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2023.02.28 Tue
REPORT

半径5m以内の小さな気づきが、世界を変える!
『高校生Ring』が育む、”自ら問いを立てる力”

半径5m以内の小さな気づきが、世界を変える!
『高校生Ring』が育む、”自ら問いを立てる力”

『ゼクシィ』や『スタディサプリ』などのサービスを生み出してきた、リクルート社内の新規事業提案制度『Ring』は1982年に始まりました。40年以上続けてきた『Ring』の哲学とノウハウをそのままに、高校生に“人生を自分の力で切り拓く力”=アントレプレナーシップを養う機会を届けられたらという思いから始まった取り組みが、『高校生Ring』です。「半径5m以内の問い」というキーワードを軸に、自分や家族、友人などの身近な人たちが感じている課題に目を向け、どのようなサービスがあればそれをビジネスとして解決できるかを考え、プランを組み立てます。

今回は全国から6,186名の高校生にご参加いただきました。2022年7月からそれぞれの高校で行う学内審査が始まり、リクルート社内での2次審査を通過したのは20チーム。2次審査以降は現役のリクルート社員がメンターとして加わり、アイデアの種を形にする過程をサポート。新たな視点から検討を深めてさらにプランを磨き上げ、3次審査へと進みます。およそ半年間のプログラムを経て、全国各地から5組のファイナリストが選ばれ、2023年1月に都内で開催された最終審査会、『高校生Ring AWARD 2022』に臨みました。本記事では、アワード当日の様子をお届けします。

『高校生Ring AWARD 2022』アワード当日の様子

最終審査会には、リクルートから販促領域プロダクトマネジメント室(まなび)室長の池田脩太郎と、執行役員の柏村美生が審査員として参加。加えて、社外からゲスト審査員をお招きし、合計5名の審査員が高校生によるプレゼンテーションを審査しました。
ゲスト審査員は、

―海洋観測システムで養殖業の未来を変える事業を展開する
 株式会社MizLinx 代表取締役CEO 野城 菜帆氏

―完全栄養食『ベースフード』で急成長を遂げるスタートアップ企業を手掛ける
 ベースフード株式会社 代表取締役社長 橋本 舜氏

―いけばなの叡智をビジネスや人材育成につなげる新たなワークショップを展開する
 華道家 IKERU主宰 山崎 繭加氏

の3名です。ビジネスの世界で活躍する3名に共通するのは、それぞれの「身近な気づき」をきっかけに事業を始めたということ。お三方からは、ご自身の体験とも重ね合わせたあたたかいエールが送られました。

最終審査会

池田:学力だけではなかなか成果につながらない時代に、"アントレプレナーシップ"すなわち「自ら問いを立て、自ら行動し、自ら変化を起こす力」が重要であり、リクルートはその力を養う機会を支援したいと考えています。これは教科書や動画を見ることだけで身につく能力ではありません。このプログラムを通じて、アントレプレナーシップを高校生に体感していただきたいと思います。
審査は、「オリジナルの視点や切り口か」「ビジネスになり得るか」「圧倒的当事者意識があるか」という3点が評価のポイントとなり、その観点で審査させていただきます。今日はみなさんのプレゼンテーションを楽しみにしています。

販促領域プロダクトマネジメント室(まなび)室長の池田脩太郎

会場の期待も高まり、5組の最終プレゼンテーションがついにはじまりました。

【ファイナリスト1組目】

学校名 洛南高等学校
プラン名 「Light(ライト)」

「前髪が崩れてしまうと、その日の気持ちがブルーになってしまう。そんなことはありませんか?」聴衆の心をぐっとつかむ問いかけからプレゼンテーションが始まりました。自分や周りの友達の経験をきっかけに、崩れた髪を手軽に直して、たくさんの人に輝いてほしいという願いから生まれたのが、外出先で髪型を直すことができるサブスクリプションサービス〈Light〉です。

美容院と利用者が〈Light〉に登録すると、お店の情報がアプリのマップに反映され、利用者は外出先でアプリ上に表示されている登録店舗に自由に来店して、ヘアセットの為の道具と場所を借りて自分で髪型を直すことができます。利用希望者のニーズだけでなく、美容院が抱えている顧客獲得の課題などもアンケートからしっかり拾い上げ、利用者にも美容院にもメリットがあるプランを考えられていました。

