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『伝え方が9割』佐々木圭一氏に聞く、グローバル時代に活きる"伝える技術"

グローバル , グローバル人材 , ビジネススキル , 多様性

文:友光だんご 写真:斎藤隆悟

グローバル化が進むビジネスシーンを生き抜くための「伝える技術」とは何か? ベストセラー『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一氏に聞いた。

あなたは自分が「伝え上手」だと思うだろうか? ましてや、職場に海外の取引先が訪れた。そんな時、上手く会話できると自信を持って答えられる人は、そう多くはないのではないか。

日本人のなかにはコミュニケーションに苦手意識を持つ人が少なくない。しかし、『伝え方が9割』の著者である佐々木さんは言う。「それはやり方を知らないだけ」なのだと。彼が発見した伝え方の技術とは、そして国を超えて共通するコミュニケーションの本質とは何だろうか?

「伝え方」の技術を書いた著書が、中国でも大ベストセラーに

コピーライターとして華々しく活躍する佐々木さん自身、元々は「伝え下手」だったという。にも関わらず、新卒で入った会社ではコピーライターとして配属され、1年で10kg太るほどのストレスに悩まされた。しかし、その経験を通じ、彼は「伝え方の法則」と出会う。

佐々木 圭一(以下・佐々木)「コミュニケーション能力はセンスではなく、技術なんです。そのことに気づいて以降、コピーライターとして数々の賞をいただくなど、私の人生は変わりました。『伝え方の技術』を知ることで人生を切り開く経験を、多くの人にしてほしい。そんな想いから『伝え方が9割』という本を書いたんです」

2013年に出版された著書『伝え方が9割』は多くの人たちから支持され、シリーズ累計127万部を突破。しかし、その人気は日本だけにとどまらなかった。2016年に発売された中国語版は半年間ビジネス書ランキング1位。20〜30代の働く若者たちに、職場やビジネスシーンでのコミュニケーションを学ぶ本として支持されているという。

佐々木 「中国で売れていると聞いて、はじめは『なぜだろう』と思いました。理由を聞いてみると、日本でも中国でも、仕事における人間関係で悩むのは同じだということがわかったんです。『伝え方が9割』は、書いてある例文をそのまま普段の会話で使うことができ、再現性の高い内容です。その点が支持されているのだと」

中国の若者も、我々と同じように職場でのコミュニケーションに悩んでいる。意外にも思えるこの事実からわかることがある。それは『国が違えど、コミュニケーションの本質は変わらない』ということだ。

コミュニケーション力の違いは国民性ではなく、「習ったことがあるか」の違い

「欧米人はコミュニケーション上手、日本人は伝え下手」という一般的なイメージもあるように思う。一体なぜ、伝え方に差が生まれるのだろう?

佐々木 「欧米では、コミュニケーションの授業が義務教育のなかにあります。小学校から始まり、中学校では『ディスカッション』『スピーチ』『ジャーナリズム』の3科目に増える。一方、日本では、そんな授業はありませんよね。だから日本人は伝え下手、と言われるんです。習ったことがなければできないのは当然です。かけ算でもなんでも同じでしょう? 逆に考えれば、『学べばできる』んですよ」

コミュニケーションはなにも特殊技能ではない。差が出るのは、ちょっとしたコツを知っているかどうか。例えば次のようなものだ。意中の女性をデートに誘う場合、「デートしてください」と言うのではなく、「驚くほど美味しいパスタの店と、石釜フォカッチャの店のどちらがいい?」と聞く。相手に選択の自由を与えるだけで、デートに行きたいという目的の達成率はグンと上がる。

技術を知り、普段のコミュニケーションのなかで「伝える訓練」を重ねること。それだけで、日本人でも伝え上手にはなれる。ここからは、なぜ佐々木さんの「伝え方」が相手の心に刺さるのか、せまりたい。

重要なのは「相手のことを考えて話す」こと

コミュニケーションの本質とは「相手に何かを伝える」こと。だとするなら「相手に伝わるように伝える」ことこそが重要だ。会話のキャッチボールにおいて、相手が取りやすい場所に、取りやすい速度で投げること。佐々木さんの見つけた「伝えるコツ」の一つは「相手のことを考えて話す」ことだった。

