「人生100年時代に働きながら学ぶこと」実態調査 ~学びたい人9割、実際に活動している人6割。働きながら学ぶためのカギは、学ぶものの明確さと、効率~

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林 大三)は、「人生100年時代に働きながら学ぶこと」についてのアンケート調査を行いましたので結果をご報告いたします。人生100年時代において、リカレント教育(社会人の学び直し)が注目されつつあり、個人が学び続ける重要性が問われていますが、実態はどうなのでしょうか。
本調査では、学ぶ対象を「直近(6ヶ月程度)の職務上必要とされるものではない新たな知識・スキル」と定義。転職エージェントサービス『リクルートエージェント』の登録者で2018年8月~2019年1月の期間に入社先が確定した方を対象に、3月下旬にアンケートを実施し、930人から回答を得ました。

本件の詳細はこちらをご覧ください。
20190528.pdf (1.7 MB)

調査結果トピックス

  1. 学びたいと考える人は9割。
    最も多い理由は「広い知見・視野を得たい(71.0%)」、次いで「自らの市場価値を高めたい(67.3%)」。
  2. 学ぶために活動している人はその内6割。
    活動していない人より「学ぶこと自体が好き」、「専門領域の先端知識を習得したい」という理由が10ポイント以上多い。
  3. 学ぶ上での悩みは、仕事もプライベートも多忙な日常での時間確保が圧倒的。
    学ぶために活動していない人の3割は「学ぶものが定まらない」という悩みも。
  4. 学びたいと考える人が「支援してもらえると助かる」就業先からの支援内容の上位3つは、機会の提供(58.0%)、費用の支援(56.3%)、時間の確保(42.2%)

学びへの意欲

  • 実際に学ぶために活動している人は6割。学びたい内容は多岐に渡る。
    学びたいと考える人は91.8%で、実際に学ぶために活動している人(確定している予定を含む)は、そのうち61.6%となり、働きながらも学びたいと志向し活動する人が多い結果となりました。

20190528_01C.jpgまた、学びたい内容について自由記述でたずねたところ、様々な回答を得られました。「AIなど次世代型の分析手法」(40代/経営企画・事業企画・業務企画)といった先端技術を活用する知識・スキルや、「ものを作るという視点での、異業種の考え方の取入れ 日本・世界の経済状況と、各国の政府の政策方針」(40代/機械エンジニア)といったグローバル化したビジネスに対応する上で必要であろう知識、「アートに関する知識」(30代/インターネット専門職)のように創造力の向上につながりそうな内容などが見られました。

  • どのようなことを学びたいですか?(自由記述)

    ・自動車の構造や法規制などに関する知識(40代/SE)
    ・技術スキルだけではなく、大人数のマネジメントスキルが必要だと思う(40代/SE)
    ・文章力(20代/SE)
    ・ラインマネジメント(30代/インターネット専門職)
    ・アートに関する知識(30代/インターネット専門職)
    ・現在利用していなくても、将来的に利用される可能性がある技術の習得。PL/BS など会計の基礎知識(40代/インターネット専門職)
    ・その企業の商品に特化した画像認識技術(40代/組込・制御ソフトウエア開発エンジニア)
    ・マーケティング(40代/化学エンジニア)
    ・プログラミングや経済動向の知識(30代/機械エンジニア)
    ・ものを作るという視点での、異業種の考え方の取入れ日本・世界の経済状況と、各国の政府の政策方針(40代/機械エンジニア)
    ・エクセル等、どの業種でも使うような技能(20代/建設関連職種)
    ・IT技術、絵画、速読(30代/建設関連職種)
    ・大学院での研究活動(30代/マーケティング)
    ・AIなど次世代型の分析手法(40代/経営企画・事業企画・業務企画)
    ・歴史。言語。最新の技術動向(40代/経営企画・事業企画・業務企画)
    ・60代に向けて、中小企業診断士資格を取得して、企業の顧問のような働き方にチャンスを拓いていきたい(50代以上/経営企画・事業企画・業務企画)
    ・会計知識、IT知識、英語(40代/法務・知財)
    ・アセアン諸国の会計知識(40代/経理・財務)
    ・管理職を務めるにあたってのマネジメントスキル。メンタルヘルスに関する知識(30代/営業)
    ・PCスキル(40代/接客・販売・店長・コールセンター)

