『リクナビNEXT』「検索ワード」調査(2014年~2019年) 求職者の検索ワードは「働き方ワード」が急激に上昇 「時間・場所」「年齢」に左右されない柔軟な働き方に注目集まる

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社⾧:小林 大三)が運営する転職情報サイト『リクナビNEXT』( https://next.rikunabi.com/ )は、同サイト内で求職者が検索したワードから、求職者が注目した「検索ワード」をまとめました。ここから、求職者が求人検索の際に重要視しているポイントが判明しましたので、一部をご報告申し上げます。

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調査結果トピックス

  1. 『リクナビNEXT』内で検索された「検索ワード」ランキング において100位以内にランクインした「働き方ワード」は11ワードで、2014年の3ワードと比較して約4倍に伸⾧した
    「年代ワード」のランクイン数は6ワードで、2014年の4ワードと比較して1.5倍に伸⾧した

  2. 「働き方ワード」の検索回数を"性別"で分析したところ、下記のことが判明した
    ・女性は「働き方ワード」全体の検索傾向が高く、中でも「在宅」「有休消化率」「ワークライフバランス」が特に検索傾向が高い
    ・男性は「完全週休2日」「残業なし」「転勤なし」の検索傾向が高い

  3. 「働き方ワード」と「年代ワード」の検索回数を"年齢"で分析したところ、下記のことが判明した
    ・20代が「働き方ワード」の検索傾向が高い
    ・40代、50代では「中高年」「年齢不問」の検索傾向が高い




調査トピック①「働き方ワード」ランクイン数の伸⾧

2015年頃から「働き方改革」が社会的に注目されるテーマとなる中、『リクナビNEXT』内で検索された「検索ワード」ランキングにおいて100位以内にランクインした「働き方ワード」のランクイン数は11ワードあり、2014年の3ワードと比較して約4倍に伸⾧した。

2019年にランクインした「働き方ワード」のうち9ワードは、2014年当時は100位圏外であった。直近5年間で多様な「働き方」を求めるワードが求職者間で浸透していることが判明した。


※2019年の順位を降順でソート

「検索ワード」ランキング100位以内にランクインした「年代ワード」は6ワードあり、2014年の4ワードと比較して1.5倍に伸⾧した。


※2019年の順位を降順でソート

調査トピック②女性の検索傾向が高い「働き方ワード」

「働き方ワード」の検索回数を"性別"で分析したところ、下記のことが判明した。

  • 「検索ワード」全体の女性の比率が41.9%であったのに対し、「働き方ワード」では59.8%であることが分かった。中でも「在宅」「有休消化率」「ワークライフバランス」の検索傾向が高かった。
  • 「検索ワード」全体の男性の比率は58.1%であるのに対し、「働き方ワード」では40.2%と低い結果を示すことが分かった。一方、「転勤なし」「完全週休2日」「残業なし」では40.2%を大きく上回る検索回数であることが分かった。



調査トピック③20代の検索傾向が高い「働き方ワード」

「働き方ワード」と「年代ワード」の検索回数を"年齢"で分析したところ、下記のことが判明した。

  • 「検索ワード」全体の20代の比率が36.5%であったのに対し、「働き方ワード」では50.0%であることが分かった。




  • 「検索ワード」全体の40代、50代の比率合計が30.2%であるのに対し、「年代ワード」では77.5%であることが分かった。中でも、40代、50代では「中高年」「年齢不問」の検索傾向が高かった。



解説

終身雇用から終身成⾧へ。100人100色の生涯活躍に寄り添ったライフフィット*風土と生涯成⾧機会の訴求こそ、採用成功のカギ

求職者の検索傾向の変化からは、働く個人のライフフィット志向の拡大や、⾧期活躍志向の拡大といった深層心理が見えてきます。企業寿命と職業寿命の逆転、人生100年時代による生き方の多様化。こうした変化を背景に、働く個人は、「終身雇用より終身成⾧」へ、仕事選びの重視項目をシフトしているのです。
「その時々のライフステージの制約(時間や場所など)にあった働き方をしたい」「生活を充実させながら、同時に、やりがいのある仕事をしたい」「いくつになっても成⾧できる機会が欲しい」「会社を卒業した後も、声がかかる実力を身に着けたい」。人生100年時代を生きる働き手からは、こうした声が聞こえて来るのです。
「働き方改革」が叫ばれる中、「有給休暇」「在宅勤務」などの制度を訴求する企業が多くなってきました。一方で、実際の取得率や実体的な取得風土を訴求できている企業はまだ少数です。また年齢によらず実力で評価する機会、社員の卒業後の活躍などを具体的に訴求できている企業はまだ少数です。ライフフィットな環境とエンプロイアビリティ**向上の機会の同時訴求。これこそ、「終身成⾧」時代の採用成功のカギとなるでしょう。

