上野 千鶴子さんと考える、ジェンダー平等の実現に向け、私たちができること

上野 千鶴子さんと考える、ジェンダー平等の実現に向け、私たちができること
写真は左からリクルート柏村、上野名誉教授、リクルート堀川

3月8日の国際女性デーに合わせてリクルート社にて開催された、東京大学名誉教授 上野千鶴子さんと国内リクルートグループのDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)をリードする役員 柏村美生によるスペシャル対談。「リクルートは、本当に女性にとって“働きがい”のある会社なのか」をテーマに、上野さんが今のリクルートに切り込みました。ジェンダー平等を目指すとはどういうことなのか? 達成を阻むものと、達成することで得られるメリットは何なのか? 座談会への従業員の応募人数は約800人。参加者もチャット上でおおいに盛り上がった、イベントの様子をお伝えします。

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イベントは上野千鶴子さんによる基調講演『企業社会とジェンダー』からスタート。「私は東京大学入学式の祝辞でバズりました」と口火を切った上野さんに、日本社会のジェンダー格差の背景・国際的に見た日本の立ち位置や、企業にも寿命があり、環境の変化に適応していかなければ生き延びられない。そのために女性の力が必要になってくることを明快に解説いただきました。また、日本の大きな問題として、非正規雇用者の7割が女性であることに触れ、「リクルートは正社員の従業員の男女比はほぼ半数。先進的で挑戦的な会社に見えるが、非正規雇用社員に関しては70%超が女性。管理職は依然として男性が多く、よそと比較してもごく普通の会社」とリクルートの現状を指摘。その後、そこに対してリクルートのDEI担当役員として大きな危機感を感じていた柏村美生とのスペシャル対談に続きました。

堀川(司会):上野さん、講演ありがとうございました。今、視聴者チャットが大変盛り上がっていて、「上野さんよくぞ言ってくれた!」という声もありますね。ここからは柏村さんとの対談形式で進めていきますが、本日参加いただいている皆さんのご意見や投票も参考にしながら進められたらと思っています。最初の質問は「リクルートは、女性にとって“働きがい”のある会社だと思いますか?」です。投票をお願いします。

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堀川:「悩ましい」が優勢ですね…。

上野:今投票していらっしゃる方の男女比と正・非正社員比はどれくらいですか?

柏村:参加応募者数は約800人で女性85%、男性15%くらいですね。正社員が90%、非正社員10%です。男性にも関心を持ってほしいのですが、少ないですね。

2030年度までに全ての階層の女性比率を約50%に

堀川:では早速、ひとつめのお題「リクルートグループは、なぜジェンダーパリティ達成を掲げたのか」に移ります。改めて柏村さんから、この目標の背景や経営の狙いについてお話しいただけますか?

柏村:まず、本日この場を開催した意図ですが、リクルートグループは2021年5月に、リクルートグループ・グローバルの目標として「2030年度までに、取締役会構成員・上級管理職・管理職・従業員の女性比率を約50%にすること」を公表しました。ですがその目標だけだと、リクルートの皆さんにはまったくもって刺さらないと思うんです。リクルートがなぜジェンダー平等に取り組むのか、自分ごととして本気で考える場を持つことが大切だと思い、今回上野先生をお招きして、皆さんと考える場を作りました。
私は、ジェンダー平等に代表されるDEIの実現は、リクルートが創業以来大切にしている価値観「個の尊重」を体現することそのものだと考えています。ですから、本来はデモグラフィックの多様性をジェンダーだけで実現することにDEIのゴールがあるとは思っていません。ただし数値上のジェンダーギャップが今は存在する。とするならば、まずはその数値目標をもって推進することは、DEIのスタートであると同時に、「個の尊重」がより実現されていった結果としてジェンダーギャップがない状態、つまりゴールの状態にもなるのではと考えています。
世界経済フォーラムの発表によると、世界的なジェンダーギャップの解消には、135年かかるといわれています。それくらい難しい問題だと認識していますが、日本のジェンダー平等の歴史を切り開いてきた上野さんのお力をお借りしながら、今、リクルートが抱える課題を可視化し、厳しいご意見も頂きながら、会社が本気で変わるきっかけにできればと思っています。

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同質化とアンコンシャスバイアスがジェンダー平等の壁

上野:先ほどのアンケートの結果ですが、「働きがいのある職場か」という問いについては「悩ましい」という回答が多かったですね。私はリクルートが女性にとっても「活躍しやすい職場」だと聞いていましたし、学生の間でも比較的人気が高い就活先なので、意外に感じました。柏村さんのジェンダーパリティについての熱い思いはよく分かったのですが、実現するとリクルートにとってどんな良いことがあるのでしょうか?

