塾講師と生徒が関わる時間のなかで、勉強が好きになる世界を 『スタディサプリ』学習塾向けサービス提供に込めた期待

塾講師と生徒が関わる時間のなかで、勉強が好きになる世界を 『スタディサプリ』学習塾向けサービス提供に込めた期待

2012年に「教育環境格差の解消」を目的に誕生したサービス『スタディサプリ』。高校生向けを中心に学習動画を数多く提供し、個人ユーザーはもちろん、自治体・学校でも学校教育のサポートツールとして利用いただくまでになりました。
2021年9月からは、学習塾・予備校へのサービス提供を開始。全国約240教室にご利用いただいています(2021年10月時点)。この取り組みを先導した、弊社従業員の棚橋広明に、学習塾へサービス提供を決断した背景、そしてこれからともに創っていきたい未来について、聞きました。

実は10年前から存在したニーズだった

―学習塾へサービスを提供する、とは具体的にどのようなことですか?

棚橋:学習塾の講師の“サポートツール”として機能することを想定しています。
学習塾は、受験や学校の授業についていく補習の位置づけで通塾する生徒が大半です。そのため、塾に求められているのは“学習成果”。一人ひとりの弱点を細かく可視化し、生徒の学習時間の質を上げる、そのための場ですが、現実はそれが難しい塾もあります。多忙さや講師不足が重なり、生徒一人ひとりに合わせた指導ができないのです。そこに『スタディサプリ』の“生徒一人ひとりの学習進度に合わせた課題やコンテンツを配信する”機能が加わることで、生徒の学習時間の質向上をサポートしていくことができると思っています。

―サービス提供に至った背景は何でしょうか?

棚橋:きっかけは、年間100件ほどの全国の学習塾からの問い合わせです。
実は、全国の学習塾から「スタディサプリを利用したい」という問い合わせは、2012年のサービスローンチ当時からから継続的にいただいていました。「英語や数学の講師はいるが理科や社会の講師がいないためスタディサプリを使いたい」「塾では直接の授業はやらずコーチングで学力定着を図りたい」など理由はさまざま。
私自身、大学生時代に4年間続けたアルバイトは塾講師でして。たくさんの生徒を指導してきましたが、時には自分が苦手な教科も教える必要があって。その時感じたのは、残念ながら、生徒は先生を選べない、ということ。勉強するために通っているのに、偶然担当になった先生によって、勉強を楽しいと思えるかどうかが左右される、そんな塾の状況をいつか変えたいと思っていました。ですから、『スタディサプリ』は塾からも求められているサービスであるという確信はありました。

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「単元テスト」の開発で、学習塾でも使いやすいサービスが実現

―それで、それまで学校の先生と生徒向けに提供していたサービスを、学習塾にも展開しようと考えたわけですか?

棚橋:いやいや、話はそう簡単ではありません。学習塾への提供に踏み切るために、どうしても開発すべき機能があったんです。それが、生徒一人ひとりの弱点を細かく把握するためのアセスメントです。模試などの生徒の相対的な立ち位置を把握するテストでは、出題難易度の幅が広く、出題範囲の網羅性は低くなります。これだと、今どこが分かっているか、いないかが把握できません。そのため「単元」ごとの細かい粒度と頻度で、生徒の学習理解度を測るオンラインでのアセスメントが必要でした。この機能を開発できたのが2021年になります。4月から先駆けて高等学校にも提供開始しているものです。
学習塾では、「単元テスト」として、管理者である講師が適切な頻度で配信でき、学習者である生徒の回答もオンラインで完結。小問単位で明らかになった生徒一人ひとりのつまずきに連動した最適な課題を、手間なく配信できる「フォローアップ配信機能」もあります。講師がこれらを組み合わせて使うことにより、単元ごとのサイクルで、理解度を測り・確認し・フォローする、という一連の流れをシームレスに実行できます。塾での学習シーンにフィットする機能を揃えることができたことで、サービス提供が実現したんです。

―塾のニーズはかなり以前からキャッチしていたのに、「単元テスト」の開発が今になったのはなぜですか?

