「お金がないからあきらめる」のない世界へ。『請求書立替払いサービス』『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』
「新しいチャレンジをするために、スピーディに資金を調達したい」「売上が立つまでの間、キャッシュの余裕を持ちたい」そんな中小企業や個人事業主の皆様の資金繰りに関するお声から、リクルートグループは『請求書立替払いサービス』を2025年4月に本格リリース、美容サロンに特化した『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』を26年5月にスタートしました。開発に携わったふたりに、サービスの使いやすさや安全性を実現するため、裏側でどのような工夫を重ねたのか聞きました。
「やりたいこと」をあきらめない。挑戦を支えるスピーディな資金繰り対策
―『請求書立替払いサービス』『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』は両方とも、資金繰りに関する不便や不安が開発のきっかけだったそうですね?
萩原:私は『請求書立替払いサービス』の立ち上げのためにリクルートに入社し、サービス検討にあたり、さまざまな個人商店や中小企業の経営者の皆様にインタビューをさせていただきました。すると「手元資金を安定させることができれば、さまざまな挑戦ができるのに」と経営者の方々からお声をいただくことが、非常に多かったのです。
例えば「大口の予約が入ったものの、食材やお酒の仕入れの支払いが先行するため、実際の売上が入金されるまでの間、手元の資金繰りに強い不安を抱えている」「予期せぬ設備の故障で想定外の出費が重なり、本来やりたかった新しい施策に資金を回せない」などと、繁盛の裏側で切実な不安や日々のご苦労があることをお聞きしました。

小野:「だったら金融機関からお金を借りたらいいのでは?」と思われるかもしれません。ですが、日頃から金融機関とお付き合いがないことや、融資のための提出書類が煩雑であること、融資が実行されるまで1ヶ月近くを要することなどがネックになり、融資をためらう方が多いのです。私もヒアリングを通じて、お金という制約を少しでも減らして、不安なく挑戦できるサポートがしたいと感じました。
というのも私自身、若い頃はお金に苦労し、毎月月末になると「今月どうやって生活しよう…」「あれもこれも、あきらめよう…」と人生の選択肢が限られる期間がありました。もちろん、従業員やご家族の人生を背負い、事業リスクと向き合っている経営者の皆様の重圧とは比べるべくもありませんが、「お金がないから、あきらめるしかない」という悔しさの片鱗は感じてきました。素晴らしいビジョンを持つ経営者の方々が、手元のキャッシュ不足を理由に歩みを止めずに済むようなインフラを少しでも整えたかったんです。

スマホで完結『請求書立替払いサービス』
―お金がネックとなり「やりたいこと」が制限されるのは、もどかしいですね。まず萩原さんが携わった『請求書立替払いサービス』はどのような利点があるサービスなのでしょうか?
萩原:資金繰りを安定させるためには、新たに資金を得ることと同じくらい、「支出のタイミングを柔軟にコントロールすること」が極めて重要だと学びました。もっと簡単に実現できる方法はないのか考えました。
そこで22年頃から国内で広まり始めた仕組み「BIPS(Business Invoice Payment Service)」を活用しました。『請求書立替払いサービス』は、売り手(支払先)がカード決済未対応であっても、買い手(支払元)がお手持ちのクレジットカードで請求書の支払いができる仕組みです。
買い手がサービス上に請求書等をアップロードしてカード決済を行うと、BIPS事業者であるリクルートが最短当日に売り手の銀行口座への振込を代行するため、売り手は従来通り現金で売掛金を回収できます。一方、買い手は実際の支払いタイミングを最大60日後まで先延ばしにできるため、支払先に迷惑をかけることなく資金繰りにゆとりを持たせることができます。

―支出を平準化できると大型の投資にも踏み出しやすくなりますね。「使いやすさ」でこだわった点は何ですか?
萩原:インタビューの際に、お客様の店舗にお邪魔したところ、現場の皆様はデスクに座ってパソコンを触る時間がほとんどないことが分かり、スマートフォンで完結して利用できる状態を目指しました。試作版を作って実際にお客様に触っていただきながら検証を繰り返した結果、「これならすぐ使いたい」「何をしたらいいか迷わなかった」とポジティブな反応をいただけました。
具体的には、お店の営業終了後に、スマートフォンでいつでもどこでも簡単に操作できるようにするために、“ひとつの画面にひとつのタスク“を徹底し、入力やタップの手間を極限まで省くことで、手間なく分かりやすい顧客体験にこだわりました。
―サービス提供開始後、お客様からどのような声が届いていますか?
萩原:冒頭にお話しした大口の予約が入ったお客様からも、「手元資金にゆとりが生まれ、前向きに仕入れを行えるようになった」とお聞きしています。
また最近は食材の値段が高騰していますし、冬場は燃料費が高く、雪の多い地域では雪かき費用などもかさみますよね。お客様から、「思いがけずさまざまな出費が発生してしまったけれど、支払いタイミングをずらし、手元のお金に余裕を持っていたおかげで、広告出稿など攻めの対策を実施でき集客にもつながった」という嬉しいお話を教えていただきました。経営の選択肢を広げるサービスとしてお使いいただけているのではと感じています。

