様々なシーンに存在する「マッチングモデル」

様々なシーンに存在する「マッチングモデル」

文:モリジュンヤ

需要側と供給側。双方の調整を行い、取引や販売の仲介を行う「マッチング」を紹介。

需要側と供給側。双方の調整を行い、取引や販売の仲介を行うことを「マッチング」と呼ぶ。

このマッチングと呼ばれるビジネスは、あちこちに存在している。たとえば、物件を探すときに活用する不動産仲介会社。転職時に転職支援会社を通する場合も、マッチングが行われている。

需要側と供給側、それぞれ多くの数を集める必要があるため、情報を集めやすいインターネットの普及とともにマッチングサービスも広まった。近年、話題となったマッチングモデルのサービスといえば、CtoCのフリマアプリだろう。

フリマアプリは「メルカリ」や「Fril」などに代表され、出品者がスマホアプリから商品を出品し、購入者もスマホアプリ上から購入することが可能なサービス。人気アプリになると、わずか数分で商品が売れるというのだから、脅威的なスピードだ。

以前、紹介したことのある「クラウドソーシング」もマッチングモデルのひとつだ。クラウドソーシングサービスは、仕事をお願いしたい発注者と、フリーランスを始めとする受注者に分かれ、そのマッチングを行う。

大手クラウドソーシングサービスに加えて、翻訳やデザインなど、特定領域に絞ったクラウドソーシングサービスなども存在している。

シェアリングエコノミーとマッチング

シェアリングエコノミーが注目されるきっかけのひとつとなったサービス「Airbnb」も、マッチングモデルのサービス事例だ。同サービスでは、空き部屋を持つオーナーと、部屋を利用したいユーザーのマッチングを行っている。

「Airbnb」は2015年2月の段階で、3万以上の都市に展開。サイト上には、100万件以上の部屋が掲載されている。「Airbnb」は、2016年にブラジル・リオデジャネイロで開催される、リオ五輪の公式サプライヤーにも決定してる。オリンピック・パラリンピックというグローバルなイベントにおいても存在感を発揮している。

Lyft」という北米のライドシェアリングサービスは、自動車交通における移動中の空席を埋めようというサービスだ。ドライバーと車に乗りたいユーザーをマッチングし、助手席や後部座席など空いている席をシェアする。現在、北米を中心に60都市以上に普及している。

大きく成長するマッチングサービスの他にも、マッチングの対象が多様化する傾向も見られる。家事をお願いしたい人と時間がある人のマッチングを行う「CaSy」や「Any+Times」といった家事代行サービスや、犬の飼い主とドッグシッターをマッチングする「Dog Huggy」というサービスも登場している。

インターネットの成長により、かつて以上に生活に浸透し始めているマッチングサービスたち。だが、マッチングサービスたちは、スマートフォンをはじめとする新しいテクノロジーの普及により、さらに進化しようとしている。

スマートフォンがマッチングに与える影響

マッチングの仕組みだけではなく、スマホならではのUIで、マッチングをしやすくしているサービスも存在する。

Tinder」は人と人のマッチングサービスで、設定した条件とユーザーの位置情報に従って異性の写真が表示されてくる。ユーザーは写真を見ながら、気に入った場合は、画像を右にスワイプし、興味がなければ、左にスワイプすることで直感的に選んでいくことができる。

Grip」というアプリは、ビジネスパーソン向けのマッチングサービスだ。Tinderと同様に、スワイプ型のUIを用いていて、人々のマッチングを促している。こうしたUIは、「Stylect」という自分の好みの靴を探すことができるアプリのように、ファッションとも相性が良い。

位置情報などスマートフォンならではの機能を活かしつつ、UIでも直感的に情報を選びやすくしマッチングさせるなど、スマホだからこそ可能なマッチングサービスが登場してきている。

人工知能により進化する「マッチング」

最近、話題になることが増えた人工知能は、マッチングに影響を与える可能性が大きいテクノロジーだ。

マッチングの精度を向上させるには、膨大な量の情報を処理することが求められる。人間がその作業を行っていては、とても人手が足りない。そこで人工知能の出番だ。

Lemon」という日本のスタートアップが最近、リリースしたサービスは、人工知能による審査を実施するSNS。「30%以上の既存メンバーとの親和性がある」と判定された場合に限り、入会が可能となる。この親和性があるかどうかの判断を行うためには、総当り判定を実施する必要があり、この膨大な作業を人工知能エンジンが実施する。

ヒューマンリソースマネジメントにビッグデータを活用する取り組みは、数年前から取り組みが始まっている。SPIの結果や、訪問した企業サイト等のデータを活用すれば、ユーザーに合った企業をレコメンドすることも可能になってきている。

ここに人工知能を組み合わせることで、さらに高い精度でレコメンドをすることが可能になる。「mitsucari」、「grooves」、「TalentBase」など、人工知能を使った就職のマッチングサービスは、すでに複数のプレイヤーが登場している領域だ。

スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及により、これまでは取得できていなかったデータが収集可能になると、より人工知能は力を発揮するようになる。今後、転職や購買活動など、人の生活に関わる様々な場面で、人工知能を用いて精度の高いマッチングを提供しようというサービスが増えるだろう。

需要側と供給側、互いの期待を揃えていくことがマッチングにおいては最も重要になる。人工知能を始めとするテクノロジーの普及により、マッチングはこの先さらにその精度を向上していくことが予測される。リクルートの人工知能研究所「Recruit Institute of Technology」でも、産業と生活者を結びつける「No.1のマッチングサービス」の実現に寄与する技術の研究に取り組んでいる。

自分が求めている情報がレコメンドされる社会において、人々の生活はさらに便利になっていくだろう。

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