『エアウォレット クイックローン』が目指す、“借りにくさ”をなくす未来

「あと少しお金があれば、挑戦や生活の選択肢が広がる」。そんな声に応えるために生まれたのが、スマホで2項目※1を入力するだけで簡単に申し込め、最短5分※2で入金される個人向けローンサービス『エアウォレット クイックローン』です。リクルートと株式会社三菱UFJ銀行が共同出資する子会社の株式会社リクルートMUFGビジネス(以下、RMB)が提供する本サービスは、資金に不安を抱える場面の“あと一歩”を後押しするもの。本サービスの設計背景と込めた思いについて、開発を手掛けたRMB 取締役COO・西脇源太に話を聞きました。
※1:『エアウォレット』で本人確認を済ませていること、および事前アンケートに回答していることが条件になります。ただし、雇用形態によっては1~2項目の追加入力が発生します
※2:借り入れには審査があり、お申込時刻や審査によりご希望に添えない場合があります
「借りたいけれど、借りられない」そんな声から生まれた
『エアウォレット クイックローン』
― 2025年夏に提供開始予定の『エアウォレット クイックローン』について、まずは、このサービスが生まれた背景について教えてください。
西脇:日常生活において、学費や急な医療費、冠婚葬祭、あるいは旅行や自己投資など「あと少しお金があれば…」と思う瞬間は誰にでも経験があるのではないでしょうか。私自身も学生時代、「あと数千円あれば…」と思ったことが何度もありました。
けれど、「お金を借りる」となると、多くの人が心理的に構えてしまいます。実際、ヒアリングを通じて、「借りたいけれど借りられない」「怖くて借りられない」とためらい、その結果、チャンスや選択肢を失っている人が少なくないことが改めて分かりました。
今回提供を開始する『エアウォレット クイックローン』は、そうした「借りたいけれど借りられない」というジレンマを解消するサービスです。職業や年代を問わず、日常のなかで「あと少し」を必要とするあらゆる場面に寄り添いたい。そんな思いから生まれました。

借りるのに最短5分※2、新規入力は2項目※1だけ
― 「借りたいけれど借りられない」というジレンマをどう解消するのでしょうか?
西脇:まず、お金を借りる行為は個人情報の入力や審査など工数が多いことから、とても面倒なことだと思われているので、そのハードルを下げました。『エアウォレット クイックローン』の最大の特徴は、“とにかく簡単であること”です。
申し込みには送金アプリ『エアウォレット』アプリの利用が前提ですが、既にアカウントがある方であれば、借りるための入力項目はたったふたつ※1。任意のログインパスワードと希望金額だけです。申請後、最短5分※2でアプリ残高にチャージされるか、指定口座に振り込まれます。夜間や休日の申請・受け取りも可能です。
※1:『エアウォレット』で本人確認を済ませていること、および事前アンケートに回答していることが条件になります。ただし、雇用形態によっては1~2項目の追加入力が発生します
※2:借り入れには審査があり、お申込時刻や審査によりご希望に添えない場合があります
このスピード感は、こだわったポイントでもあり、サービスとしての大きな特徴になっています。 入力項目の多さや審査の長さは、借り入れを心理的に遠ざける大きな要因です。私たちは、既にある『エアウォレット』でのサービス接点を最大限活用することで、その“借りにくさ”を徹底的に解消しました。数千円から借りることができる、用途を限定しないローンであることも利用しやすい点だと思っています。
とはいえ、金融業界において、今回私たちが行ったような“入力項目を極限まで減らす”という試みは前例が少なく、何度も調整を重ねながら進めました。法律の要件やセキュリティ面を守りながら、いかにユーザーの皆さまの利用までのご負担を減らすか。地道な調整と試行錯誤の連続でした。

