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2024.03.29 Fri
REPORT

半径5mの問いから生まれた個性豊かなビジネスプラン
「高校生Ring AWARD 2023」開催

半径5mの問いから生まれた個性豊かなビジネスプラン
「高校生Ring AWARD 2023」開催

人生を自分の意思で切り拓くために必要な「自ら問いを立て、自ら行動し、自ら変化を起こす力」=アントレプレナーシップ。これからを生きる若い世代にこそ、アントレプレナーシップを養う機会を届けたい──『高校生Ring』はそんな思いから始まった取り組みです。「半径5mの問い」というキーワードを軸に、自分の身の回りにある課題に注目し 、ビジネスプランを組み立てます。

2023年度の『高校生Ring』は、昨年度の6,186名から大きく拡大し、全国から25,827名の高校生が参加しました。エントリー後、参加校内での審査を経て、リクルートによる2次審査を通過したのは30チーム。2次審査以降は現役のリクルート社員がメンターとして伴走し、ビジネスプランの磨き込みをサポート。新たな視点から検討を深めてさらにプランを練り上げ、3次審査へと進みます。その後、5組のファイナリストが選ばれ、2024年2月に都内で開催された最終審査会『高校生Ring AWARD 2023』に臨みました。本記事では、当日の様子をお届けします。

舞台

MCの青木源太さんとトラウデン直美さんのオープニングトークから開幕した『高校生Ring AWARD 2023』。最終審査会には、前年同様にリクルートから販促領域プロダクトマネジメント室(まなび)室長の池田脩太郎と、執行役員の柏村美生が審査員として参加しました。加えて、社外からゲスト審査員をお招きし、合計4名の審査員が高校生によるプレゼンテーションを審査しました。

ゲスト審査員は、
─“かめはめ波を撃ちたい”という強い思いからAR技術を活用した新しいスポーツを開発・普及
 株式会社meleap CEO 福田 浩士氏

─起業道・失敗学・経営戦略の分野で教鞭をとり、ベンチャー企業のボードメンバーも務める
 バブソン大学アントレプレナーシップ准教授 山川 恭弘氏

の2名です。

審査員

最終審査に入る前に、審査委員長の池田から『高校生Ring』にかける思いと、評価の観点が説明されました。

池田:「私たちリクルートは、決められた正解がない時代を生きる上で、自分なりの答えを探す力が非常に重要な能力になると思っています。『高校生Ring』は“半径5mの問い”に重きを置き、身の回りに潜んでいる課題に対して、主体的に課題解決を実践していく姿勢を身につけてほしい、という思いで実施しています。
審査では、『オリジナルの視点や切り口か』『ビジネスになり得るか』『圧倒的当事者意識があるか』という3つの観点を大事にしています。今日は皆さんのプレゼンテーションを楽しみにしています」

株式会社meleap CEO 福田 浩士氏

期待と緊張が交錯する中、ついに5組のプレゼンテーションが始まりました。

【ファイナリスト1組目】

学校名 埼玉県立大宮南高等学校
プラン名 「GET〜より良い高校生活を〜」

購買オンラインサービス〈GET〉は、高校生がアプリで商品を注文・決済すると購買から商品を配達してもらうことができるサービスです。昼休みに多くの生徒が訪れる購買は、せっかく列に並んだにもかかわらず欲しかった食べ物が売り切れていたり、売り場に人がたくさん集まってくるのでゆっくり悩むことができなかったりと、さまざまな課題があり、実際に利用した際に感じた不便さを解消するために生まれました。

学生へのアンケートや購買のスタッフへのインタビューを通して、自分たちが感じていた課題を客観的に分析。購買側も注文数をあらかじめ把握できるので、食料品の廃棄量を減らすことができるなど、買う側と売る側の両方に寄り添って組み立てられたプランでした。トップバッターのプレッシャーの中、自信を持ってハキハキとアイデアを伝えていた様子も印象的でした。

「GET」の最終プレゼンテーションはこちら

埼玉県立大宮南高等学校「GET〜より良い高校生活を〜」

【ファイナリスト2組目】

学校名 西宮市立西宮東高等学校
プラン名 「旅のしおりをつくる・のこす『Bestrip』」

〈Bestrip〉は、たくさんの旅行のレビューをまとめることで、初めて訪れる場所でも理想通りに旅行の計画が立てられるサービスです。大好きなアーティストのライブを観に行くために関西の地元から東京ドームを訪れた際の旅行での経験がプランのきっかけでした。「電車の乗り換えがスムーズにできない」「周辺のおすすめスポットを探すことが難しい」、そんな実体験をもとに作られました。

