就職準備に関する現状(2022年以降の就職に向けて)

2020.9.15

不測の事態に対応せざるを得なかった学生だから可能な経験のつむぎ出し方

まだ収束する気配のない新型コロナウイルス感染症の影響で、戸惑いながら就職活動準備を進める学生の皆さまもいるでしょう。その中で、留学や体育会の部活動で大会出場の機会を失った学生の皆さまは、先々の就職活動で想定していた自己PRの材料がなくなり、焦りを感じているようです。そこで「就職ジャーナル」において、不測の事態に対応せざるを得なかった学生だからこそ可能な経験のつむぎ出し方について専門家が対談しています。その発想の仕方は、留学予定者や体育会に所属する学生の皆さまでなくても参考になるかと思います。ぜひご確認ください。

留学計画が白紙になった学生は何を自己PRできるのか

留学事情に詳しい文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトマネジャーの荒畦 悟(あらうね さとる)さんと、企業の採用事情に詳しい株式会社人材研究所代表取締役社長の曽和 利光(そわ としみつ)さん、そして就職みらい研究所の増本 全(ますもと ぜん)所長が対談しています。

競技大会の中止などで悩む体育会学生の就職活動準備について解説

体育会の部活動に所属する学生の皆さまの中には、競技大会の中止や練習の継続困難などで、活動が制限されている方も多いことでしょう。そこで、就職みらい研究所所長の増本 全と、自身も大学時代にバドミントン部に所属し、現在は体育会学生専任のキャリアアドバイザーを務める川原 優(かわはら ゆう)が、現状で効果的な就職活動準備の進め方について対談形式で解説しています。

インターンシップ実施 学生は「人事も手探り状態」と認識を

2021年卒の就職活動が進むのと並行して、2022年卒の学生の皆さまと大学関係者の皆さまから、新型コロナウイルス禍でのインターンシップ開催の目途や、企業の皆さまの意欲について問われる機会が増えてきました。

4月16日に緊急事態宣言の範囲は全国に広がりました。今後いつかは分かりませんが、事態が一応の収束を見ても、目先の経済動向はなかなか読めません。そうなれば、インターンシップ実施の判断や時期も変わるでしょう。

しかし、見通しは定かでなくとも、現状の検討状況は把握しておきたいところ。そこで、就職みらい研究所が人事担当者を対象に実施した3月6日から8日時点の「緊急調査」(※1)と、3月27日から29日時点の「緊急調査第2回」(※2)を用いて、2022年卒のインターンシップの実態を就職みらい研究所所長の増本 全が紐解いていきます。

※1 【緊急調査】2021年卒採用活動プロセスの見直しの現状-3月6~8日時点人事担当者対象調査-
※2 【緊急調査第2回】2021年卒採用活動プロセスの見直しの現状-3月27~29日時点 人事担当者対象調査-

実施を「検討中」か「わからない」が半数

2022年卒向けのインターンシップ実施状況について聞いたところ、以下のグラフのようになりました。

2020年度インターンシップ実施状況の見通しに関する表

※グラフ内の2020年度インターンシップとは2020年4月~2021年3月に開催されるインターンシップを指します。以下グラフも同様です。

「実施する」企業の割合は、緊急調査第1回(3月6日~8日時点)と緊急調査第2回(3月27日~29日)を比較すると、35.7%から16.8%に半減してはいます。しかし、必ずしも実施しないと判断したわけではありません。「実施しない」企業は22.9%から29.9%と、7.0ポイント増えている一方、「検討中」と「わからない」と回答した企業は41.4%から53.3%と、11.9ポイント増えています。学生は大前提として、企業も手探り状態だという事実を知っておいてください。

その上で、緊急調査第2回で、2022年卒向けのインターンシップを「実施する」と回答した16.8%の企業を参考に、コロナウイルス禍での対応の変化をみていきましょう。

実施企業は回数を維持も、開催は遅らせる傾向

まずは実施回数です。

新型コロナウイルス感染症の2020年度インターンシップ実施回数への影響に関するグラフ

「減らす」と回答した企業は8.0%とわずかでした。「同じ」が46.8%、「増やす」は16.4%でした。ここでも「検討中(わからない)」企業が過半数を占めますが、現時点において「増やす」企業は「減らす」企業の2倍以上多く、近年インターンシップへ注力する傾向が高まっている影響も感じられます。

続いては時期についてです。

新型コロナウイルス感染症の2020年度インターンシップ募集開始時期・実施時期への影響に関するグラフ

募集開始時期は、「同じ」(45.8%)を基調に、「前倒す」企業が10.4%、「後ろ倒す」企業が17.9%と、やや遅らせる傾向に見えます。では、実施時期はどうでしょうか。「前倒す」企業が9.0%なのに対して、「後ろ倒す」企業は20.4%と、募集開始時期よりも実施時期の方が、遅らせる傾向が強そうです。

昨年度までの先輩たちがインターンシップに参加した時期を見ると、大学3年生の8月が最も多いと分かります(※3)。就職活動で現行のスケジュールが採用された2017年度と比べると、8月よりも早い時期に分散している傾向がありましたが、今年はこの潮流が変わるかもしれません。

2017年卒・2020年卒の大学生がインターンシップに初めて参加した時期のグラフ
※3:就職白書2020-就職活動・採用活動の振り返り編-(1.1MB)

繰り返しになりますが、不測の事態で状況は日々移り変わっています。誰にも読めないからこそ、丁寧に情報を収集して、変化に対応していくことが重要です。ただ、大きな視点に立てば、2022年に入社するまで、まだ1年以上あります。焦らず冷静に状況を見極めながら、「働くこと」の意味や「どのようなと働きたいか」の考えを深めてみましょう。