不安をなくす安心設計 借り過ぎを防ぐ工夫も
― 思いついた時にいつでも5分でお金が手に入るというのは嬉しいですが、その手軽さゆえの不安も感じてしまいます。
西脇:確かに簡単に借りられるのは、「使い過ぎてしまうのでは?」という不安につながることもあります。実際、私たちも開発当初から、その点には特に配慮して設計してきました。私たちは“簡単に”借りられることは目指していますが、“軽く”借りさせることを目的にはしていません。
例えば、申し込みの前には返済シミュレーションを行ってもらう仕組みになっていて、自分の返済イメージを明確にしてから進む設計にしています。また、プッシュ通知による返済スケジュールのリマインドや、マイページ上での借り入れ・返済状況の可視化機能など、ユーザーが「今どれだけ借りていて、どれだけ返す必要があるのか」を常に把握できるようにしています。
さらに、今後も借り過ぎへの注意喚起機能やアルバイトの給与やシフトを管理できるアプリ『シフトボード』と協働することで、利用者がすでに働いた分や今後のシフトに基づく給与を確認しながら、計画的な借り入れができる機能なども拡充予定です。これは単なる利便性の提供ではなく、安心して使っていただくための重要な仕組みだと考えています。
なお、私たちはあくまで代理店として集客および金銭の貸借の媒介サービスを提供しています。与信審査や貸付業務は、三菱UFJフィナンシャル・グループにおいてエンベデッド・ファイナンスを提供するGeNiE株式会社が担っており、適切な運用体制の下で行われています。

なぜリクルートが金融サービスを?
「選択肢のある社会」を目指して
― 対策も万全なんですね。ですが、個人向けローンサービスは既に数多ありますよね。なぜ今、リクルートが取り組むのでしょうか?
西脇:そう思われるのもごもっともだと思います。ですが、リクルートがこれまで展開してきた教育や就業・転職・転居といった領域には、常に“お金”という現実的なハードルが存在してきました。「受験費用があれば資格取得に挑戦できたのに…」「初期費用があれば引っ越して仕事が変えられたのに…」といった多くの声がありました。
こうした声に向き合うなかで、リクルートとして既に提供していた『エアウォレット』事業に付随して、資金的な選択肢も届けられないかと生まれたのが今回の『エアウォレット クイックローン』 です。金融事業そのものが目的なのではなく、人の可能性を後押しする手段のひとつとしてサービスを拡げたという位置づけなんです。
ローンというサービスが、世の中のイメージもあり、賛否があるのも理解はしています。でも、クレジットカードや奨学金など“借りて返す”仕組みは既に日常的に存在しており、それらとの本質的な違いはありません。むしろ、ローンだけが特別ネガティブに捉えられてしまう現状には違和感がありました。
重要なのは「本当に必要な人が、必要な時に、適切な範囲で使えること」。この観点を外さなければ、資金提供はむしろ、誰かの未来を切り拓く選択肢になり得ると信じています。

お金の不安に左右されない選択肢を、全ての人に
― 金融事業を進めていくにあたって、西脇さん自身の思いも影響しているのでしょうか?
西脇:はい。私は、お金のことは「できればあまり考えたくない、面倒くさいと思うタイプ」です。だからこそ、お金にまつわる“わずらわしさ”を少しでも減らしたいと思い、これまでも『エアウォレット』で手数料も手間もかけずに資金移動ができる仕組みを作ってきました。今回のクイックローンに簡単さを追求したのもそのひとつなんです。
自分も学生時代に「あと数千円あれば…」と何度も思った記憶がありますが、これは多くの方も恐らく経験されてることだと思います。わずかでも資金があるだけで選択肢が変わることも多いのではないでしょうか。
人生の大切な選択肢の多くには、どうしても“お金”が関わってきます。その時に「お金が足りないからあきらめる」「選べない」という状況があるとしたら、それはとてももったいないことです。私たちは、ローンを勧めたいわけではありません。ただ、正しく設計された仕組みが、必要な時に、必要な人に、きちんと届くことで、未来の選択肢を拓く可能性があると信じています。
『エアウォレット クイックローン』がその一助となるように。そのためにも、これからも真摯にこのサービスと向き合い、より良く磨き続けていきます。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 西脇源太(にしわき・げんた)
- 株式会社リクルートMUFGビジネス 取締役COO
株式会社リクルート SaaS領域プロダクトマネジメント室 新規決済プロダクトマネジメントユニット Vice President -
戦略コンサルティング会社で幅広い業界を対象に戦略構築等に関わった後、2015年に株式会社リクルートライフスタイル(現・株式会社リクルート)に入社。旅行情報誌『じゃらん』の関連サービスや新規事業検討に携わった後、RMBに出向し、取締役COOに就任