ミラキャリ通信 Vol.6:「テレワーク」の導入で地方でも新しい働き方の推進を

『サンカク』では正社員採用はもちろん、副業という新しい働き方も推進し、企業の事業成長に本当に必要な人材獲得を支援しています。例えば、人材不足にお悩みの地方企業に対して、副業による新しい働き方の定着や、リモートワークによる地方創生の推進など、既存の採用手法では獲得が難しい人材に対して今までにない切り口の採用活動を支援しています。

一方で、新型コロナウイルス感染症の影響も受け、働く人にとっても今後のキャリアや働き方について"もやもや"を感じる方が増えてきたのではないでしょうか?『サンカク』ではそんなビジネスパーソンに対し、「一歩踏み出すきっかけをつくり、自分では気付かないキャリアの可能性を発見したり、自分にフィットした働き方を見つける」、そんな場を提供しています。

『サンカク』から「未来の採用」「未来の働き方」「未来のキャリア」についてお届けするニュースレターが 「ミラキャリ通信」です。

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『サンカク』の現場から

首都圏と地方の間で広がる「テレワーク格差」

リクルートキャリアが8月に実施した「新型コロナウイルス禍での仕事に関するアンケート調査」によると、緊急事態宣言下でテレワークを経験した人は48.0%。これを地域別に見ると、 生産年齢人口が多い東京都は71.1%、神奈川県では63.8%、 大阪府は64.8%と、全体と比較して15ポイント以上の差がついています。

一方で、その他44道府県に目を向けると38.5%にとどまっており、東京とは実に32.6ポイントもの差がついていることが分かりました。

東京を中心とした大都市圏では、再び緊急事態宣言が発令され、在宅勤務拡大の動きが高まっています。この動きを受けて、テレワーク実施企業はさらに増えると考えられ、このままでは地方との「テレワーク格差」がますます広がると予想されます。

テレワークの推進で、地方企業が遠隔地のビジネスパーソンとつながる

そんな中、いち早くテレワークに対応し、成果を上げている地方企業があります。

石川県金沢市の「ガクトラボ」は、若者がチャレンジし活躍する地域を生み出すため、「実践型インターンシップ事業」「採用活躍支援事業」「学生活動キャリア支援事業」「子ども・若者のキャリア教育・起業家教育事業」などを展開している企業。2015年の設立時から、テレワークを取り入れています。

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ガクトラボ 代表取締役 仁志出 憲聖さん

「オフィスはありますが出社義務はなく、会議や日常のコミュニケーションはリモートが中心。ビデオ会議で打ち合わせをしたり、ビジネスチャットで雑談をしたり、カレンダーツールで日常の動きを共有しています」(株式会社ガクトラボ代表取締役・仁志出 憲聖さん)

同社の従業員は、アルバイトや副業者も含め8名。他にプロボノとして数名が働いています。子育てをしながら働くワーキングマザーや、マレーシアに在住しながら副業で働いている人、東京で働きながらプロボノとして関わっている人など多彩な人材が集まっています。

「以前からテレワークがメインでしたが、コロナ禍を受けさらにテレワークに振り切り、環境整備に注力。遠隔地に住んでいたり、育児など制約がある方や『テレワークなら関わってもらえる方』にもジョインしていただきたいと考えました。その結果、子育て中ながら経験を活かして社会復帰したいと考えていた方や、マレーシアに居ながら故郷の北陸のために貢献したいという方、また都心に居ながら『北陸には縁があるので、現地学生や企業のために頑張りたい』という方が集まってくれて、とてもうれしく思っています。コロナ禍を受け、自身の働き方を見直すビジネスパーソンが増えていることもあり、志の高い方に興味を持っていただけるチャンスだと捉えています」

業務柄、地元企業との打ち合わせや会議などの機会が多いそうですが、以前に比べテレワークのやり方やプロボノの採用の仕方を質問される機会が増え、「地方企業の姿勢も変わってきたと感じる」と言います。現状は、オンラインでの環境整備やスキル不足、既存のビジネスの方法から変化することに抵抗がある企業もまだまだ多いとのことですが、中には「目が行き届かず管理できないから」などの理由でテレワークに二の足を踏んでいる企業も。