学ぶ理由

  • 自らの成長目的で「学びたい」と考える人が多数。一方、「学ぶこと自体」が好きな人も。

    学びたいと考える人に理由をたずねたところ、最も多い理由は「広い知見・視野を得たい(71.0%)」で、次いで「自らの市場価値を高めたい(67.3%)」でした。

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また、学びたい理由を「活動している人」と「活動していない人」のそれぞれで見たところ、最も差があったのは「学ぶこと自体が好き」の回答で、活動している人が44.9%、活動していない人は27.1%と、17.7ポイントの差がありました。次に差が大きかったのは、「専門領域の先端知識を習得したい」の回答で、両者ともに上位に位置する理由ではありますが、学ぶために活動している人は51.3%、活動していない人は36.6%と、14.7ポイントの差がありました。

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学ぶ上での悩み

  • 多忙な日常の中で、学ぶ時間をつくる難しさを挙げる人が多数。さらに、学ぶために活動していない人は「学ぶことが定まらない」という悩みも。
    学びたいと考える人に悩みについてたずねたところ、何かしらの悩みがある人は82.6%にのぼりました。最も多い悩みは、「仕事が忙しく時間がとれない(57.4%)」。次いで「プライベートが忙しく時間がとれない(35.0%)」となり、多忙な日常の中で時間をつくることの難しさが浮かび上がりました。

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また、学ぶために「活動している人」と「活動していない人」の悩みをそれぞれ見たところ、最も差があった回答は「学ぶものが定まらない」でした。学ぶために活動している人の割合は16.3%であるのに対し、活動していない人は30.2%と、13.8ポイントの差があります。意欲とは裏腹に、具体的に学ぶ内容が定まらないと、活動へ進めない葛藤が見てとれます。

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「助かる」就業先からの支援

  • あると「助かる」のは、準備や学ぶ際にかかる「時間」や「費用」への支援。
    学びたいと考える人に就業先からの支援についてたずねたところ、支援があると助かる人は83.8%でした。支援内容については、「学習機会の提供(58.0%)」、「学習費用の支援(56.3%)」が多く、半数以上の人が回答。次いで、「時間の確保(42.2%)」となり、準備や学ぶ際にかかる時間や、費用に対する支援を求める声が多い結果となりました。

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解説

  • 「忙しくても学びたい」を突き動かすのは「貢献心」と「好奇心」

    エンジニアが法規制やアートを。経営企画職が歴史やAI分析を。営業がメンタルヘルスを。調査結果からは、転職を契機とした働き手の高い学習意欲と幅広い知見獲得への姿勢が見えてきました。

    そこに共通するのは、「目の前の業務に専門性をもって役立ちたいという貢献心」と 「未知なるもの・未知なる自分への好奇心」です。知識が急速に陳腐化するこの時代。「多忙」で「多様」な働く人々の、人生100年時代の働きながらの学びは、機に臨んで変化を先取りする「貢献心」と「好奇心」が拓きます。

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株式会社リクルートキャリア
HR統括編集長
藤井 薫(ふじい・かおる)

調査概要

実施期間|2019年3月15日(金) ~ 2019年3月31日(日)
調査対象|転職エージェントサービス『リクルートエージェント』の登録者で2018年8月~2019年1月の期間に入社先が確定した方
回答数 |930人
調査方式|インターネット調査

調査結果の注意点

%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の合計値が100%に一致しない場合があります。
差分の算出には小数点第2位を四捨五入する以前の数値を用いており、表示されている%で差分を算出した際と数値が一致しない場合があります。

本件の詳細はこちらをご覧ください。
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