クリエイティブディレクター 東畑幸多さんのリクルート考

クリエイティブディレクター 東畑幸多さんのリクルート考

“Follow Your Heart” 心の声に従う勇気にエールを送る スモールジャイアンツを育む場

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2021年11月号からの転載記事です

ターニングポイントでリクルートとの仕事を

自分のキャリアを振り返ると、リクルートさんのお仕事は自分のキャリアのターニングポイントになっているような気がします。

電通に入社して初めてCMプランナーとして担当させていただいたのが『B-ing』( 現『リクナビNEXT』)のCMでした。その後、『フロム・エー』のCMで、コピーライターとしてTCC新人賞を受賞しました。また、『リクナビ』のCMで「山田悠子の就職活動」という企画を担当させていただいたことが、キャリアのステップアップの転機になりました。

そして、2014年「すべての人生が、すばらしい」というメッセージを打ち出したリクルートポイントのCMがきっかけとなり、2021年夏放映の企業CM制作でご一緒することになりました。

「迷ったら、ドキドキする方へ。」
ロケ地は団地。マイクロドローンによる空撮で、一見、均質に見えるそれぞれの部屋にさまざまな“ドキドキ”をもって生活している人たちを描いた。出演は、本作で芸能界デビューとなった當真あみさん、撮影監督は、アーティストのミュージック・ビデオを手掛ける映像作家 児玉裕一氏

KPIは共感者を探すこと、従業員の心に残ること

写真

今回皆さんとご一緒させていただいて、改めてユニークな企業だと思いました。特に印象に残っているのが、KPIの話。普段の仕事なら、リーチや再生回数がどのくらい稼げるか、数字的な議論に終始しがちです。

しかしリクルートの方からは、「広告だから、結果は大切。ただ、今回の企業CMの真のKPIは、リクルートで働く人たちに、5年後、10年後に“あのCM良かった”と言ってもらえること」だと言われた時には、グッときました。

また、「自分たちが、何を大切にしているか」を世の中に発信して、その思いに共鳴してくれる“冒険の仲間”を見つけることが目的だと。こういった意思決定ができる企業は少ないと思います。

その思いに応えたいと、必死で企画を開始。ロジックだけでは、人の心は動かない。ロジックを超えるマジックを起こすために、スタッフ全員で、感動の記憶を持ち寄って、どんなCMにするかをとことん話し合いました。

“Follow Your Heart”に込められた真の意味

リクルートが掲げる「Follow Your Heart」というビジョンについて、最初は、リクルートがユーザー一人ひとりの心に寄り添ってサービスを提供します…という意味だと思っていました。

しかし、リクルートの皆さんと対話するなかで、「あなたの心に従えるのは、あなただけだ」というメッセージでもある。リクルートがどう介在するかではなく、生き方の話をしているんだ、と感じました。

世の中や、周りの人の声ではなく、自分自身の心の声に気づき、従うことはとても勇気がいること。それでも、心のなかに生まれた好きという気持ちや、胸のドキドキを大切にすることは、これからの時代を生きていく上で、とても大切なことだと思います。

時代の変化のなかで、社会の歪みが露呈する事件がたくさん起こりました。会社のあり方、働き方、上司や部下の関係、性差やあらゆる差別、オリンピック…。一人ひとりが感じた違和感から、「本当に大切なことは何だろう」と考え、変えていくべきことに気づき始めている。

だからこそ、心のなかに生まれた小さくてささやかな声も無視しないで欲しい、大切にしていって欲しい。その勇気を応援するメッセージとして”Follow Your Heart”を伝えられたらと思いました。

私の好きな言葉に、写真家の星野道夫さんの「短い一生で 心惹かれることに多くは出合わない。もし見つけたら、大切に…大切に…」(『未来への地図 新しい一歩を踏み出すあなたに』)というものがあります。心の声が聴こえた人にエールを送ることが、CMのコンセプトになりました。

スモールジャイアンツを育む運動体であり続けて欲しい

新規事業や新サービスを生み出すための「課題発見」の大切さと難しさが、多くの企業で語られています。でも本当は、ビジネスの一歩外に出ると、課題は山のようにある。ビジネスのスケールという観点で見ると、取るに足らないと思われているところにこそ、これからの世界を成長させる課題がたくさんある。

これからは、小さいけど、意味があること。小さいけど、偉大なもの。そんなスモールジャイアンツなものが、たくさん生み出される社会のほうが個人的には良いと思っていて。リクルートは、大きなリーダーがひとりいるより、小さいリーダーが無数にいる、最前線こそがトップであるのが似合う集団だなと。

大企業でありながら、小さなリーダーが躍動して、スモールジャイアンツなものが生み出されていく。企業ではなく“運動体”であり続けて欲しいなと、いちファンとして願っています。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

東畑幸多(とうはた・こうた)
(つづく)クリエイティブディレクター

1999年、電通入社。CMプランナーとして数多くのTVCMを制作。2009年、クリエイターオブザイヤーを受賞。エグゼクティブ・クリエイティブディレクター職を経て、2021年電通を退社。2022年1月クリエーティブ・ディレクター・コレクティブ(つづく)を設立。

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