人事の実験組織『HITOLAB』の挑戦 社会をアップデートする“人事的アプローチ”とは?

人事の実験組織『HITOLAB』の挑戦 社会をアップデートする“人事的アプローチ”とは?

不確実性、複雑性の高い時代のなかで、“社会をアップデートする人材”が求められている。
『HITOLAB(ヒトラボ)』は、株式会社リクルートが2019 年4 月に立ち上げた、地域や学校現場、イノベーション組織の、リーダー育成や組織開発のノウハウ開発を研究している組織。新たな手法やノウハウを持つ外部機関や組織、識者と連携しながら収得したメソッドを社内外に発信・提供していくことをミッションとして活動する福田竹志に話をきいた。

米国ミネルバのメソッド“Managing Complexity” 複雑性をマネジメントする未来型リーダーシップへ

福田:急速に変化し複雑性が増す事業環境のなかで、人材育成の考え方もアップデートする必要性を感じてきました。組織として強くなるためには、個々のリーダーもシステムシンキングや分析型問題解決、自己認識、共感型コミュニケーションを含む複数の能力の強化が必要です。
求められる能力を並べ立てるのは簡単なのですが、どうしたら、能力開発をすることができるのか? スキルセットができるのか? それが問題でした。そんななか出合ったのが、革新的教育システムを先導する米国のミネルバ大学を運営するミネルバプロジェクト(Minerva Project)だったのです。
ミネルバのリーダーシップ・アクセラレータープログラムはとにかくユニーク。一人ひとりのメンバーはもちろん、チーム全体のパフォーマンスを向上させるための能力開発を目的に設計。脳科学も取り入れた科学的研究成果と関連するビジネスケースとで構成されています。
ミネルバの「Minerva's mission of Nurturing Critical Wisdom for the Sake of the World」(世界のために必要な知恵を育てる)と言うミッションは、リクルートの経営理念「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」にも通じるものがあります。
人事部は通常、社内に対する人事的アプローチのアップデートに注力しますが、より本質的な次世代社会に求められるリーダーシップを考え、社会全体をアップデートしうる解決策を志向すべきではないかと思い至ったのです。2020年、実験組織として立ち上がった『HITOLAB』では、社会のさまざまな現場に飛び込んで、未来型のリーダーシップスキルを実証研究し、より多くの人が身につける支援をしていきたいと考えて活動しています。

公教育、地方創生、女性活躍、学生起業家…リーダーシップで社会変革できる起点が拡がっている

社会をアップデートするために、「最もインパクトが大きい支援方法とは何か?」を考え続けて、HITOLABでは、さまざまな実証的な研究活動をしてきました。さまざまなコミュニティと関わるなかで、やはり、リーダーが変わることが、全体への波及効果が大きいことを実感しています。

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先ほどのミネルバと連携した活動では、女性リーダーを含め、さまざまな分野のリーダーにミネルバプログラムを一緒に受講いただき、各界にリーダーシップの共通言語を拡げていこうとしています。これまでリーダー像として、上位下達型かサーバント型かといった二極で語られることもありましたが、これからはシステム適応型のリーダーこそが複雑性をマネジメントできると考えています。不確実性を受け入れ組織や個人をナビゲートできる力、共栄共存のスタンス、共感で導く力などを発揮するためのプログラムを通じて、社内外のダイバシ―ティ&インクルージョンを推進するとともに、こうしたリーダーが社会全体をアップデートする起爆剤になっていく手ごたえを感じています。

教育現場では、高校生を対象とした「学び方を学ぶ」プログラムの実施と同時に、教員の方向けに、「教え方を学ぶ」プログラムを展開しています。こちらは、経済産業省の「未来の教室実証事業」としてその成果を発表させていただいています。

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また、グローバルで大学生向けの社会起業家支援活動をしているHULT PRIZEや公益財団法人やNPOなどとも連携し、社会起業家支援プログラムのお手伝いをしながら、次世代に求められる人事的アプローチの研究なども継続しています。

これからも、雇用、働き方、教育、地域創生、少子高齢化など、アップデートを待ち望む領域や社会全体が抱える構造的課題を、社外の知恵やネットワークとリクルートの培ってきた人・組織に関する知見を掛けあわせて解決していきたい。社会をアップデートする人事的アプローチに昇華することで、社会課題解決に貢献していきたいと思っています。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

福田竹志(ふくだ・たけし)

株式会社リクルート 人事統括本部 人事 HITOLAB

2004年リクルート入社。新規事業立ち上げ(熊本・宮崎)、営業企画・経営企画や人事部長を務める。専門は1を10にする事業成長の伴走や人材・組織開発。現在は社内にR&D組織HITOLAB(ヒトラボ)を設立し、自治体や学校、他企業と「人と組織」に関わるプロジェクトを進める

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