柏村:私は、組織の中に異なる好奇心や知識が存在し、つながることで、イノベーションが生まれたり、進化が加速したりすると信じています。会社の意思決定や風土をつくる場に、多様な属性や意見を持つ人たちが当たり前にいる、そんな組織をつくっていく必要があると考えています。ですが、リクルートで女性リーダーが男性と比べて少ない状態が続いてきたということからも、異なる価値観が混ざりにくい状態があると思っています。経営側としても、組織が同質化すると新しいものが生まれず、サステナブルでないということは、さまざまな議論を重ねて自覚しています。ジェンダー平等に向けた取り組みを通じて、多様なリーダーが生まれることで、同質化をなくしていきたい。そして、性別にかかわらず活躍いただくことは、当たり前ですが、合理的です。会社の大切な資本である人。その人らしく最大限に力を発揮してもらうことは本当に合理的だと考えています。

上野:そうはおっしゃいますが、内部資料を見ると正社員(非管理職層)の男女の割合は5:5ですが、非正社員は圧倒的に女性が多いですね。また、役職者は依然として男性が多い。役職の違いによって男女の賃金格差も生まれています。日本の平均よりはややマシですが「なんだ、リクルートも普通の会社じゃないか」という印象を持ちました。外資系企業と比べると女性管理職比率がなぜこんなに低いんですか?というのが私の率直な感想です。

柏村:女性管理職比率について、危機感を持っています。管理職層の女性比率は約30%ですが、そのうち、部長職以上になると、より女性比率が下がるのが現状です。

上野:ぜひ教えてください。その壁になっているのは何ですか?

柏村:私自身は、同質化に基づくアンコンシャスバイアスではないかと。過去の強い成功体験によって、無意識の内にリーダーシップ像も同質化しているのではないかという仮説を持っています。

上野:ということは率直に言うと、意思決定を持っている人たちのアタマがホモソーシャルにできている、ということじゃないんですか? 自分とよく似ていて、ツーカーで通じやすい部下を採用している。半面、ノイズが発生しそうな理解しにくい人を上に上げるには、ためらいがあるということですよね?

柏村:アンコンシャスバイアスによるところが大きいと思います。

上野:はっきり言って同質性の高い集団はラクなんです。以前、森喜朗元東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の「わきまえる女」発言がニュースを騒がせたことがありましたね。それに対して、「#わきまえない女」というアクティビズムがオンライン上で起きて、その中に「自分にもわきまえ癖がついていた、反省した」という発言があり、強く印象に残りました。女性たちはああいう発言を目の前にした時に言い返せなかったり、忖度したり、飲み込んできた辛さ・悔しさが溜まっているんだろうと思いました。思ったのは、「わきまえる女」以前に、「わきまえる男たち」が発言者の周囲にいたんだろうということです。なぜそれまでの会議がさくさく進んだかといえば、既に根回しと忖度で結論が決まっていて、それを追認するだけだからです。わきまえる男たちを選んで集団をつくり、その人たちが似たような後輩を採用する。彼らにとっては大変居心地が良く、変える必要を何も感じないような組織になっているのだと思います。

堀川:ちょうど今「わきまえる男たち」というお話がありましたが、皆さん、「ぶっちゃけ、リクルートって男社会だな…と感じたことはありますか?」

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堀川:結果を見るとほとんどの人が男社会だと感じているようですね…。

どんどん外に出て、自分がマイノリティ側になる経験を

堀川:なぜ、わきまえる男が増えるのか、社会として、会社としてこういった男社会になってしまう要因や構造について、ご意見頂けますか?

上野:それは、リワード(報酬)をくれる人が自分の上にいるからですよ。男性のパワーゲームの中では、権力と富が配分されますから。半面、ちょっと皮肉な見方ですが、女性が率直にものを言えたり、損得勘定を考えないで済むというのは、自身の貢献が男性並みに公平に評価されない経験を大なり小なりしてきているからだと思えます。配分される資源に自分があずからないと思っているので、女性たちは組織に対して半身でいられる。でも、これから女の人もパワーゲームのプレーヤーとして参入するようになっていったら、ポジションが変われば人の振る舞いは変わりますから、女性も「わきまえる女」たちになっていくかもしれません。
 もうひとつ言っておくと、そこで配分される資源は、ひとつの組織の中の限られたパイの食い合いです。例えばその組織の枠を超えて組織そのものが成長していくとか、あるいは組織の外との連携によって自分がもっと大きなリワードをもらえるということには発展していきません。だからこそ、外に出てほしい。同業者とばかり付き合わないで異業種の人とも付き合ってほしい。そして自分が集団の中でのマジョリティではなくてマイノリティになる経験をしてほしいと思います。