「Light(ライト)」の最終プレゼンテーションはこちら

洛南高等学校「Light(ライト)」

【ファイナリスト2組目】

学校名 東大阪大学柏原高等学校
プラン名 「S connect(エスコネクト)」

遠方に進学したくてもその高校に寮がなく、やむなく進路選択の幅を狭めてしまっている中学生(Student)、空き部屋を有効活用したい高齢者(Senior)、遠方に住む都道府県外からの生徒を集めたい高校(School)。この三者をつなぐマッチングサービス〈S connect〉は、実際に高校進学時に自身が経験したことがきっかけとなったアイデアで、中学生、高齢者、高校、ともにメリットが得られる仕組みです。

また遠方での進学を考える大学生や留学生が利用するプランや、受け入れ側として高齢者に限らず養子希望の家族が利用するプランなど、サービス拡大の展望についても触れています。「県外の高校に進学したい」という自身の願いと同時に直面した、通学における物理的な課題。そのパーソナルな課題観を社会に向け、日本の地域課題や学校現場が抱える課題の解決にもつなげて形にしていました。

「S connect(エスコネクト)」の最終プレゼンテーションはこちら

東大阪大学柏原高等学校「S connect(エスコネクト)」

【ファイナリスト3組目】

学校名 福井工業大学附属福井高等学校
プラン名 「グラウンドスイム」

泳ぐことが好きな祖父がつぶやいた「プールに行きたくても行けない」という言葉。その一言をきっかけに、高齢者を対象にアンケート調査を行ったところ、なんと高齢者の約7割もの人が、運動したいと思いながら、思うように運動ができていないことが明らかに。この課題を解決するために考えたのが、支柱とゴム状のベルトを使って、上半身の泳ぐ動作を台の上で行うことができる器具と、VRゴーグルを組み合わせた〈グラウンドスイム〉です。

VRゴーグルを使用することで、自宅での水泳運動をバーチャル空間で楽しむことができます。アンケートで浮かび上がった高齢者の運動不足の理由を解消し、プールやスポーツジムまで足を運ばなくても、自宅で簡単に、足腰に負担をかけずに水泳と同じような運動ができます。さまざまな理由で運動を諦めていた人も、毎日楽しく続けることができそうです。

「グラウンドスイム」の最終プレゼンテーションはこちら

福井工業大学附属福井高等学校「グラウンドスイム」

【ファイナリスト4組目】

学校名 神戸山手女子高等学校
プラン名 「グランドパートナー」

「一人でいて寂しい」そんな祖父の言葉で、高齢者が普段どのような悩みを抱えているのかについて考えたことが起案のきっかけになったそうです。実際に高齢者を対象とした調査を調べてみたところ、一番の楽しみが旅行であることが明らかに。一方で、健康上の理由や精神的な不安が多く、なかなか旅行を楽しめていないという実態も見つかりました。

〈グランドパートナー〉は、行ってみたかった観光地にバーチャルで訪れ、バーチャルツアー参加者同士で語り合いながら、自宅で名産品を使ったグルメやお土産も楽しむことができるという旅行体験型のサービスです。月額3,000円のサブスクリプションサービス〈グランドパートナー〉を使えば、普通の旅行よりも費用をぐっと抑えて、観光気分を味わうことができます。また、地方自治体にとっても新たな町おこしの契機となりそうです。

「グランドパートナー」の最終プレゼンテーションはこちら

神戸山手女子高等学校「グランドパートナー」

【ファイナリスト5組目】

学校名 茗溪学園高等学校
プラン名 「GAKUSUKU(ガクスク)」

音楽好き・楽器経験者という4人の共通点から起案された電子楽譜のサブスクリプションサービス〈GAKUSUKU〉。吹奏楽部など大人数で演奏する人たちは、演奏会の時期が近づくと何十枚もの紙の楽譜をファイル管理しており、その重さで持ち運びにも一苦労。また、メンバー間での演奏に関する意見交換や自分の気づきをメモする余白が少ないのも悩みの種。楽器を演奏する当事者だからこそ知る課題から発想したサービスです。

書き込みの共有や模範演奏を視聴できる機能はもちろん、楽曲の著作権問題や、既存サービスを使わずに不正印刷されてしまっている楽曲制作者側が抱える問題への対策も万全。さらには、オーケストラやプロの音楽家、音楽の授業など、対象者を広げることができるように加入プランも複数考えられていて、未来も見据えた音楽愛に溢れるアイデアでした。

