その時の気分でお店を決めたい。『ホットペッパーグルメ』「席押さえ」で外食はもっと便利に楽しく

2026年1月に『ホットペッパーグルメ』から「席押さえ」機能がリリースされました。その利便性の裏にはどんな「不」があったのか、なぜ「今」なのか。開発の背景や今後の外食産業への思いについて、プロダクト責任者の石川周平に聞きました。

“あるある”の残念体験がなくなる!

― 「席押さえ」機能について、まずは簡単に教えてください。

石川:はい、その名の通り「ご飯を食べに行こう」「飲みに行こう」と思った時に、自分の位置情報をもとに、15分程度で入店できるお店を表示してくれるアプリ機能です。そのまま数タップで席を押さえることができます。あとはお店へ向かうだけです。

『ホットペッパーグルメ』「席押さえ」機能イメージ図
アプリ起動から席押さえ完了まで数タップという手軽さ

― シンプルですね。飲食店に予約するのとは違うのですか?

石川:はい。『ホットペッパーグルメ』では2000年のサービス開始当初(当時はクーポンマガジン)から、ユーザーと飲食店のマッチングの機会は「お店を事前に予約する」ことにあると考えてきました。しかし2025年に社内で実施した調査結果※では、予約して来店するのは外食全体の一部。約63%は当日お店に直接来ています。しかもそのうちの3割以上は、来店前の60分の間に、お店を探して決めているということが分かりました。

― 確かに、歓送迎会や大事な会食の際は予約をしますが、それ以外の平日のランチや、仕事帰りに「飲みに行く?」みたいなシーンでは、居合わせた人とその場の流れで、空いていそうなお店に入ってるかも…。

石川:そうなんです。事前に予約しない63%は、どこに入るかを直前にしか決められない、またはあえてそうしていると考えました。

― あえて?

石川:例えば仲の良い友人4~5人で飲みに行こう、というシーンをイメージしてください。駅前に集合して、何となく繁華街に向けて歩き始めながら、「どこにする~?」「何食べたい?」と会話が始まります。
偶然目に入った看板を見ながら「焼肉あるよ!」「俺、昨日も肉だったわ~」「じゃあ違うのにしよう」なんて言い合いながら段々と皆の希望の解像度が上がっていくわけです。こういう飲み会は、「場所はその日の気分で適当に!」と言いながら集合していることが多いですが、本当に全く「どこでもいい」わけではないんです。

― むしろその場で選びたい、と。

石川:しばらく歩いてやっと「じゃあ、ここ入ろっか」と意見が合ったのに、ドアを開けたら「満席です」と断られる。それが3件、4件と続いて、街を彷徨っていると萎えてきて、しまいには「もうコンビニで買って公園で飲もう」となっちゃったりする。これは残念な体験です。
「今日サクメシ行く?」というライトなシーンも同様。いつものお店に行ってみたら空いてなくて、しばらくお店探しにうろつく、そのうち気持ちが冷めてくる…ということはよくある話でしょう。

― 思い当たることばかりです。「直前にしか決められない」パターンというのは?

石川:例えば小さなお子さんがいる家族。時間通りに動けない、でも時間に余裕もない。「今日は外でランチしよう!」となっても、子どもが靴をはいてくれないとかあって、「そろそろ出よう」と言い出してから30分経過。ファミレスなら入れるかと思ったのに混んでいて「20分待ち」と言われる。そうこうしているうちに子どもが昼寝の時間になる、とか。

― 子育て世代には共感しかない…。時間が読めないし、時間に合わせようとするとイライラしちゃうから、前もって予約なんてできないです。

石川:「今からご飯を食べられるお店に入りたい」という、とても単純で日常的なことにまつわる「不」(不安や不満、不便)は、本当は多かったんです。そしてまだまだあると考えています。

※… インターネット調査(2024年7月実施)。20代~60代の男女10,000人(北海道、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、福岡)を対象に実施。【予約の有無】予約を受け付けている飲食店で、直近半年以内に夜に外食した経験がある5,869人について、直近の外食から最大3件の来店(計13,392件)を集計。【お店を決めるタイミング】上記のうち、予約せずに外食した経験がある1,000人について、同様に最大3件の来店(計1,904件)を集計。

『ホットペッパーグルメ』「席押さえ」について語るリクルートの石川周平

実はお店側も日常的に損をしていた!?