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藤井 薫
1988年リクルート入社。TECH B-ing 編集⾧、Tech総研編集⾧、アントレ編集⾧を歴任。リクルート経営コンピタンス研究所、14年からリクルートワークス研究所兼務。変わる労働市場、変わる個人と企業の関係、変わる個人のキャリアについて、多様なテーマを発信。著書『働く喜び 未来のかたち』(言視舎)

【言葉の解説】
* ライフフィット:「生活にフィットした」という意味。企業と対話して、生活に合わせた働き方を実現する転職者が増加している状況から、2016年にリクルートキャリアはこうしたカスタマーの仕事選びにおけるトレンドとして「ライフフィット転職」を発表した。
プレスリリース|2017年のキャリア領域のトレンドは、企業と対話し、生活にあわせた働き方を実現する「ライフフィット転職」
** エンプロイアビリティ:経営学用語のひとつ。企業が従業員を雇用する場合に、その従業員が持っている雇用に値する能力のことを指す。

参考:APPENDIX

企業事例|エンプロイアビリティ向上の機会を設ける事例のご紹介

『リクナビNEXT』が主催する「GOOD ACTIONアワード」でこれまでに受賞した事例の中で、働く個人のライフフィット志向と成⾧志向の両者のニーズに応じたことで企業成⾧につながった事例をご紹介します。事例の紹介記事は「GOOD ACTIONアワード」の公式ホームページより引用しています。より詳細な企業情報は「GOOD ACTION アワード」公式ホームページをご参照ください。

事例①
職人の仕事を分析したら、「時間軸」の常識がなくなった。 ベテランと若手の融合で技能伝承を進める塗装工事会社の挑戦(株式会社KMユナイテッド

  • 取り組みの概要

    「10年で一人前になる」のが当たり前だった塗装職人の世界で、未経験の人が「3年間で技能習得できる」独自の育成プログラムを開発。職人の仕事を分析し、「パテ処理」「養生」といった比較的容易に習得できる仕事から徹底的に教えることで基本工程のプロを育て、その上で熟練の職人が専門性の高い技術を伝授していく体制とした。KMユナイテッドに所属するベテラン職人のほか、社外からも業界トップクラスの講師を招いて若手を育成し、かつては男性の職場だった現場で女性職人が活躍している。 さらに、職人の技を動画撮影して配信するキャリア支援ツール「技ログ」を開発し、映像教材をいつでもどこでも活用できるようにした。外国人材に向けてベトナム語などにも翻訳し、実際に同グループ会社では外国人の職人も積極的に採用している。

  • 取り組みへの思い

    ベテランはいつまでも活躍してほしいし、若手は決められた見習い年数に縛られずに早く成⾧してほしい。業界で常識となっていた「時間軸」を壊したいと強く思い、技能伝承のための環境を整えている。

  • 受賞のポイント
    1. 若手が早く成⾧でき、ベテランがずっと活躍できる組織を作った
    2. 効率的な育成法や業務切り分けは塗装業界以外にも汎用できる
    3. 女性や外国人など、属性に関わらず職人として活躍している

事例②
採用力強化のための目標が「離職率100%」!? エンジニアと本気で向き合う、エンジニアのための会社(株式会社MapleSystems

  • 取り組みの概要

    「離職率100%」を掲げ、新しいスキルを求めるエンジニアのステップアップを応援している。自社の採用力強化のため、2018年1月に採用広報として離職率100%という目標を掲げたのが始まり。これには、社員がスキルを磨ける環境を最優先し、会社として個人の成⾧を応援するということ、そしてスキルアップの先に、会社を巣立っていくことをも応援したいという思いを込めている。エンジニアだからこそ、会社に頼り切るのではなく、どこでも通用する武器を身につけておいてほしい。そんな考えから案件そのものの契約金を開示し、どれくらいの給与が欲しいか、どんなスキルを身につけたいかを考えてもらっている。エンジニア同士の出会いの場や、勉強会のための場を提供する活動も進め、メイプルシステムズへの応募数は増え続けている。

  • 取り組みへの思い

    前職の人事時代、「離職率を下げる」というミッションにモヤモヤしていた。離職を思いとどまらせるのは会社都合であり、社員にとってのベストな選択とは限らない。今は無理に退職を止めず、笑顔で送り出している。それがとてもうれしい。

  • 受賞のポイント
    1. 個人の成⾧を本気で考える「人と会社の新たな関係性」を示した
    2. 在籍中はもちろん、退職後の成⾧も考えて人材育成に取り組んでいる
    3. 「辞める前提」があることで、結果的に社員の定着につながっている

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