異質なものと向き合うことで、自分の視野を広げる

柏村:私自身も、チームや組織をつくる際に、なるべく「自分が居心地の悪いチーム」をつくると決めています。なぜなら違う能力や価値観を持った人とチームをつくった方が、結果的に良いチームになるからです。あとは、自分自身が「これはちょっと変かも」とか「なんか気になるかも」という疑問は、取りあえず口に出すことを意識しています。

堀川:とりあえず言う、と。

柏村:一緒に働く仲間たちにも伝えているんですが、パッと思ったことって、割と正しいんです。正しく説明責任を果たそうとすると、一気に口が重くなるのですが、そこを乗り越えて、とりあえず思ったことは言うようにしています。

上野:柏村さんのその態度はご立派ですが、会社や上の方からは嫌がられませんでしたか?

柏村:まったく思い当たらないですね。嫌がられていたかもしれませんが、気が付いてません。(笑)

上野:鈍感力が勝負ですね。(笑)

柏村:もちろん若いころはよく会社で号泣もしていましたし、落ち込み過ぎて動けないこともありました。ですが、36歳ごろに「本当に大事にするべきことさえ大事にできればよい。他の事にこだわるのをやめる」という自分の軸をはっきりさせたということが大きいかもしれません。

上野:ポジションが変わったから、意見を聞いてもらえるようになったということもありますか?

柏村:それもあるかもしれません。自分で決められる範囲が大きくなったというのは、絶対にあると思います。

上野:でも、リクルートは柏村さんのように取りあえず思ったことを口に出す人が管理的なポストに就ける会社で、それまでの過程で排除されなかったということですね。

柏村:そうですね、排除されなかったからこそ、今ここにいるんだと思います。それに先ほどの上野先生の「外に出る」という話でいうと、私は中国赴任での経験が大きかったです。中国は専業主婦率が日本と比べてとても低く、共働きは当たり前ですし、赴任中は日本人というマイノリティ側だったので、頼らざるを得ない環境で異質な人たちとチームをつくることの楽しさを覚えました。

上野:もちろん成果で勝負してきたということもあるんでしょうね。

柏村:そうですね。でも正直に言うと「大きな失敗」と「大きな成果」の両方ですね。(笑)

上野:その両方を許容してくれる会社だということですね。

柏村:はい。二十数年リクルートで働いていて、これだけは疑ったことがないんですが、「コト」への減点はあるんですけど「ヒト」への減点はない会社だと思います。やったことについて、もちろん叱られることもありますが、それはあくまで「コト」についてであり、「ヒト」に対してではない。今、自分が組織を運営していてもそう感じます。

堀川:上野さんご自身は、マイノリティとして意見を発することに対してどういうスタンスで向き合ってこられたのでしょうか。

上野:私が入った学問の世界は「おっさん語」でできておりますので、「おっさん語」を習得しました。だから私は「おっさん語」と女ことばのバイリンガルだと思っております。学問の世界は学術用語ですから、論理的に実証的にデータを積み重ねる。論理とデータと概念は弱者の味方です。それを、これでもか、これでもかと積み上げながら、ちゃんと目の前にいるおっさんに分かる言葉で言ってあげなきゃと思ってやってきました。

人を大事にする会社が生き延びると証明することがこれからの意義

堀川:まだまだ語りたいところですが、最後のテーマは「変化する日本社会に対し、われわれリクルートができること」です。上野さんの講演の中で、日本のジェンダー問題は、新卒一括採用に象徴される日本型雇用や、人材派遣という雇用形態にも起因しているという指摘がありました。一方でリクルートは人材に関わる事業をしています。上野さんから見たリクルートの印象や今後期待したいことについてお伺いできればと思います。

上野:率直に申し上げて、リクルートは1985年に制定された男女雇用機会均等法と、労働者派遣法以来の労働のビッグバン、雇用の規制緩和の恩恵に乗っかっている企業ですよね。私は正規・非正規の区別というのは、どう考えても合理性のない差別だと思っているので、これをきちんと変える方向に進んでいただきたいです。非正規の方たちの権利を守り、この方たちのキャリアプランをしっかりつくる方向に動いていただきたいと、切に願っております。