石川:先ほど、「どこにする~?」なんて言いながら街を歩くシーンをイメージしてもらいましたが、その時の目線ってどの辺を見てそうですか? 建物の上の方まで見てますか?

― 見てないことの方が多いですね。

石川:そうでしょう。でも、飲食店って空中階(建物の2階以上)にもたくさんあるんですよ。カフェやバーなど、個性豊かな個人店も多い。ところが、目に入ったお店にフラッと入るという時に、空中階は見落とされがちなんです。これまで、本当は気分にあったお店に入ることができたかもしれないのに損をしていたユーザーがたくさんいたと思います。

― お店側も、気付いてもらうために頑張らないといけないですね。個人店はただでさえ一人で色々やらないといけないのに、大変そうです。

石川:「席押さえ」が活用されることで、ユーザーと飲食店の新たな出会いの機会が増えることはもちろん、お店側は集客の不安が少しでも減り、その分料理やサービスなど本当は集中したかったことを追求できるようになるといいな、という期待もあります。

ニーズは20年以上前から。今ならできる、最後の一押しは「正方形」

― ここまでお話を聞いて、当たり前と思って受け入れていた「不」がこんなにも大きかったことに驚いています。同時に不思議なのが、なんで“今”なの?と。もっと昔からあっても良さそうなサービスですよね。

石川:『ホットペッパーグルメ』には、予約や空き状況の確認をより簡単に、速くしようと試行錯誤してきた歴史があります。クーポンマガジンとして2000年に始まり、インターネット化で電話予約以外の方法が出現し、『Airレジ』や『レストランボード』といった店舗へのSaaS提供を通じて空席状況を一覧化できるようになり、『Airウェイト』を開発した辺りからは来店当日の待ち時間の不満を解消するようなチャレンジも始まっていました。そんななか突破口となったのが、コロナ禍に開発が進んだ『Airレジ オーダー』です。

― テーブルのQRコード※2を自分のスマホで読み込んで、好きなタイミングで注文できる、アレですね。

※2…株式会社デンソーウェーブの登録商標

『Airレジ オーダー』の画面

石川:コロナ禍では3密回避、その後も店舗のオペレーション改善効果やユーザーの注文しやすさの向上などが好評で、多くのお店で導入が進みました。注文状況が分かることで「注文終了、お会計」というプロセスを把握できる側面もあり、よりリアルタイムに正確な空席情報を可視化できるようになりました。

― おおっ遂に! 今ならできるぞ、と。

石川:店舗側の空席状況をリアルタイムでユーザーに開示できる世界は見えてきましたが、サービスとして提供する以上、「日本中のどんなユーザーに対しても“今から15分程度で入店”できる飲食店の選択肢を十分に提供できるのか?」に答える必要がありました。

― 確かにそうですが…そんなこと分かるんですか?

石川:入社間もないメンバーたちが「日本全国を正方形のブロックに細分化して検証すればいいじゃないか」と、本当に力業で分析し始めたんです。
「十分な選択肢」って、店舗と人口のバランスで決まるので、繁華街か山間部かによっても判断が変わります。この正方形内が山なのか街なのかはどうやって判別すればいいんだ? とか、どのくらいの飲食店情報が提供できれば十分と言えるのか? とか、検証方法も判定ロジックも自分たちで開発しながら進めました。

― 前例なき分析ニーズ。道なき道を開拓しながら自己点検していったんですね。

『ホットペッパーグルメ』「席押さえ」は路面店以外の飲食店とお客様をマッチングする効果も期待される

石川:数ヶ月にわたる検証を経て、これなら世の中にサービスとしてリリースしても受け入れていただけるのではないかと思えたので、今があります。もちろんエリアによっては十分でないところはあるので、日々進化中です。

― 勢いだけで出したアプリではないと知り、使ってみたくなってきました。

石川:2025年の夏頃から、一部地域で「席押さえ」の実証実験を行っていました。当初はいくつかオペレーション上の懸念もあったのですが、「約15分で到着できる距離のお店のみを表示する」という設定が奏功し来店率も95%と高く、また店舗の方々の多大なご協力もあり、全国展開に踏み切れました。

― ほかに、先行導入から見えていることはありますか?