佐々木 「私は2年ほどロサンゼルスに住んでいたことがあります。現地に住む欧米の友人と久しぶりに話す際には、自分でも『性格が変わったな』と思うくらい話し方を相手に合わせて変えます。より大げさに、よりポジティブに話しているんです。日本語は抑揚がなく平板なので、我々の感覚で普通に喋ると怒ってるように聞こえるらしくて。相手のルールで話すことこそ、もっとも伝わる方法なんです」

相手のルールで話すということは、異世代におけるコミュニケーションでも同様だ。例えば「最近の若者は〜」という異世代間での会話の通じなさを嘆く言葉がある。なぜ、若者に話が通じないのか。それは時代によってコミュニケーションが変化するからに他ならない。若者と年配の人では、喋る速さも、使う言葉も違う。

佐々木 「年上の人が自分のルールで喋るから、若者に伝わらないんです。そこで『最近の若いものは』と愚痴っても仕方がない。伝えたければ、自分が変わらなくては。相手はコントロールできませんが、自分はコントロールできますよね。これは相手が海外の人であろうと同じ。人それぞれ、生きてきた時代や文化は違いますよね。そんな多種多様な人たちにものを伝えるためには、相手の文脈で話すことが重要なんです」

英語を流暢に話せるかどうかではなく、詰まりながらでも、いかに相手のことを想像して話せるか。それこそが上手に伝えるための秘訣なのだと佐々木さんは言う。

佐々木 「いくら淀みなく話せても、話の中身がなければ商談も成立しないでしょう。だから海外の人と話す際には、相手の国のことを知ろうとする姿勢が必要です。日本に来たら日本に合わせろ、なんて態度では上手くいかないでしょうね。『英語が喋れる=仕事ができる』と思われていた時代はとっくに終わりかけています。時代とともにコミュニケーションは大きく変化しているんです」

コミュニケーションが変化し続ける時代に、伝え方はどうあるべきか

佐々木 「日本人はやはり、伝え下手な一面があります。とってもいい商品を作ることができるけれど、作って満足してしまい、その良さを世の中に伝えることは苦手です。」

「男は背中で語る」ことがよしとされた時代もあった。しかし、現代のコミュニケーションをめぐるスピードのなかでは、誰もわざわざ背中まで読み取ってはくれない。だからこそ、私たちが変わらなくてはいけないのかもしれない。「変わるといっても......」という人は多いだろう。でも安心してほしい。伝え方は学べる。

佐々木 「伝え方はDNAでもセンスでもなく技術。グローバル化し、個人の発信力が求められる現代において、伝え方を知っているかどうかは非常に大きな差になってきます。だからこそ私は『伝え方は学べる』という事実を、1人でも多くの人に知ってほしいんです」

プロフィール/敬称略

佐々木圭一(ささき・けいいち)

上智大学大学院を卒業後、1997年博報堂に入社。もともと伝えることが得意ではなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。ストレスから1年間で体重が15%増、アゴもなくなる。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。後に、伝説のクリエーター、リー・クロウのもと、米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。
日本人初、米国の広告賞「One Show Design」でゴールドを獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードにて、金賞を含む計6つのライオンを獲得するなど、合計55のアワードを入賞受賞。郷ひろみ・Chemistryの作詞家として、アルバムオリコン1位を2度獲得。2014年、クリエイティブブティック「株式会社ウゴカス」を設立。日本のコミュニケーション能力をベースアップさせることを、ライフワークとしている。


『伝え方が9割』

『伝え方が9割』

著者:佐々木圭一/1,512円(税込)/発行・発売:ダイヤモンド社
入社当時ダメダメ社員だった著者が、なぜヒット連発のコピーライターになれたのか。 本書には、心を揺さぶる「伝え方の技術」が書かれてある。 膨大な量の名作のコトバを研究し、「共通のルールがある」「感動的な言葉は、つくることができる」ことを確信。この本で学べば、あなたの言葉が一瞬で強くなり人生が変わる

ダイヤモンド社」 全国書店、ネットショップなどで発売中。

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