つまり中退者は増加しており、昨年度は7万人を超えています。

4月時点では3.1%だったWEBオープンキャンパスが9月には45.9%に

こうした入学後のミスマッチを減らすために有効なのが「オープンキャンパス(OC)」です。

高校生が進路選びをする際の重要項目の1位は「学びたい学部・学科・コースがあること(80.4%)」なのですが、2位に「校風や雰囲気が知りたい(47.9%)」が挙がります。ではその校風や雰囲気を何で知るのかを聞いてみると、その1位が「オープンキャンス(79%)」ということになります。そんなオープンキャンパスの参加率を見てみると、1990年頃は56.0%だったのが、2019年には93.0%まで伸びており、ほぼ全員がオープンキャンパスに参加しているということが分かります。ですから「コロナウイルス感染拡大下において"困っていること""今欲しい情報"は何か」と聞いたところ、1位は「オープンキャンパスや説明会情報」という回答でした。

そんな状況もあり、今年はオンラインによるオープンキャンパスが多数行われ、まさに「WEBオープンキャンパス元年」といってもよい年となりました。『スタディサプリ進路』に掲載されている大学のうち、4月末時点ではわずか3.1%だったWEBオープンキャンパスの開催校率が、9月末には45.9%まで急拡大しました。
ただし高校2年生に聞いたWEBオープンキャンパスの参加率で見るとまだ17%。昨年まででいえば、高校2年生時におけるオープンキャンパスの参加率は72%ですから、まだまだ高いとはいえません。しかし、WEBオープンキャンパスの認知度でいえば76%、さらに参加意向も70%ということで、「知らない」から「行ってみたい」に状況は確実に変わってきているといえるでしょう。

オンラインだからできるオープンキャンパスの切り口が人を呼ぶ

我々が「オンデマンド体験型」と呼んでいる東洋大学の事例をご紹介します。リアルではできないことをバーチャルに完全移行して実施している事例です。この大学ではWEB上に体験授業が640本以上あがっているのですが、通常の授業を20分に見やすくまとめているため、1ヶ月で4万人以上が視聴しています。

次が京都の龍谷大学です。こちらは「Ryukoku 27 hours Live」ということで、「24時間テレビ」とか「乃木坂46時間TV」と同じように27時間ぶっ通しでオープンキャンパスを行っています。これらは学生が中心となって発信していくプログラムになっていて、深夜には「キャンパスメイク」や「ぶらりキャンパス」などYouTube的に大学を紹介するようなコンテンツも用意しています。その影響もあり、リアル開催だった昨年に比べると来場者は4倍以上となる5万人以上、来場後に大学の情報を得るためのアプリをダウンロードする数も昨年の約2.5倍に増えています。

いろいろな大学を知ることでミスマッチによる中退者の減少に期待

今年は「WEBオープンキャンパス元年」ということで、これからますます広がって行くことが想定されますが、WEBオープンキャンパスのメリットを高校生に聞くと「お金がかからない(51.8%)」「遠方からでも参加できる(50.8%)」「どこからでも気軽に参加できる(41.3%)」が上位に挙がります。

一方「キャンパスの雰囲気が分かる(17.8%)」という観点をスコアで見ると、まだまだ従来のオープンキャンパスの期待度に比べると低めであり、WEBオープンキャンパスだけではその学校の雰囲気までは分からないと、高校生が考えていることも分かります。

まとめますと、「WEBオープンキャンパス元年」となった2020年。「偏差値・グルーピングによる」大学選びから「より自分の志向に合致した」大学選びができるようなっていくと思います。

「時間」「距離」「お金」の3つのハードルが下がり、気軽にWEBオープンキャンパスに参加できる機会が増えていきます。校風や雰囲気を知った上で自分にあった大学との出会いが増えていくと考えます。そうすると、入学後のミスマッチ、つまり現在7万人以上いる中途退学者の減少という効果も得られるのではないかと考えております。以上です。ありがとうございました。

 
 

モデレーター)以上3名のスピーカーから各現場で見えてきている兆しについて事例やデータを交えてお話させていただきましたが、ここからは3領域の変化から見える現象をまとめてみたいと思います。

この人生の岐路、「一発勝負」ともいえるこれらの領域における意思決定様相の構造的な不には、コロナ前から変化が生まれていたと考えています。「対面」の「一発勝負」という限られた機会の中で情報に触れあうことが前提となるなかでマッチングする双方間に、情報の非対称性が起こりやすいのがこの領域の特徴でした。その結果として、例えば婚活領域でいえば生涯未婚率が高止まり、転職領域では入社後のとまどいからの早期退職が発生、また進路領域でいえば大学中退者が年間7万人以上も出てしまっていること、その多くは個人側と法人側との意志決定後のミスマッチに起因。そしてこのミスマッチを解消するための手法のひとつとして、意志決定時の「納得」に注目が集まりつつありました。

「納得」の意志決定のためのポイントは、「体験の前工程化」だと我々は捉えています。イママデの意志決定フローは、選別した後にリアルの接点を持ち、意志決定してから導入・体験をし、入学・入社・成立となっていきますが、これでは離脱やミスマッチが起きてしまうこともありました。コレカラはオンラインを活用することで、意志決定の前に体験を繰り返すことができる。しかもオンラインならばコストも時間も手間も軽減することができるのでより多くの体験をすることができるようになる。結果、ミスマッチや離脱が減るのではないかと考えています。

しかし、オンラインではすべてを体験できわけるではないので、納得に関わる重要な体験の選定に加え、体験の「小口化」によって選択肢の疑似体験を手軽にたくさん享受できるようになる。また先ほどの雇用の事例にあったような職場見学だったり、進学領域の在学生が作るオープンキャンパスのコンテンツだったり、現場の人間が参加することによるリアリティのある体験となり、より訴求力が増すでしょう。

また受け入れ側でいっても、チーム、全体でやっていこうというムードが生まれ、よりカジュアルでオープン、フラットに対話していくムードになっていくはずです。これによって意志決定の「納得」が生まれ、定着、活躍の早期化などの「フィットマッチング」につながっていく。

イママデの「対面前提で選択肢→意志決定→納得して"比較解"」を選ぶというものが、「リアルとデジタル併用で選択肢→体験→意志決定の"納得解"」を選ぶというものに変化していくと思います。

また生徒、求職者、婚活者においても、イママデは「クローズ・ベター」だったものが「オープン・フィット」になっていき、両者のコミュニケーションにおいても「ヒエラルキー/スコア階層型」だったものが「フラットで多様なつながり」に変化していくでしょう。

そしてそれを発生させ受け入れるために管理したり説得したりするような一方的なコミュニケーションではなくて、現場も巻き込みながら具体的なもので共感を生むようなスタイルに変わっていくのではないかと思っています。

総括しますと、先ほども述べましたが「フィットマッチング」というキーワードがライフイベント領域において起きている事象なのではないかと思っております。

こうした取り組みがそれぞれの業界でより広がっていき、我々としてもそういったことを支援できればと思っております。

2回目となります「コレカラ会議」は以上です。ご視聴ありがとうございました。