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物流業界が直面する「2024年問題」物流企画関連求人、2014年比で17.49倍に増加「物流のデジタル化」に関わる求人は2014年比で14.76倍に増加 異職種からの転職も増加。抜本的な仕組み改善のための人員ニーズが高まる

株式会社リクルート

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株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)は、「物流業界の生産性向上」に関する求人と転職の動向についてまとめましたのでご報告いたします。

物流企画関連求人は2014年比17.49倍、「物流のデジタル化」に関わる求人は14.76倍に増加

解説者:リクルート 物流領域専任コンサルタント 吉川 宗

物流業界において、貨物1件当たりの貨物量は減少している一方で、物流件数は年々増加しています。
これは、EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化によって、必要とされているときに必要な数だけ配送する「物流の小口化・多頻度化」が進んでいることが背景にあります。
また、2010年度以降、トラックの積載率は40%に満たない水準で推移しています。
そんな物流業界において、物流企画関連求人や、「物流のデジタル化」に関わる求人が増加しています。
『リクルートエージェント』における求人数推移を見ると物流企画関連求人は2014年を1として、2023年は17.49倍、「物流のデジタル化」に関わる求人は14.76倍に増加しています。
運輸・配送・倉庫などを中心にサービスを展開する物流業界の企業のみならず、メーカーなどの事業主側も物流部門強化のために求人を増やしています。物流の仕組み自体を改善し、生産性の向上を実現する狙いがあります。
こうした動きを受けて現場では少しずつ生産性向上を実現する事例も出てきています。
物流マッチングプラットフォームの活用や共同配送による積載率の向上、荷主側の物流プロセス変革によるドライバーの待機時間削減などが少しずつ進んでいます。
「2024年問題」で輸送能力の不足が懸念される物流業界において、企業はこれまでの常識を見直し、生産性向上のための抜本的な仕組みの改善が求められているのではないでしょうか。

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物流企画関連求人への異職種からの転職者は、2014年比7.60倍と同職種出身者の3.71倍を大きく上回る

物流の小口化・多頻度化によって物流件数が増加する中で、プロセス上の「品質」「コスト」「生産性」を管理する「物流企画」や「物流管理」「輸配送管理」などの物流企画関連求人が増加しています。
2023年の物流企画関連求人への転職者は全体で、2014年比5.46倍に増加していますが、異職種からの転職は2014年比7.60倍と同職種からの転職の3.71倍を大きく上回り推移しています。

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「物流管理」への転職事例
中でも「物流管理」求人への転職では、アパレルや小売りなどで販売・サービス職経験のある方の転職が目立ちます。需要予測に基づく在庫管理経験や、売上などの数値管理能力が「物流管理」の業務プロセスと親和性があり、そのスキルを高く評価され採用されるケースが増えています。
実際に転職者からは以下のような声があがっています。

「物流プロセスは工程が多く、複雑な分析能力を求められることから自己成長につながる」
「大人数のマネジメントに携わるため、大変な反面、マネジメントのスキル向上が期待できる」
「物流の重要度がますます高まる中で、社会貢献性の高い仕事に携われることでモチベーションが高まる」

自身の成長につながるスキルが身に付くことや、社会貢献性の高さなどに魅力を感じているといった声が目立ちます。

「物流のデジタル化」に関わる求人の増加背景

物流業界では生産性向上のために、他業界よりも比較的遅れていたデジタル化を推進しようとする動きが見られます。そうした流れを受けて、物流とITを融合したサービスを提供する、「IT・インターネット業界の物流テック」求人や、「物流業界のITエンジニア」求人が増加しています。

「物流業界のITエンジニア」への転職事例
社内にデジタル系の部門を設立する企業も増えており、システム開発等を請け負うSIer企業から、「物流業界のITエンジニア」に転職をするケースが近年増えています。
実際に転職者からは以下のような声があがっています。

「現場の課題を吸い上げて、上流から企画を考えられる点に魅力を感じる」
「予算の大きさやプロジェクト規模の大きさなど、経営の本気度を感じ入社を決めた」
「リモートワークと出社のハイブリッド勤務ができることや残業時間の短さなどの働きやすさが魅力」
「2024年問題を迎え、転換期にあるからこそ、課題の大きさや新たな挑戦ができることに魅力を感じる」

企画の上流から携われることやプロジェクトの規模、働きやすさなどに魅力を感じる声が多くあがっています。

デジタル化推進のための課題、解決策

物流業界は長らくデジタル化が遅れており、デジタルに不慣れな側面も見られます。
ただ単にデジタルツールを導入するだけでは、現場で適切に運用されずにデジタル化が進まないということも考えられるでしょう。
まず乗り越える必要がある課題は、デジタルツールをいかに現場に浸透させていくかです。
デジタルに不慣れな方でも使いやすいUI/UXにすることや、システムの使い方を丁寧にサポートする支援機能も重要となってくるでしょう。
また、社内のデジタル化推進を担う「ITエンジニア」の採用も重要な課題となります。
彼らが働きたいと思えるような環境づくりや、デジタル化にかける経営の本気度も重要になってきます。
業界全体を広い目で見ると、「物流テック」関連のサービスも急激に増えてきており、物流業界のデジタル化の兆しが徐々に見え始めています。
一方で現状は、デジタル関連サービスが乱立しており、本当の意味での全体最適化ができていない状況と言えるのかもしれません。今後、デジタル化をより確かなものにするためにも、業界全体でプラットフォームの最適化を図るなど、各ステークホルダーが手を取り合ってデジタル化を推進していく動きが必要になってくるのではないでしょうか。

『Airウェイト』の取り組み

リクルートは、行列や順番待ちなど待ち時間を解消する受付管理アプリ『Airウェイト』を提供しています。主には、飲食店や医療機関、銀行などで利用されていますが、近年は物流業界にも広がりを見せています。2024年問題も見据えて、生産性向上を実現するサービスとしてニーズが高まっています。
現在、ドライバーの労働時間削減のために、特に注目が集まっているテーマの一つが倉庫での荷待ち時間の短縮です。荷待ち1回当たりの待ち時間が平均で約1時間。長いと2、3時間待つこともあるといわれています。
『Airウェイト』の活用によって、荷待ち時間を可視化することができ、ドライバーは別の場所で他の荷下ろしを優先させたり、休憩時間に充てたりと、待ち時間を有効活用するケースが増えてきています。
倉庫会社においても、待ち状況の管理がしやすくなったことで、状況確認や呼び出し連絡にかかる時間が削減できた事例などが生まれています。
『Airウェイト』を活用した取り組み詳細は以下URLをご参照ください。実際に取り組まれている事例として、大阪に本社を構える堺鋼板 株式会社の紹介も可能です。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240418_business_01.pdf

調査概要

調査方法:『リクルートエージェント』求人データの分析
調査対象:『リクルートエージェント』求人データ
有効回答数:非公開
調査実施期間:2023年12月~2024年2月
調査機関:リクルート

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