鷗友学園女子中学高等学校と協働し、高校3年生向けキャリア教育プログラムをオリジナル開発・実施

全国の高校で取り組みが進んでいるキャリア教育。学校の特色や進学率・就職率などによってキャリア教育の形はさまざまで、就業体験を実施する学校もあれば、大学受験に向けた進路指導が中心という学校もあります。そんな中で今回、鷗友学園女子中学高等学校とリクルートが協働で企画開発したのが、卒業を間近に控えた高校3年生を対象としたオリジナルのキャリア教育プログラム。新たな人生を歩む生徒たちに、正解はひとつではなく、自分の評価軸や価値観を持って将来を考えてほしいという想いから、改めて将来・キャリアについてのワークショップを作り上げました。2023年3月13日(月)に行われたキャリア教育プログラムと、イベント終了後に開催された先生とリクルート社員によるキャリア教育に関するディスカッションの様子をレポートします。

卒業前の最後のメッセージとして、高校3年生へのエールとなるキャリア教育プログラム

鷗友学園女子中学高等学校と協働で開発した今回のオリジナルキャリア教育プログラムは、定期的な意見交換を継続してきた中で見つけた、幾つかのテーマのうちのひとつです。

高校でのキャリア教育というと、将来のキャリアよりも、目の前の大学合格に向けた進路指導が中心になってしまうケースがよくあります。今回協働した鷗友学園女子中学高等学校では、生徒たちの主体性ややりたいことを大切にするという考えの下で指導をしているものの、教員だけの知見では多様なキャリアの選択肢を生徒に提示することが難しく、その先のキャリアへどう接続したらいいのかという悩みを抱えていました。

そこで、キャリア領域で実績を持つリクルートと協働することで、大学受験に向けた進路指導とは違った、新たなキャリア教育プログラムをオリジナルで開発することに。鷗友学園の先生2名とリクルートからは『HR AGENT COLLEGE』(業務以外での体験から学びを得ることを目的としたリクルート従業員向けの選択型プログラム)から有志メンバーでプロジェクトを立ち上げ、企画開発から協働で実施しました。

今回のキャリア教育の参加対象となるのは、受験を終えて卒業を間近に控えた高校3年生。新しいスタートを切る生徒たちにエールとなるような最後のメッセージとして、「いろんな選択肢が増えている中で、ひとつの正解があるわけではない。自分の持ち味や価値観を知り、自分にとってのベストな選択を選べるようになってほしい」という想いを伝えることを目指しました。授業のゴールは、生徒たちが「自分の気持ちの変化(好き・嫌い/うれしい・悲しい)を捉え、新生活に向けて前向きの状態になっている!」こと。3部構成、計2時間のプログラムとなりました。

予想を上回る生徒が参加し、97%という高い満足度を獲得

プログラムは3部構成で、第1部は「私に関する15項目」。自分に関することならどんなことでもOK。その内容をチームで共有しあい、それぞれの価値観や人となりを知ることからスタートしました。

第2部では、グループごとにリクルート社員がメンターとしてつき、さらに自分を掘り下げる自己理解ワークを実施。過去から現在の印象的な出来事から自分の気持ちの変化を知るために、モチベーショングラフを作成しました。なぜその選択をして、どんな気持ちだったのかといった背景なども共有することで、改めていろいろな人生があることを生徒たちも感じ取ったようです。中には「あまり山も谷もなくて、モチベーショングラフがうまく描けない」「自分の気持ちを言語化するのが難しい」という声も数名の生徒から聞かれましたが、メンターからの「難しく考えず、自分の気持ちがアップした時に共通していることってないかな?」「そう感じたのはなぜだろう?」といった問いかけに答えながら、徐々に考えを深めていった様子でした。その後は、ペアワークによるモチベーショングラフをシェアする時間へ。このワークショップでは、「友達からのフィードバックを通じて自分についての新しい気づきが得られた」といった感想が多く聞かれました。

そして第3部では、第2部で知ることができた自分の特徴や持ち味も参考にしながら、時間軸は個々の自由に「数年後にこうなりたい」を考え、自分らしい人生を歩むためのネクストアクションを考えていくワークです。周囲の人とも会話しながら、15分かけて作成し、最後にその内容をチーム内でシェア。自分の未来の理想像とそのためにチャレンジしたいことをそれぞれが宣言しました。

プログラムの最後には、先生方とリクルート社員からのメッセージとして「学生生活や受験勉強では、“ひとつの正解”を探すことが多かったと思いますが、今後の道には選択肢がたくさんあり、正解はひとつではありません。他人や世間の評価に流されず、自分の選択に納得感や自信を持つことが重要になります」という言葉で締めくくられました。

授業後のアンケートでは、満足度97%という結果になり、「将来に対するモヤモヤがスッキリに変わった」「大学に入る前に自己分析ができたので、これから自分が何をしようか判断する基準となる軸が立った」「社会人になっても自分の興味に従ってチャレンジし続けている方もたくさんいることを知れて、将来が楽しみになった」といった前向きな感想が多く寄せられました。

キャリア教育をテーマにディスカッションを実施

イベント終了後には、先生方がリクルート社員とともに「キャリア教育」について掘り下げるディスカッションを実施。リアルな教育現場の悩みから、リクルートと協働で取り組む意義やメリットなどをお聞きしました。そこから見えてきたのは、今回のキャリア教育プログラムを通しての新しい学びです。

先生方からは、キラキラ働いているように見える社会人も紆余曲折や悩みがあり、高校3年生の時点でやりたいことが明確になくても、これから探していけばいいという視点を生徒たちに与えられた、というコメントをいただきました。それと同時に、生徒たちのキャリアの学びを深めていくさまざまなツールやノウハウを得られたこと、さらには、会議の進め方や働き方、プロジェクトでの役割分担の明確化、ビジョンの共有の仕方など自分たちの“当たり前”を見直すよい機会にもなったという声が上がりました。

正解がない世の中だからこそ “働く”を楽しく捉え、それぞれがベストな道を選んでいけるよう、リクルートでは今後もさまざまな活動を通してキャリア教育の支援を続けてまいります。

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