旅行者は〈Bestrip〉で行きたい場所を設定し、「日帰り」「宿泊」などの条件を選択すると、過去にその場所を訪れた人の旅行の記録を見ることができます。あとは自分の好みに合わせて行きたい場所を選んでいくだけで、簡単に計画を立てることができます。旅行の記録にAIを活用することで、簡単に楽しく自分のプランを入力できるのも、大きな特長です。
自分の経験を生かした課題解決方法に、当事者意識の高さが見えたプレゼンテーションでした。

「Bestrip」の最終プレゼンテーションはこちら

西宮市立西宮東高等学校「旅のしおりをつくる・のこす『Bestrip』」

【ファイナリスト3組目】

学校名 東京都立上野高等学校
プラン名 「外来シュポット」

〈外来シュポット〉は、外来魚問題をゲームアプリで解決することを目指し、豊かな生態系を取り戻すためのサービスです。滋賀県に住む祖父と釣りに出かけた際、「昔は琵琶湖でたくさんの固有種の魚が釣れた」と聞き、国内に生息している固有種の魚が減少している問題を発見しました。詳しく調べると、固有種が減少している最大の要因は外来種の増加だとわかったことがプランのきっかけでした。

リアルとバーチャルの感覚が融合した新感覚の釣りゲームを楽しみながら、外来魚の駆除数の増加に貢献できるこのアプリは、各地の新たな外来魚の早期発見につながります。
スマホゲームの市場調査や競合分析まで丁寧にリサーチされたプランでありながら、魚に限らず植物や昆虫などにも応用できる可能性を示し、発展性の高さも感じさせる内容でした。

「外来シュポット」の最終プレゼンテーションはこちら

東京都立上野高等学校「外来シュポット」

【ファイナリスト4組目】

学校名 星陵高等学校
プラン名 「ユニバーサルクローゼット」

〈ユニバーサルクローゼット〉は「医療」と「衣料」、2つの「いりょう」をテーマに、誰もが自由に服を選んで受け取ることができる世界を目指すためのインターネットサイトです。自身の経験から、一般的な洋服の裾は手元が見えづらく注射が打ちにくいという課題を見つけたことが発案のきっかけに。ユニバーサルファッションの普及は徐々に進んではいるものの、まだ広く知られていないのではないかという現状にも着目しました。

「医療器具着用の不便さ」「病気によるファッションの制限」という2つの課題に対し、〈ユニバーサルクローゼット〉では、服飾事業者や医療従事者と連携しながら患者へ洋服や商品の情報を提供します。
病気やけがの個体差を可視化し、患者と事業者がこれまで以上に密接で具体的なコミュニケーションをとることで、ユニバーサルファッションの認知が広がるだけでなく、誰もが洋服でおしゃれをすることを諦めないで済む世界が実現しそうなプランでした。

「ユニバーサルクローゼット」の最終プレゼンテーションはこちら

星陵高等学校「ユニバーサルクローゼット」

【ファイナリスト5組目】

学校名 大妻高等学校
プラン名 「みんスタ」

生徒間でノートを共有する学習アプリ〈みんスタ〉は、オンライン上でみんなが集まって勉強することをテーマに掲げたアプリです。「勉強は一人でするもの」という常識が生み出している学生の悩みに着目して設計されました。

〈みんスタ〉は、「集中できない」「質問しづらい」といった、一人で勉強するときに生じる悩みを解決します。ユーザーはアプリ内に登録されている他の学生のノートを自由に閲覧でき、苦手な箇所を他の学生はどのように理解しているのか、〈みんスタ〉のノートを参考にすることで、自分に合った考え方や解き方が見つかり、勉強のスタイルに刺激や変化が生まれます。
生徒同士がそれぞれの得意・不得意を生かし合い、切磋琢磨しながら勉強することを目指すという柔軟な発想力で、審査員を驚かせました。

「みんスタ」の最終プレゼンテーションはこちら

大妻高等学校「みんスタ」

当日は高校生、先生、アントレプレナーシップ教育に携わる社会人などさまざまな参加者が、自分自身の気づきを共有し合う時間(※CO-ENタイム)も設けられ、新たな出会いや発見が生まれる様子がうかがえました。
※CO-ENについて詳細はこちら