石川:移動手段が徒歩なのか車なのかによっても「15分程度で入店できる」距離が違うと分かってきました。ドライブしながら助手席の方が検索している、というような使われ方もありました。席押さえした後の道案内や、到着時刻予測など、さらにいい体験を創ることができそうな兆しを感じています。

リクルートの『レストランボード』の画面。『ホットペッパーグルメ』「席押さえ」が連携され、表示される
「席押さえ」されると店舗側ではSaaS『レストランボード』上にリアルタイムで表示される

素直なユーザー目線からフラットに考える

― 実は石川さん、この事業を担当してまだ1年足らずだとか?

石川:はい、入社以来、新規事業開発案件に関わることが多く、『ホットペッパーグルメ』に直接関わることはあまりありませんでした。なので着任が決まってからは真っ先に、『ホットペッパーグルメ』を改めていちユーザーとして使い込むことにしたんです。

予約をし、何店舗もお店に伺わせていただくなかで、もちろん『ホットペッパーグルメ』として改善すべき点も多く見つけましたが、同時に、素敵なお店がたくさん掲載されているのに、その価値がユーザーの皆さんにうまく伝わっていないのではないか、勿体ないな、と思うようになりました。

― ユーザー目線からとらえ直したんですね。今回、口コミ機能もアップデートされていますが、その辺りも関係していますか?

石川:そうですね。外食のシーンでは、「誰と行くのか」や「今日の気分」といったさまざまな条件によって行きたいお店が変わると考えています。お店選びに絶対の正解はないからこそ、口コミや評点といった助けとなる情報を提供していきたいと考えています。ひいてはお店側にとっても、よりマッチ度の高いお客様との出会いにつながるようにしていきたいですね。

― そんな石川さんがこれからの飲食業界に期待することや、理想の未来は?

石川:「ご飯を食べに行こう」と決めたら席を押さえてから来店する、という行為を当たり前の文化にしたいです。「10分後に3人で入れますか、と電話してたんだよ」とか「ドアを開けてみたら、満席ですと断られることがあったんだよ」という昔話が「何それ! 信じられない、非効率!」と笑われるくらいの未来が理想ですね。リクルートのなかには『ホットペッパービューティー』が美容サロンへの予約文化を推進した先例がありますから、あり得なくはない世界だと思います。

誰かとご飯を食べに行く、ということは、本来とても幸せな活動だと思うんです。その予約は幸せの予約であり、席押さえは幸せの前押さえでもあるとすら私には思えるんです。その幸せな時間を最大化するために、不安や不満、不便は限りなく減らしていきたい。
また、日本の企業のかなりの割合は飲食店です。飲食業界が儲かれば、そこで働く多くの個人にも還元されますし、日本の外食産業の多様性、ユニークさを守ることにもつながります。巡り巡って、日本経済を好循環させることにもなるんじゃないかと期待しているんです。

― 便利に楽しく外食するだけなのに、いいこと尽くし! 私も一緒に盛り上げたいです。

石川:まずは『ホットペッパーグルメ』のアプリをダウンロードしてください! そして一回使ってみてください。ひとりご飯の際も便利ですが、できれば誰かとワイワイご飯に行く体験も同時にしてもらえると、外食文化が好きな私としては嬉しいです。

リクルート『ホットペッパーグルメ』のプロダクト責任者を務める石川周平

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

石川周平(いしかわ・しゅうへい)
株式会社リクルート 販促領域プロダクトマネジメント室(旅行・飲食・ビューティー・IDP) Vice President

2011年入社。『ポンパレ』『MARQREL』『Airウォレット』などの新規事業を中心に、開発、UX、運用、企画、プロダクトマネジメントなどを担当。SaaS領域のプロダクトマネジャー、決済ビジネスのプロダクトマネジャーを歴任し、2025年より現職

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