「GAKUSUKU(ガクスク)」の最終プレゼンテーションはこちら

茗溪学園高等学校「GAKUSUKU(ガクスク)」

結果発表
審査の結果、グランプリは東大阪大学柏原高等学校の〈S connect〉に決まりました。
審査員からは、「まさに高校生の視点でしか思いつかないような、審査員全員がハッとさせられたアイデア。中高生の学校選択における課題だけでなく、空き家や高齢化社会など、この課題を解決したときの社会へのインパクトが大きい」といった講評がありました。

受賞者コメント:このプログラムを通じて世の中のサービスが、ある人の小さいひらめきや身近なことから生まれているということに気づきました。これから、自分が考えたこのサービスがもっと具体的になり世の中で普及していくことで、多くの中高生がさまざまな進路選択ができるようになるといいなと思います。

そして準グランプリは洛南高等学校の〈Light〉が受賞しました。
「情熱が伝わってくるプレゼン。カスタマーのインサイトを深掘りできているだけでなく、美容院側のことも忘れずにとてもよく分析されている。業界がここに機会を見いだせたらいいビジネスになると思う」と審査員から伝えられました。

受賞者コメント:自分が感じている課題を誰かに解決してもらうのではなく、自分で解決できる可能性があると気づくことができました。前髪は人の印象を大きく変える大事なものだと思うので、このサービスを通じて世の中の多くの人が自信をもって輝ける生活を送れるようになったらいいなと思います。

受賞の有無を問わず、高校生の熱いメッセージと未来への希望を受け取った会場からは、大きな拍手が送られました。

グランプリは東大阪大学柏原高等学校の〈S connect〉に決まりました
準グランプリは洛南高等学校の〈Light〉が受賞しました
福井工業大学附属福井高等学校「グラウンドスイム」
神戸山手女子高等学校「グランドパートナー」
洛南高等学校「Light(ライト)」
結果発表

リクルート代表取締役社長の北村吉弘も駆けつけ、高校生の皆さんへ、メッセージが送られました。

北村:これから皆さんが様々な場所に行き、様々な人に出会い、触れ合うその半径5mの中で、見えるもの、感じることがどんどん変化していくと思います。その時に、「小さな気づきから始めることが、世界を変えるかも」と『高校生Ring』で体験したことを少しでも思い出して、行動することの後押しにつながったら嬉しいなと思います。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

グランプリを受賞したチームには、『高校生Ring』のモチーフであるサーチライトをあしらったトロフィーと賞状、最新型パソコンに加え、リクルート独自の副賞『プロトタイピングプログラム』が提供されました。

『高校生Ring』のモチーフであるサーチライトをあしらったトロフィー

これは、高校生の意思に応じて、新規事業開発などを経験したリクルートの社員が高校生のプランのさらなるブラッシュアップに伴走し、ビジネスのプロトタイプ=試作を作って実際に検証してみるところまでをサポートするプログラム。『高校生Ring』の土台となっているリクルート社内の新規事業提案制度『Ring』を通過したアイデアは、幾度もの検証を経て事業化されていきます。そのリクルートの知見と経験が詰まった「事業を創っていくプロセス」を実際に体験していただくことができるようにと考えられています。
『高校生Ring』は、ゴールではなくスタート――。高校生のアイデアが社会を変えていくかは、実際にやってみないとわからない。だからやってみる機会を用意したい。そんな思いを込めて提供されています。

小さな気づきの中にこそ、世の中を変える大きな力が秘められている。参加者の皆さんがこれから自分の意志で人生を切り拓いていこうとするとき、きっと『高校生Ring』での体験や学びが糧になっていくはず。そして、一人ひとりのアントレプレナーシップから生まれるアイデアの数々が、ますます豊かで明るい未来を創っていくはず。そんな希望に包まれながら、最終審査会は幕を閉じました。

最終審査会「高校生Ring AWARD 2022」当日の様子は下記から視聴いただけます。ぜひご覧ください!
【リクルート】高校生Ring2022 アントレプレナーシップ・プログラム ~AWARD総集編~

※プログラム参加にあたり提出したエントリーシートの著作権その他一切の権利は、生徒に帰属します。
※名称・内容等はあくまでもアントレプレナーシップ教育プログラムにおけるプラン名・アイデアです。


関連リンク

【リクルート】高校生 Ring2022 アントレプレナーシップ・プログラム #1 ~スタート編~ 【リクルート】高校生 Ring2022 アントレプレナーシップ・プログラム #2 ~学校代表決定編~ 【リクルート】高校生 Ring2022 アントレプレナーシップ・プログラム #3 ~セミファイナル(20組)決定編~ 【リクルート】高校生 Ring2022 アントレプレナーシップ・プログラム #4 ~3次審査目前編~