2024.10.15しごと
2024年9月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査 三大都市圏の9月度平均時給は前年同月より32円増加の1,193円
(c) Recruit Co., Ltd.
しごと
株式会社リクルート
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘)は、シニア(本リリースでは60歳以上)の求職者の現状や雇用課題について、データと事例からまとめましたので、お知らせいたします。
人口構造の変化、少子高齢化による労働力人口の減少から人材不足の状況は深刻になってくることが予想されており、シニアが少しでも長く、そして無理なく働き続けられるような働き方が注目されています。
65歳以上人口の年齢別割合の推移を見ると、20年間でより高齢層の割合が増えていることが分かります。80歳以上の割合は、2003年の23.2%から2023年には34.8%へと増加しました。一方で、65~69歳は30.5%から20.2%へと減少しています。
改正高年齢者雇用安定法により70歳までの就業機会を確保するため、定年引き上げなどの努力義務が新設されましたが、「シニア層の就業実態・意識調査2023」において現在働いている、または現在働いていないが働く意欲・可能性があるシニアに何歳くらいまで働きたいと思うかを聞くと、すでに70歳以降も働きたいと回答している方が75%以上いることが分かりました。また、5歳刻みで見ると70~74歳が34.6%で最多でした。調査時点で70~74歳のシニアは男女ともに75~79歳まで働きたい方が6割以上、男性では80歳以降も働きたい方が2割以上います。このことからも「まだまだ働ける、働きたい」と感じているシニアが多いことが分かります。
出典:『ジョブズリサーチセンター』【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023―個人編60~74歳―
しかし、同調査では5年以内に仕事探しをして仕事が見つかった人の4割以上が「年齢の制限が低い/幅がせまい」、4割近くが「給料が安い」と感じていることも分かりました。
出典:『ジョブズリサーチセンター』【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023―個人編60~74歳―
一方で、企業側にシニア層採用への積極性を聞いたところ、積極的な企業は約3割にとどまり、また、積極的ではない企業にその理由を聞くと、「特に理由はない」がいずれの雇用形態でも3割を超え、採用イメージがないことも要因になっていると考えられます。
出典:『ジョブズリサーチセンター』【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023―企業編―
2025年4月から義務化される「65歳までの雇用確保」の経過措置期間は2025年3月31日に終了し、2025年4月1日以降企業は希望者全員に65歳まで雇用機会を確保しなければなりません。このような状況の中、企業もさまざまな取り組みを開始してきましたが、シニア層の採用意欲は十分とはまだ言い難い状況です。長く働きたいシニアが多くいる中で、企業がそのシニアの活躍の場を用意することは人材不足解消の一手になるのではないでしょうか。さらに、シニアの活躍が社員の生産性向上の一翼を担っている企業も出始めています。以下に紹介します。
仙石原ススキの原 一の湯
・従業員数:58人(接客従事者40人)
・部屋数:67室
働いているシニアの状況
・主な仕事:「接客ホールスタッフ」「清掃業務」
・働く理由:「賃金以上に社会とのつながり」「お客さまや従業員とのコミュニケーション」
「自身の健康維持」
●モチベーション高く働いてもらう工夫
株式会社 一の湯 店舗運営本部長
大野 正樹さん
―シニアは大切な戦力 20代社員の見本だけでなく、ダイバーシティ推進にも寄与
シニアは大切な戦力です。さまざまな経験や今まで培ってこられたスキルは20代社員の見本となっています。例えば74歳男性接客ホールスタッフのホスピタリティ。お客さまから求められているもう一歩先を行く接客スキルは簡単には身に付きません。このスキルをきちんと可視化し、手当として還元する制度が「接客評価手当制度」です。74歳のシニアがNo.1を獲得し続け驚かれることが多いですが、接客には役職や年齢、性別や国籍も関係ありません。彼がそれを体現してくれました。また、60代女性のアイデアを採用し、季節のお花でアレンジメントされた記念写真スポットを作りました。こちらは多くのお客さまに楽しんでいただいています。
