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上司も知らない技術者たちの本音から紐解く 優秀なエンジニアを活躍させる2つのヒント

テクノロジー , マネジメント , 働き方 , 北米

文:鈴木貴視 イラスト:小山 敬介(A.C.O.Inc.)

日本でもアメリカでも、ITエンジニアに対する求人ニーズが加速中だ。
Indeed Hiring Labの調査によると、 全11種の職種カテゴリの中で「求人の件数」と「求職者の人数」の乖離が最も大きかったのは、 ITエンジニアを含むコンピューター・数学関連の職種。 こうした人材不足の状況の中で、ピンポイントで優秀なエンジニアを採用するのは、針に糸を通すようなもの。

一方、既に優秀な技術者が在籍する企業でも、彼らの重要性を感じながらも活かし方が分からないという課題を抱えているケースも。 特に日本においては、エンジニアに対する理解力やマネージメント力について様々な問題を指摘されている。

そういった中で、エンジニアにもっと活躍してもらうには、一体、何をすればいいのか?
リクルートワークス研究所が行った日米で活躍するエンジニアの意識調査をもとに、そのヒントを探ってみる。

常に学び、技術を高める

エンジニア経験のないマネージャーが、彼らの資質を見極めるのは容易なことではない。
まずは、最前線で活躍する優秀なエンジニアの実際の声を聞き、彼らにどんな特性があるのか探ってみたい。

日本

Web系サービス企業・技術顧問

「パズルやクロスワードパズルと同じで、コードを解いた時に充実感があるんです。 コーディングを通じた問題解決にも、頭を使って試行錯誤する、といったような楽しみがある。 ここで成功体験を積むと、コーディングモチベーションを持ち続けることができると思います」

アメリカ

スタートアップ企業在籍・モバイルアプリ開発担当

毎日新しいことを学ぶことが嬉しい。 HTML やCSS などがオールドテクノロジーになっているように、 この分野は技術に関する展開が早いので専門サイトにアクセスするのが日課です」

当然、優秀なエンジニアは技術職だから、その分野への圧倒的な興味を持っている。

  • 「学生時代からオープンソース開発プロジェクトに参加し、重要な機能をコミットし続けていた」
  • 「大学で専攻した人工知能の知見をエンジニアリングに活かす」
  • 「中小企業のCTOに従事したものの、インフラ基盤開発の素質を見込まれ大手企業のエンジニアとしてスカウトされる」
など、そもそも技術を磨くために自らを考え続けている人も多い。

しかし、ここだけにフォーカスを当ててしてしまうと、単純に"好きだからやっている"と捉えられてしまいがち。 優秀なエンジニアというのは、"自分の好き"を他の何かに転換しようとする意識も強く持っている。

自らの技術を利用者や社会のために活かしたい

アメリカ

スタートアップ企業・副社長

「私には、世の中を変えたい、インパクトを与えたい、何か違うことをしたい、という欲求があります。 その欲求を可能にするには会社が生き残らなければ意味がない。 会社が生き残るためには、扱う商品が多くの人に愛されなければならない。 そのためには、利用者の視点(Product Perspective)が不可欠です。 まずユーザーにとって楽しい、それから役に立つ、 というインパクトがないとまず使ってもらえないです」

「日系企業は9までできていても、残り1ができていないことが多い。その1の部分に対して、自分の技術が貢献できると思った」、 「興味を持って何をしたいのか、世界を変えたいのかを考えることが必要」など、自分の技術を世の中に役立たせたい、といった意識を持ち併せている人が多い。

また、そういった取り組みを、会社・社会に認められることに大きな喜びを感じている部分も。

アメリカ

シリコンバレー中堅企業・UI担当

「Facebook のAPI を活用して、ユーザー認証に Facebook のアカウントを利用。 それによって、ユーザー名とパスワードの入力といった手間を省きました。 3人のチームで約1カ月間のプロジェクトでしたが、数百万人に影響を与え、友達に"自分がやった"と自慢ができましたし"俺はすごい"と思った

もちろん、エンジニアにも色々なタイプがいるので、これらが全てのエンジニアに当てはまるとはいえない。 しかし、さまざまな意見から分かるように、エンジニアの本音を聞き出すことで特性や資質のようなものが垣間見えてくる。
そして、優秀なエンジニアの仕事に取り組み姿勢は、自分達が手掛ける事業や技術によって"社会に貢献したい"という志を持ち合わせている。

知識や技術だけでなく、環境がもたらす効果

優秀なエンジニアが何を考え、どう仕事に向き合っているのか理解したところで、彼らを取り巻く環境にも注目してみたい。

IT業界の変化はめまぐるしいため、5年後や10年後のキャリアを見据えている者も多い。 とはいえ、今現在、開発やアーキテクチャに専念しているエンジニアが、 今後における自分の価値の活かし方について不安を抱えているのも事実。