棚橋:そうですよね。『スタディサプリ』は「教育環境格差の解消」を掲げて2012年からサービスを開始し、オンラインでの学習を個人や学校に普及させるべく、営業担当が学校の課題や目指す方向性をヒアリングしながら活用方法を共に模索し、足りない機能を最新のテクノロジーを活用してプロダクトに装着していく、というサイクルを回し続けてきました。しかし2020年の段階でも、「オンライン学習が日本において普及したとはまだ言い難い、引き続き丁寧に伴走しながら地道に拡げていこう」というのが自分たちの認識でした。
そこへ、コロナ禍で全国の教育機関が臨時休校に。オンライン学習の利用を検討する問い合わせも急増し、「まずは学校で十分に活用いただいてから」などと悠長なことを言っていられなくなったのです。家庭、学校、そして塾や予備校、といったあらゆる教育環境で、オンラインを組み合わせることで防ぐことができる機会損失があるなら、同時並行で踏み出していこう、ということで、急速に準備をしていった次第です。

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ますます高まる、学習塾という「場」への期待

―既に利用中の学習塾からはどんな反響がありますか?

棚橋:実は初年度は、200校程度に限定して利用いただいています。『スタディサプリ』共通のスタンスになりますが、プロダクトをリリースして終わり、ではなく、活用のフォローをさせていただくなかで、学習塾でのベストプラクティス、つまり学習効果や講師の負担軽減を生み出すための最適な運用方法をともに作っていきたいと思っているためです。導入いただいた約240校の学習塾の目的も、大半が「生徒の自主学習の質を高めたい」というものです。
現在は、さまざまな活用方法が生まれている段階です。塾のオリジナル教材に一律に取り組んでいただきつつ、生徒の苦手度合いに応じて『スタディサプリ』から課題を配信し、生徒に取り組んでもらうところ。『スタディサプリ』の「単元テスト」で理解度を測定し、8割の正答率であれば生徒が好きなように先に進める使い方をしているところなど。塾の特徴や方針に沿って活用いただいています。『スタディサプリ』としては、安価で高品質な学習の機会提供を増やし、教育環境格差を解消していくことを使命としているので、塾の指導方針に沿った形でうまく取り入れていただく事例がでてきていて、うれしく感じます。引き続きそのためのサポートに力を入れていきます。

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―『スタディサプリ』が進化すると、いずれ塾や予備校は不要になるのでしょうか?

棚橋:それは『スタディサプリ』ローンチ当初からよく質問されてきたことですね。正直なところ、約10年間オンライン学習の普及に努めてみての感想は、「場」としての必要性は変わりそうにない、ということです。
放課後に、学校とはまた別のコミュニティに集い、勉強をする一体感。受験など、特化した目的のための専門的なアドバイス。講師が適切なタイミングで必要なテスト・課題を配信し、生徒が自分のペースで学習に取り組むことができる安心感。そういった価値は、ひとりで知識をインプットすることや、AIが一方的に指定してくる課題をクリアすることとは異なります。その意味では、講師に求められる役割も「Teacher=教える人」だけではなく、「Coach=伴走する人」へと拡がっていくことを期待されていくかもしれません。そうなると、講師はより一層、生徒一人ひとりに時間を費やす必要がでてきます。講師の方々の業務効率化や、塾全体の業務支援・経営課題解決といった分野においても、リクルート全体でならサポートできることがあるのではと考えています。
塾で生徒を教えていると、分からないところが分かった瞬間にとてもいい顔をするんです。その繰り返しで勉強が好きになる。塾の講師の皆さんが生徒と関わる時間を効率的に使い、そんな瞬間がたくさん生まれるように、これからも『スタディサプリ』としてサポートしていきたいです。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

棚橋 広明(たなはし・ひろあき)

リクルート まなび領域プロダクトマネジメント室 教育支援プロダクトマネジメントユニット コンテンツマネジメント部 部長

大学で経営システム工学を学び、卒業後、外資系戦略コンサルティングファームへ。事業戦略の策定から業務改革・システム導入などの経験を経て、2015年リクルートマーケティングパートナーズ(現リクルート)に入社。教育事業領域での開発基盤刷新、商品・新サービス企画などのマネージャーを経て、2020年4月より現職

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