60歳以上の中途採用「前年度よりも増やす」が31.0% IT・情報系、1000名以上の中堅・大手が高い意向を示す 今後導入予定の65歳以上の従業員向け施策は、定年延⾧、週休3日制、雇用形態変更

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社⾧:小林 大三)は、中途採用を実施している企業の人事担当者に中途採用に関する調査を実施しました。このたび、「シニアの中途採用意向調査」として一部を抜粋し、HR統括編集⾧の藤井 薫の解説と共にご報告申し上げます。なお、本調査(2019年9月)におけるシニアとは60歳以上を指します。

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少子高齢時代の戦略的HRM*は、"年齢にとらわれず"期待し、"年齢ならでは"に向き合う。

なぜ今、企業は60歳以上の中途採用に意欲を見せているのか。その背景には、単なる"人手不足"を超えた、構造的な"人材不足"があります。その象徴が、最もシニアの採用意向が高かったIT系企業に顕れています。DX推進*・2025年の崖*の克服が喫緊の課題であるIT業界では、メインフレームのオープン化、基幹システムのクラウド化に向け、レガシーシステムの知識や開発経験を持つシニア層に、白羽の矢を立てているのです。こうしたシニアの採用意向は、IT業界以外にも製造業、サービス業でも見て取れます。経験・知識があり、喫緊の事業課題を解決できるシニア採用では、給与も役職定年後の水準と同レベル、中にはアップするケースも散見されます。ただし、シニア採用する際、最大のネックになるのが人事制度です。65歳以上の定年延⾧制度、週休3日制、雇用形態変更制度...。今後企業が導入検討する制度が示すように、いかに旧来の雇用概念を超えた柔軟な対応ができるかが問われます。「年齢にとらわれず、スキルと成果に期待し処遇する」「年齢ならではの働き方・生き方に柔軟に向き合う」。少子高齢化・人材争奪戦時代の戦略的HRM進化は、シニアをめぐる採用と処遇の変革から始まりつつあります。

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HR統括編集長 藤井 薫

※用語の解説
【HRM】:Human Resource Managementの略。個人の能力を最大限活用するための、人材マネジメントのこと。
【DX推進】:デジタルトランスフォーメーション推進の略。企業の持続的成⾧、競争力強化のためにデジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルを創出、改変する試み。
【2025年の崖】:複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや我が国の経済の停滞などを指す。




  • 業種別に見ると、「大幅に増やす予定」と「やや増やす予定」を足した「増やす計」はIT・情報通信業35.0%、製造業30.1%、サービス業30.1%、その他業種29.0%の順となった。

  • 従業員規模別に見ると、「増やす計」は、1000~4999 名37.0%、5000 名以上33.9%、300~999名28.3%、299名以下25.0%の順となった。

  • 業種別と従業員規模別をクロスすると、「大幅に増やす予定」は、IT・情報通信業×5000名以上26.7%、製造業×1000~4999名・その他業種×1000~4999名19.6%、製造業×5000名以上・その他業種×5000名以上15.6%の順となった。


  • 現在導入している制度は、再雇用制度63.1%、雇用形態変更制度34.3%、健康管理制度(人間ドック、生活習慣予防検診)の導入21.4%の順となった。

  • 今後新たに導入を検討している制度は、65歳以降の定年延⾧制度18.4%、週休3日制18.0%、雇用形態変更制度15.3%の順となった。(特になしを除く)




調査概要

  • 調査方法
    インターネット調査
  • 調査対象
    中途採用を実施している企業の人事担当者
  • 回答数
    732人
  • 調査期間
    2019年09月25日~2019年09月27日
  • ≪調査結果を見る際の注意点≫
    %を表示する際に小数点第2 位で四捨五入しているため、%の合計値や差の数値と計算値が一致しない場合がある。


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