日本

Webサービス企業・アプリケーション開発

「将来については何もわからないと不安だが、ロールモデルが確立して、 10年後ああなる、と思ってしまうのも困る」

ちなみに、多くのエンジニアは、キャリアの方向性がはっきりしていることがモチベーションにも繋がるという。 であれば、将来的にスタッフを率いるようなマネージャーやプロデューサーの立場になるのか、 今の技術をもっと追求していくようなスペシャリストになるのかといった能力を見極め、 立ち位置を明確に示してあげることが大切だといえる。

そして、キャリアの方向性がはっきりした集団は、"個"のモチベーションだけでなく、"チームとして"のモチベーション向上ループを生み出していく。

日本

企業向けWebサービス会社・基盤アーキテクチャ設計開発担当

「例えば、Ruby のすごい人達が集まっているというようなイメージを何となく作っていると、その人達と一緒に働きたい、そこに入りたい、その仲間になりたいと思った人達が集まってくる

海外在住の日本人

Web系サービス企業・データベース開発、インフラ基盤開発担当

世の中が変わるところにいるべきだと思います。何かが変わるタイミングに、そこにいる人達と一緒に仕事をして仲良くなることがすごく大事。 将来的には、自分のチャレンジに対して協力してもらえます」

"一人で黙々と作業をこなしている"
エンジニアに対しては、そんなイメージも付きまとう。 しかし、社内外において、自分よりも豊富な知見や高い技術力を持ったエンジニアとの交流がモチベーションを高めている。

ここで大切になってくるのは、やはり彼らの上司やパートナーであるマネージメント層のあり方ではないだろうか。

自分がやらずに誰がやる、と思える場所にいるかどうか

アメリカ

Webサービスのスタートアップ企業・CTO

「プロダクトマネージャーとの関係で、どうしても会社の幹部から「このサービスはこうしてくれ」という話があります。 それだけであれば一方通行の関係になりますが、ここでフィードバックループを双方向で持ち、多少柔軟性を持つ。 会話のなかで「わかりました、でもこれは時間かかります」「では、上にかけ合うよ。その代わり頑張ってやってくれ」のように進めることが大事だと思います」

組織によっては、品質を管理するプロダクトマネージャーや人事的な要因を管理するエンジニアマネージャーなど、マネージャーそれぞれの役割が異なってくるが、 その中で、一方的に指示を出して管理するのではなく、能力を最大限に発揮してもらうにはどうすればいいのか。

アメリカ

Webサービス企業・UI担当

「開発の現場では、エンジニアに遊びを持たせるような環境を作ったりもします。 というのも、今大きくなっている IT企業は、初期の段階では「こんなことやったらどうだろう」「全然駄目じゃないか」「こっちはどう?」っていう時期がすごくあったわけです。 要するに試行錯誤ですね。そういったことから何かすごいものが生まれてくるのは当然のこと。 ですから、間違いを恐れてはいけないということを強調したいです」

マネージャーとエンジニアが良好な関係を構築するためにも、多角的な視点で環境や関係構築を考慮する必要がありそうだ。
特に環境に対して「エンジニアが試行錯誤できる環境は、可能な範囲内で確保しておく」といった「失敗のマネージメント」を挙げる声は強い。

アメリカ

Webサービス企業・エンジニアのマネージャー

失敗はいいことだと認識するべきです。失敗は成功への最短距離で、これが大事なことです。罰してはいけません。 会社は勇気をもってその間違いに対して修正するアクションをとる。 アクションをとっていかないと、その会社は最終的には死んでいくと思います」

つまり、どんな経験も評価になる、ということを認識してもらうことが、エンジニアが持つ能力の最大化に繋がる。 優秀なエンジニアほど、キャリアアップにともなうヘッドハンティングなど働く環境の選択肢は増えていくもの。 マネージャーとしては、現状のポジションを最大化するだけでなく、スペシャリストやマネージャーなど将来的なキャリアについても考える必要性がありそうだ。

最終的には、本人にとって「ここにいたい」と思ってもらい、いかに満足度を高められるかが鍵になるだろう。

突出したITエンジニアは"個 × 場"のシナジーによって生まれる

実際のエンジニアの声から"個"と"場"が重要だということが見えてくる。そしてそこには、それぞれ3つの要素がある。

突出したITエンジニアは

《個の特性》

  •  1. 心から好きな仕事にのめりこんでいる。
  •  2. 世の中に貢献したいという信念を持っている。
  •  3. 他人との差別化を意識して立ち位置を決めている。

《場の特性》

  •  1. 優秀なエンジニア同士のネットワークのなかにいる。
  •  2. 組織・社会のなかでエンジニアがど真ん中にいると感じられる。
  •  3. 失敗を含めたどんな経験も評価される。

2つのポイント、6つの要素から導く、優秀なエンジニアを育てるためのヒント

上記のように突出したITエンジニアが生まれるポイントが見えた。
では、今現在の御社の状況はどうだろうか?
エンジニアが常に技術力を高め、好きな仕事に集中できる環境はあるか?
どんな失敗も評価されているか?

今回の調査で浮き彫りになった"個"と"場"といった2つのポイント、そして6つの要素からエンジニアを見直すと、 突出したITエンジニアを生み出すヒントが見えるかもしれない。

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