今後もシニア、主婦、外国人と多様な方に活躍していただけるよう工夫してまいります。
仙石原ススキの原 一の湯
名越 一久さん(74歳)
接客ホールスタッフ
―週4~5日、7時~11時までの早朝勤務で規則正しい生活をし、健康を維持
お客さまとの会話で毎日が楽しく充実。働けるうちはいつまでも働きたい
仕事はホテルや旅館で長年勤めています。51歳より、母の居酒屋の手伝いや介護をしながら働き、約1年前から一の湯で接客ホールスタッフとして働いています。当時73歳で採用してくれるかとても不安でしたが、裏方なら採用してくれるかもしれないと思い応募しました。私はお客さまと会話すること、楽しませることが大好きなので、希望だった接客ができるホールスタッフとして採用してもらえて会社には感謝しています。
―会社に貢献できている喜びは、モチベーション向上につながっている
「接客評価手当制度」を通じて、お客さまに喜んでいただけていたことが分かったこと、また、店長や従業員からの称賛や感謝の言葉は働くエネルギーになっています。若い従業員のお手本になっていると私自身は思っていませんが、何か感じ取ってもらえて、この歳でも会社に貢献できることがあるのは大変うれしいです。
―重要なのは会話 会社からのサポートで働く意欲向上
店長だけでなく本部長ともよく話します。従業員の声を聞き状況を理解してくれています。腰を痛めて退職を悩んでいた時、辞めるのではなくお休みするのはどうですかと提案いただきました。私が仕事を好きなこと、早朝勤務は規則的な生活を維持するのに必要なことを理解してくれていると感じました。お休みをいただき、戻った時はさらに会社に貢献したいと強く思って今も働かせてもらっています。私は働くことで毎日が楽しく充実しています。1日でも長く働いていたいです。
ジョブズリサーチセンター 宇佐川 邦子
深刻な人手不足が続く中、シニアが活躍できる場が徐々に広がりつつあります。しかしながら、その活躍の場は依然として十分とは言えない状況です。一方で、シニアのスキルを正しく理解し、成果を可視化、適切な評価やフィードバックを行う企業では、シニアが高いモチベーションを持って働き、活躍することで、企業の成長に寄与している事例が出始めています。
企業は、すぐにでもシニアの採用、活躍支援を進めることが重要です。また、シニアの状況が多様であることを理解し、個々の状況に寄り添った対応、長く活躍できる労働条件や環境を整えることが求められます。例えば、シニアは短時間や限られた日数での勤務を希望する方が多いことも分かっています。業務を細分化し、小口の仕事を提供することは、シニアが長期にわたり活躍するための一歩となるのではないでしょうか。
出典:『ジョブズリサーチセンター』【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023―個人編60~74歳―
①【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023― 個人編 60~74歳ー
https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/230512senior_kojin.pdf
調査方法:インターネット調査
調査対象:55~74歳の男女(全国)
現在働いておらず、仕事探しもしておらず、誘いがあっても働くつもりはない人を除く(詳細はp.5参照)
現在の仕事の業種が以下の人を除く:「放送、宣伝広告、出版、新聞」「人材紹介、派遣」「業務請負」
有効回答数:8,000人
※今回の主な集計対象は、60~74歳の6,000人。55~59歳の回答結果については、全体値のみ掲載。
調査実施期間:2023年3月11日(土)~3月13日(月)
調査機関:ジョブズリサーチセンター
②【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023ー企業編ー
https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/230512senior_kigyou.pdf
調査方法:インターネット調査
調査対象:企業において人事・採用計画に関わっている方(詳細はp.60参照)
・人事(採用・労務)担当の正社員・正職員
・経営企画担当の正社員・正職員で、人事・採用計画に関わっている方
・会社経営者で、人事・採用計画に関わっている方
有効回答数:600社
調査実施期間:2023年2月25日(土)~2月27日(月)
調査機関:ジョブズリサーチセンター
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