柏村:人材派遣会社のリクルートスタッフィングの代表をしていた時に思ったのですが、育児中の時短勤務を認めるなど、女性が抱えている働き方の問題を解決しようとすると、結果的に、病気があって長くは働けない方や、収入が足りないから少しだけ企業で働きたい自営業者など、いろいろな方の働き方の問題も解決できていくことになる。働き方の多様性をつくり、社会に発信していくことが大事だと考えています。リクルートは過去にも『とらばーゆ』(1980年に創刊した女性向けの就職・転職情報誌)の発刊などを通して、女性が働くことについて社会の考え方を変えてきた歴史があります。自分たちの事業を通じて社会と対話をしていくことで、日本の雇用課題に対して微力ながらやれることがあるのではないかと。もちろん大海の中に水を一滴ずつ流すみたいな話かもしれませんが、チャレンジしていくことが大事だと思っています。

上野:私は人材業界そのものが、日本の過去数十年をかけてつくり上げてきた構造的な矛盾の上に乗っかっている業界だと思っていますので。皆さん方が向き合っているのは、人間という生ものじゃありませんか。だからこそ、一人ひとりを使い潰さずに、人間を大事にする会社はちゃんと生き延びるということをリクルートが証明していただければ良いと思います。

柏村:ありがとうございます。自分たちとしては、「働く」ことに対して真摯に向き合っていると思っていましたが、まだまだ足りていない、伝わっていないというご指摘だと、悔しながら受け止めました。

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「思ったことは口に出す」が社会を変える一歩

堀川:紹介しきれませんが、コメント欄でも「泣きながら見ております」とか「今日という日が会社の変わるきっかけになったらいい」とか、続々と意見が出ています。最後に質疑応答の時間も取れたらと思います。事前の質問では「仕事と家庭の両立」についての質問が多く来ていましたが、上野さんからアドバイスなどあるでしょうか?

上野:もう処方箋は出したじゃありませんか。全社員、定時退社なさったらいかがでしょう? やればできると思いますよ。定時退社なされば、男女ともに保育園にちゃんとお迎えに行けますから。

堀川:ありがとうございます。続いて「会社も社会も変わらない、でも毎日生きている私たちって、今日から何を変えたら生きやすいでしょうか?」という質問です。

上野:柏村さんのように、思ったことは口に出す。イヤなことはイヤと言う、忖度しない、わきまえない。「これって変です」とか、NOをちゃんとその時その場で言うことの積み重ねから、社会が徐々に変わってきたんですから。皆さんが柏村さんのようなわきまえない女になればいいんです。イヤな思いを飲み込むと、飲み込んだものはなくなりません、腹に溜まります。

柏村:そうなんですよね、溜まるんですよね。

上野:溜まったものは腐ります。腐ったらドロドロのものが残ります。美容にも健康にも悪い。風通しの良い組織の前に、風通しの良い人生をまず送っていただければと思いますよ。私はいろんな人から、夫婦関係の愚痴とか聞かされるんですけど、いつも思うのは「私に言うな、夫に言えよ」って。

堀川:そりゃそうですね。(笑)

上野:自分の一番身近にいる人から変えていかなければ、社会なんて変えられません。

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堀川:最後にひとつ、上野さんご自身についての質問なのですが、「上野さんはなぜそんなに熱いのか、モチベーションの源泉を教えてほしい」という質問が来ております。

上野:そりゃ「怒り」ですよ。幸か不幸か怒りの火種に油を注ぐようなことが次々に起きますので。コロナ禍でも、選挙の結果とかで、怒りがその都度フレッシュになって、なかなか火種は尽きません。でも、怒りって負のエネルギーなんです。確かに人を動かすパワーになりますが、負のエネルギーで動くのは悲しいこと。反対に私を動かしてきたポジティブなエネルギーは好奇心です。例えばおじさんたちの発想を見ても、男性同士の同質性の高い組織を見ても、「なんやこれ」「どないなっとるのや」「どうしてこれは変わらんのや」「この人はこれで何を得てるんや」という疑問が湧きますよね。自分の未知なもの、知らないものと出会い、それを解き明かしていくのはとても楽しいです。ホモソーシャルな組織にいるのは確かにラクだけども、変化もノイズも起きません。ちょうど柏村さんがおやりになったように、自分と異質な場で異質な人たちと遭遇することによって、自分の枠を超えて視野を広げていく経験をした人は病みつきになりますよね。怒りと好奇心が私の原動力です。