CO-EN

結果発表
審査の結果、グランプリは星陵高等学校の〈ユニバーサルクローゼット〉に決まりました。
審査員からは、「自身の経験をきっかけにしたオリジナリティ、ビジネスとして幅広い形で発展していく可能性、パワフルなプレゼンテーションに込められた圧倒的当事者意識、全てが非常に優れていると感じました。提案にとどまらず、実装して課題解決するまでをぜひ実現してほしいです」という講評がありました。

受賞者コメント:「ビジネスプランの構想を考える期間や、このような大きな舞台で自分の思いを伝えることがかけがえのない経験になりました。大学受験や今後の人生で大変なこともたくさんあると思いますが、『高校生Ring』を通して得たことを糧に、これからも頑張りたいと思います」

グランプリコメント

そして準グランプリは東京都立上野高等学校の〈外来シュポット〉が受賞しました。
「多くの大人、そして世界も気づいている外来種問題について、どうしたら多くの人に参加してもらえるかを検討し、ゲーム性を加えて解決を目指すというアイデアが素晴らしいと感じました。プレゼンの中でも、魚に限らず植物や昆虫への展開について触れられていて、広がりのあるビジネスプランだと思います」と審査員から伝えられました。

受賞者コメント:「『高校生Ring』を通してたくさんの学びがあったので、最後に準グランプリを獲ることができて本当にうれしいです。他のファイナリストの皆さんのビジネスプランも驚くようなアイデアばかりで、とても刺激を受けました」

受賞者の熱いメッセージと、ファイナリストの未来への希望を受け取った会場からは、大きな拍手が送られました。
最後に、2名の社外審査員から高校生へエールが送られました。

トロフィー

福田:「今回はアイデアだけを発表する場でしたが、ビジネスの面白さは、これから人を巻き込み実行するところ。どのように人や社会を巻き込み、世界を変えていくのか。『こんな世界があったらいいな』という未来への期待を忘れずに、自分に自信と確信を持ってチャレンジしてほしいです。今日は素敵な時間をありがとうございました」

山川:「どのチームからも元気いっぱいのエネルギーが感じられて、日本の高校生はかっこいいなと感じました。この先は、まずは一歩踏み出してみてほしいです。挑戦することでわくわくする毎日を過ごしてください。たくさんの勇気をもらいました。本当にありがとうございます」

審査委員長の池田は、参加いただいた全国の高校生へ向けてこのようにメッセージを送りました。

池田:「『高校生Ring AWARD 2023』ではグランプリが決定しましたが、グランプリを獲得することだけが正解や目標ではないと思っています。全国で2万5千人以上の方にエントリーしていただきましたが、『高校生Ring』に取り組む過程の中で『この課題は自分が解決するんだ!』と情熱に火がついた瞬間が皆さん一人一人にあるのではないでしょうか。そのような経験が、これからの人生で情熱を持って何かに取り組むきっかけになればうれしいです。これからも日本でアントレプレナーシップが広がるように『高校生Ring』の活動を広げていきたいと思っています」

身の回りにある課題から社会を巻き込んでいくビジネスプランを考案した経験や、そこで培われた主体性は、これからの人生でもきっと助けになる。時には迷い、悩みながら、それでも一歩を踏み出した高校生たちの勇気をたたえるエールでした。最後に、会場ではエンディングムービーが流れ、高校生たちが一生懸命挑戦してきた約半年間のハイライトを会場全体があたたかい気持ちで見守り、『高校生Ring AWARD 2023』は幕を閉じました。ここからまた高校生たちの新しい挑戦が始まることを願って。

集合写真

最終審査会「高校生Ring AWARD 2023」当日の様子は下記から視聴いただけます。ぜひご覧ください!
【リクルート】高校生Ring2023_AWARD(最終プレゼン)編/アントレプレナーシップ・プログラム

【リクルート】高校生Ring2023_AWARD(最終プレゼン)編/アントレプレナーシップ・プログラム

※プログラム参加にあたり提出したエントリーシートの著作権その他一切の権利は、生徒に帰属します。
※名称・内容等はあくまでもアントレプレナーシップ教育プログラムにおけるプラン名・アイデアです。

『高校生Ring』では、高校生一人ひとりの成長過程にフォーカスしたドキュメンタリー映像を公開中。
自ら立てた「問い」と向き合い続けた、高校生たちの軌跡をご覧ください。

【リクルート】高校生Ring 『スマホが教えてくれないこと』
【リクルート】高校生Ring2023_ドキュメンタリー#1 ビジネスプラン作成編
【リクルート】高校生Ring2023_AWARD直前応援ムービー
【リクルート】高校生Ring2023_総集編/アントレプレナーシップ・プログラム

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