―サービスを安心して利用できるようにするため、業界全体でルール整備も進んでいるそうですね。
萩原:25年12月26日に設立された「請求書カード払い協会(BIPSA)」によって、BIPS事業者が遵守すべき「請求書カード払い取引ガイドライン」が策定されました。本協会には、主要な決済・フィンテック事業者をはじめとする数多くの事業者が参画しており、リクルートも初期参画事業者として加盟しています。私たちも初期参画事業者として、安全性とユーザビリティの両立の検討に参加してきました。26年6月26日のガイドライン施行後は、本協会に加盟する事業者に対して、ガイドラインに準拠したサービス運営が求められます。請求書カード払いは比較的新しいサービス領域であり、業界横断で調和の取れたルール整備が求められていましたが、今回のガイドラインをきっかけに、業界全体として安全・安心な利用環境が実現することを願っています。また私たちも、お客様に安心して継続的にご利用いただけるサービス運営に努めていきます。
『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』で新たなスキームに挑戦
―続いて小野さんが開発に携わった『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』について教えてください。
小野:リクルートが美容業界向けに提供している予約管理システム『SALON BOARD』の利用者様に向けた、招待制のサービスが『売上早期現金化サービス for SALON BOARD』です。『HOT PEPPER Beauty』経由の将来の売上をいつでもカンタン2タップで引き出すことができ、最短翌日に入金されます。

美容業界は流行の入れ替わりが早いため、タイミング良く、すぐに最新機器や商材を購入できないと、商機を逃すことがあります。また業界柄、「エアコンが故障して休まざるを得ない」「椅子が壊れて営業スペースが減ってしまった」など、突然の設備トラブルが売上を左右します。美容業界向けに、必要な時に必要な資金を、無理のない範囲で素早く提供できるようにしたいと考えていました。
―水を差すようですが、既にリクルートでは資金調達サービス『Airキャッシュ』を提供していますよね。それではダメだったのですか?
小野:込み入った話になりますが、『Airキャッシュ』はお店の決済サービス『Airペイ』のクレジットカードの売上情報を与信に活用するため、『Airペイ』導入企業様にしか『Airキャッシュ』を提供できないというスキーム上の制約がありました。

『Airペイ』をまだ導入していない店舗様や、現金決済がメインの店舗様もいらっしゃることを踏まえると、より多くの方の資金繰りにお役立ていただくには新しいスキームを確立しなければならない。そこで私たちは、美容院などの予約管理システム『SALON BOARD』に蓄積された日々の予約・売上データを与信に活用することに着目しました。
―特にこだわった機能はどのような点ですか。
小野:審査・与信にかかるお客様の手間を大幅に軽減することを目指しました。『SALON BOARD』に蓄積された日々の予約・売上データを与信に活用するため、決算書の提出や信用情報機関への照会・登録は必要ありません。具体的には、画面にログインしてから「最短2タップ」でお手続きが完了する設計にこだわりました。

小野:書類提出なしで即座に現金を振り込むというシンプルさを実現するため、裏側では非常に緻密なスキームを構築しています。本サービスは貸金業ではなく、将来発生する債権を買い取るファクタリングという仕組みなのですが、ポイントはファクタリングの安全性を高めるために『SALON BOARD』を介して、店舗様の正確な売上実績を事前にしっかりと把握できる点です。ファクタリングの正確性を担保しながら、シンプルでスピーディに資金調達ができるサービスを形にすることができました。
―既存のデータを活用して新たな価値を提供できたのですね。実際にどのようにご利用いただいているのでしょうか?
小野:提供を開始してまだ間もないですが、前向きなお声をいただいています。あるサロン様では、家賃やスタッフの人件費の支払いなど日々のお金の心配が減ったことで、スタッフの増員や新メニューの提供といった、事業成長に注力できるようになったとお話しくださいました。また、新しい設備導入の際の資金としてご利用いただき、攻めの経営を実現できてきたとお聞きしています。今後も機能面での残課題も解消を目指しながら、ニーズをお聞きしてユーザビリティを高めていけたらと思います。
日本中のお店が自分らしく挑戦できるように支えたい
-最後に、おふたりの今後への意気込みを聞かせてください。

萩原:私たちが携わるリクルートのファイナンス事業は、経営者にとって、お金に関する煩わしさを解消するだけでなく、「いざとなったら頼れる味方がいる」と感じていただく「パートナー」のような存在でありたいと思っています。これからもお客様のリアルな声を聞きながら、目の前の新しい機会に果敢にチャレンジできるように支えられるように、より良いサービス提供を実現していきます。
小野:リクルートのビジョンは「Follow Your Heart.」です。一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生を歩んで欲しいという思いで、私自身もサービス開発に取り組んでいます。これからも裏方として、中小事業者の皆様がご自身のやりたいことに集中できるよう、資金面での煩わしいハードルを取り払うインフラを提供し続けたい。お店を経営する皆様が未来にワクワクしながら挑戦を続けられる社会を、この事業を通じてそっと支えていければと考えています。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 小野 司(おの・つかさ)
- 株式会社リクルート 販促・SaaS(ライフスタイル)事業担当 ファイナンスプロダクトマネジメントユニット ファイナンスプロダクトマネジメント1グループ
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大手通信会社を経て、2019年リクルートに入社。リクルートの金融事業として従業員向け保険サービス、ローン仲介サービスなどを担当したのち、2023年より『Airキャッシュ』のプロダクトマネジャーに。2024年よりグループマネジャーに
- 萩原 慎(はぎわら・まこと)
- 株式会社リクルート 販促・SaaS(ライフスタイル)事業担当 ファイナンスプロダクトマネジメントユニット ファイナンスプロダクトマネジメント3グループ
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医療系IT企業を経て、2022年9月リクルートに入社。『Airキャッシュ』のマーケティングを担当しながら、『請求書立替払いサービス』の検討開始当初から本プロジェクトのプロジェクトリーダーを務める。2025年よりグループマネジャーに
関連リンク
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