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理学療法の現場と考える『パラスポーツV R動画』の可能性

2021年11月29日

理学療法の現場と考える『パラスポーツV R動画』の可能性


2021年11月現在で16種目を紹介する『パラスポーツを疑似体験できるV R(360°)動画』とオリジナルの紙製VRスコープを理学療法の現場にお届けしました。(写真左:久保田 蒼さん、写真右:徳丸 煕さん)

障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指すリクルート。ビジョンを体現する『パラリング』の活動では、『パラスポーツを疑似体験できるV R(360°)動画』と、V R動画をより高い臨場感で体験できるオリジナルの紙製VRスコープを企業や団体などに無償で提供し、違いを超えて共生する社会を推進しています。 今回は理学療法士の久保田 蒼さんと、車いすバスケットボールのアスリートとして活躍する徳丸 煕さんにVR動画を視聴いただき、おふたりの感想や今後に期待することなどを伺いました。

VR動画をパラスポーツの入り口に

学生の頃から身体を動かすことが好きだったという久保田さん。理学療法士になった現在は、患者さんにリハビリテーションの一環としてパラスポーツをお勧めすることもあるといいます。
「ふだんの生活とスポーツでは身体の動かし方やバランスの取り方など違いますが、スポーツで筋力を高めることや、ふだんと異なる身体の使い方をすることは、生活を支える身体づくりにもつながります。また、日常に楽しさを見出すことで前向きになれたり、お子さんの場合だと特に、楽しく体を動かすことができたり、チームプレイを通じて協調性を育むことができたり、といった効果も期待できるのではないかと考えています」と話してくださいました。

理学療法士の久保田 蒼さん


パラスポーツをリハビリテーションの一環に取り入れている理学療法士の久保田 蒼さん。大学を卒業後、理学療法士としてリハビリテーション病院に勤務。現在は特定非営利活動法人フローレンスに所属。

一方で難しさを感じていたのが、パラスポーツを紹介する方法やタイミングだったといいます。
「後天的に障がいを抱えた方の場合、ご自身の状況を受容するまでに時間が必要です。要する時間は人によって異なり、わたしたちがはかることはできません。そのためパラスポーツの良い作用を感じながらも、実際にご紹介する方法やタイミングには配慮が必要で、難しさを感じていました。気持ちが前に向いていない状態でパラスポーツを勧めても裏目にでる可能性があるからです」と話してくださいました。
久保田さんのお話に頷く徳丸さん。
「人から紹介されるよりも、スポーツが面白そうだ!やってみたい!と自発的に感じる流れのほうが、きっかけとしては良いと思います」とおっしゃってくださいました。

そうした観点からVR動画に可能性を感じるという久保田さん。 「パラスポーツは気軽に体験できるものは少ないため、面白そう、やってみたいと思った方や、興味がある方にVR動画を視聴いただき、はじめるきっかけにしていただけたらと思います。また、先天的な障がいをお持ちのお子さんは、普段体験できない感覚を視覚で体験することで、パラスポーツに興味を持ってもらえるかもしれないと感じました」と久保田さん。

パラスポーツVR動画,車いすバスケットボールアスリート 徳丸 煕さん


車いすバスケットボールのアスリートとして活躍する徳丸 煕さん

一方で徳丸さんは、別の観点でVR動画の可能性について話してくださいました。
「私もそうでしたが、先天的に障がいがあると自分にどんな動きができるのか想像するのが難しいと思います。VR動画を視聴することで、こんな動きもできるのかと可能性を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。わたしが車いすバスケットボールをはじめたきっかけは見学会でしたが、もし、その前にVR動画を視聴する機会があったとしたら、車いすバスケットボールをはじめるタイミングが早まったかもしれませんし、ほかにもたくさんのパラスポーツの選択肢があることに希望を見出したかもしれません」と話してくださいました。

徳丸さんのお話に対し久保田さんは、パラスポーツのハードルについても話してくださいました。
「パラスポーツを運営する団体や障がいのある方が使えるスポーツ施設はそれほど多くなく、パラスポーツの見学や体験が気軽にできません。VR動画は時間や場所を選ばないので、選択肢を広げるうえでハードルをさげてくれると思います」と話してくださいました。

それぞれの強みを発揮することでハッピーな社会へ

久保田さんからはVR動画への今後の期待として、
「理学療法の現場で活用していくには、競技スポーツ以外のラインナップも増えると良いと感じました。障がいのない方すべてが競技スポーツをするわけではないように、障がいのある方がレクリエーションとしてスポーツを楽しむきっかけにもなってほしい。」とアドバイスくださいました。
徳丸さんも「重い障がいを抱えて絶望した方が希望を見出すのは、国際スポーツ大会の種目だけではありません。より多くの方が余暇活動を増やし、生きがいを手にする入り口になると良いですね」と話してくださいました。

共生社会を推進するために、障がいのない方にパラスポーツを通じて障がいを理解していただくきっかけを提供してきたVR動画ですが、今後は障がいを抱えた方がパラスポーツと出会うきっかけを提供していくことも模索していきます。

パラスポーツVR動画一覧


2021年11月時点、パラスポーツ16種目と、ダイジェスト版を含む17動画が一般公開中。

最後に、『パラリング』が掲げる『障がいの有無に関わらずそれぞれが活躍できる社会の実現を目指し、健常者と障がい者の情熱からつながりの輪を広げる』というコンセプトについて伺いました。

「とても共感します」と久保田さん。「もっといえば、障がいの有無に関わらず、そもそも一人ひとり違う、その違いが尊重され、それぞれの強みが発揮できたら社会はもっと面白く、ハッピーになると思います」と話してくださいました。

徳丸さんは「情熱という言葉に共感します。障がいのある人と、ない人だと、お互いにどう接していいかわからないときがあります。そうした隔たりを乗り越える原動力となるのが情熱ではないかと思います。パラスポーツをきっかけに、わたしの障がいに関心を持ってくれた友人や、理解してくれた友人がいました。パラスポーツという情熱でつながっていく実感があります」と話してくださいました。

久保田さん、徳丸さんのお話を通じて、たくさんの気づきをいただきました。共生社会の推進を視野に、コンテンツの活用の幅をより拡げていきます。

※パラスポーツ体験VR一覧は こちら

お問い合わせ先
株式会社リクルート パラリング 事務局
recruit_pararing@waku-2.com

パラリングとは?

「パラリング」とは「パラダイムシフト(考え方の変化)」と「リング(輪)」の造語で、障がい者理解を広めていくリクルートの活動です。リクルートは障がいの有無に関わらずそれぞれが活躍できる社会の実現を目指して活動をしています。