堀川:リクルートは大切にする価値観の一文に「全ては好奇心から」と掲げ、社員一人ひとりの好奇心を大事にしている会社なので、上野さんから背中を後押ししていただいたような感覚がありますね。

孤独にならず、一緒に戦ってくれる仲間を増やす

堀川:さて、大変盛り上がっているのですが、残念ながら閉会のお時間になってしまいました。最後に今日のこの2時間を振り返って「明日からあなたがやってみたいこと」をチャットに記載をお願いします。

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堀川:「異質との遭遇」「忖度しない」「素直に口に出す」「わきまえない」「定時退社」「飲み込まない」「変だなと思ったことは言えるようにする」…続々とメッセージが来ていますね! ありがとうございます。では最後に、柏村さんと上野さんから今日の参加者の皆さんにメッセージをいただければと思います。

柏村:今日はジェンダーパリティ、DEIを考える機会になればということで、上野さんに来ていただきこのような場を持てたことが私たちにとって大きな一歩になったと思っています。皆さんのチャットを見ながら、私もグサッと刺されたり、勇気づけられたりしながらここに立っています。先ほどの上野さんの怒りという話に関連すると、私は面倒くさいって思うことが8割あっても、2割の嬉しいことがそれらを凌駕して、なんとか踏ん張ってやってこられたと実感しています。今まで、一緒に働く仲間や、事業の社会価値とか、そういうものが自分の嬉しさとシンクロし続けてきたんだと思っています。でもやっぱり、もっとリクルートが進化していくために、ジェンダー平等を通じて、アップデートしたいと思います。今日上野さんに頂いたリクルートへのフィードバックを受け止め、引き続き社内外の皆さんと一緒に進んでいければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

上野:企業って外から見ていると中がよく見えないものですけど、今回アンケートなどを通じて当事者の方のご意見が分かってよかったです。忖度しないのも、飲み込まずに言いたいこと言うのも構わないけど、必ず味方をつくってください。メッセージを出せば必ずノイズが起きます。ノイズが起きたらそれに対して共感と反発の両方が起きます。共感も反発も起きないメッセージなんか出しても意味がありません。さっき柏村さんは8割2割とおっしゃったけど、私は6割4割と言っているんです。6割が共感で4割が反発だったら、引き算しても2割はポジティブじゃないですか。そうやって理解者と味方を増やしていってください。ひとりでは戦えません。

堀川:上野さんのお話からは凄く勇気を頂けました! ご多忙の中ご登壇をいただきまして誠にありがとうございました。

上野:ありがとうございました。

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プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

上野千鶴子(うえの・ちづこ)

社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長

1977年、京都大学大学院社会学博士課程修了。1979年、平安女学院短期大学(現:平安女学院大学短期大学部)専任講師に。1993年、東京大学文学部助教授就任。95年より同大学院人文社会系研究科教授。日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。高齢者の介護・ケアも研究対象としている。著書に『家父長制と資本制』『ナショナリズムとジェンダー 新版』(いずれも岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『女の子はどう生きるか 教えて、上野先生!』(岩波ジュニア新書)など

柏村美生(かしわむら・みお)

リクルートホールディングス執行役員 兼 リクルート 執行役員(担当領域:人事、広報・サステナビリティ)

大学卒業後、1998年、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。2003年『ゼクシィ』の中国進出を提案し、中国版ゼクシィ『皆喜』を創刊。帰国後、『ホットペッパービューティー』事業長、リクルートスタッフィング代表取締役社長、リクルートマーケティングパートナーズ(現リクルート)代表取締役社長などを経て、20年4月より現職。大学時代は社会福祉について学び、障がい者と社会の接点を作る仕事がしたいとソーシャルワーカーを目指してボランティアに明け暮れた。東京大学PHED(障害と高等教育に関するプラットフォーム)専門部会委員

堀川拓郎(ほりかわ・たくろう)

リクルート スタッフ統括本部 人事 人材・組織開発室 室長 ヒトラボ ラボ長

大学卒業後、2001年、リクルートに入社。住宅領域にて営業、事業開発、商品企画、事業推進、海外M&A、人事、経営管理室を経て、2021年4月より人材・組織開発室 室長、ヒトラボ ラボ長を担当。人材・組織開発室では、人材育成、組織開発に関する全社横断施策の企画・運用や、人事領域におけるR&D、次世代人材育成といった中長期的なアジェンダにも携わる。また、ヒトラボでは、ヒトと組織と社会の新たな繋がり方をテーマに、新しい働き方や社会変革を実践し、実証的な検証を重ねる活動を行っている

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