「ブレーキになっているのは、『自社の社員を信じ切れていない』ことだと感じています。社員を信じていれば、さぼる社員が増えるのではないか?なんて懸念は起こらないはずです。テレワークが正義だとは思っていませんが、テレワーク化することで自分自身のペースでイキイキ働けるようになった人や、新たに働くチャンスが得られた人がいるというのは事実。企業にとってやる気ある人を採用するチャンスにもなるし、働く側もより自分らしく生きられる一つの選択肢になり得ます。テレワーク導入に悩んでいる企業は、『人の可能性』を信じて一歩踏み込めば、効果を実感いただけるのではないでしょうか」

株式会社柚餅子総本家中浦屋は、奥能登輪島の名産和菓子「柚餅子(ゆべし)」で知られる創業110年の老舗和菓子メーカー。歴史ある商品を守りつつ、新たな商品投入を積極的に進めており、ブランド力向上に向けた戦略の立案・推進を任せられる人材を求めていました。

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柚餅子総本家中浦屋 代表取締役社長 中浦 政克さん

同社では以前から工場と本社、販売店間のコミュニケーション円滑化を目的にビデオ会議ツールを導入するなど、テレワークの素地を整えていました。それを活かし、首都圏の人材とテレワークでコミュニケーションを取るようになったことで、事業企画の経験豊富な首都圏の人材に、副業で携わってもらうことができました。

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5人の副業者と初めてリアルで会い打ち合わせする様子(2020年10月)

「テレワークは、地元以外に住む優秀な人材に働いてもらえるのはもちろん、社内活性化のためにも有効であるはず」と中浦 政克社長。今回の副業者受け入れを機に、今後は社内で本格的にテレワークを浸透させたいと考えています。

「ここ数年は業務が多忙になってきたこともあり、雑務に追われる従業員が増加。一つの作業に集中したり、新しい知識をインプットしたりする時間が確保できていないのでは?と懸念していました。今はまだ、テレワークに抵抗感を持つ社員も少なくありませんが、少しずつ浸透を図り、個人が自分の裁量でメリハリをもって働き、かつインプットの時間を確保できるようになればと願っています」

テレワーク+自社の求心力を高める取り組みが重要

株式会社リクルートキャリアHR統括編集長の藤井 薫は、人材採用・人材活用の観点から、地方企業が抱える課題と今後について、次のように語っています。

東京など首都圏と地方の「テレワーク格差」が広がっていますが、この格差は地方企業の人材求心力に大きな影響を与えると見られます。

先の調査において、「地域で働きながら、働きたい企業等(都内)で働ける選択肢があった場合、働き方を変えたいと思いますか?」という問いに対し、「働き方を変えたい」と答えた人は71.7%に上りました。さらには「転職が伴う」という場合でも、59.0%が働き方を変えたいと回答しています。

深刻な人材難に悩む地方企業は少なくありません。「職住近接を重視しなくてもいい」という人がこれだけ増えているにもかかわらず、地方企業がテレワークに対応しきれていない現状は、大きな機会損失といえます。テレワークは副業者の受け入れに功を奏すだけでなく、「社員の多様な働き方を応援し、自律性を大切にしている企業」という魅力訴求につながるからです。

一方で、テレワーク導入企業の増加に伴い、「副業先の選択肢」もどんどん広がっています。数ある選択肢の中から、優秀な人材に注目してもらうには「4つのP」が重要です。

「4つのP」とは、人が協働体(組織)に参加する際の魅力要因のこと。すなわち、Purpose(目標の魅力=企業の目的や理念、戦略など)、Profession(活動の魅力=参加することで得られる経験やスキル)、People(人員の魅力=一緒に働く人たちの魅力と心理的安全性)、Privilege(特権の魅力=活躍するための環境整備)を指します。

この「4つのP」にのっとり、「今なぜ、人材を募集するのか」「この会社はどんなありたい未来を描いているのか」「どんな成長機会があるのか」「どんな人間関係・風土があるのか」「個人のライフスタイルにどこまで寄り添ってくれるのか」などといった個人の疑問や不安を解消するような発信を、全社一丸で行うことが人材獲得成功のカギになります。

テレワークを活用して副業を行うことで、ビジネスパーソンとしての知見も広がり仲間も増えることを知った個人は少なくありません。彼らが地方企業にも目を向け始めている今こそ、人材戦略の一つとしてテレワークという土台を持っておく好機だと思われます。

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