週休約3日になって働き方はどう変わった?リクルート従業員が語る年間の休み145日の使い方

週休約3日になって働き方はどう変わった?リクルート従業員が語る年間の休み145日の使い方
左より、川島、吉田、村松、宮下

リクルートでは、2021年の会社統合を機に、従業員の年間の休みを130日から145日(会社休日及び年次有給休暇の計画的付与による指定休5日含む)へと改定しました。これにより、年間平均では週休2.8日を実現しています。週休約3日という働き方は、リクルートで働く人たちにどのような変化をもたらしたのでしょうか。今回は、仕事と休みを両立するための工夫や、自律的に休む難しさなど、従業員が本音を語った座談会の様子をお届けします。

※1日の所定労働時間を7.5時間から8時間に変更し、年間所定労働時間を据え置くことで休日数を増加。給与は変更なし
※2022年10月に実施されたリクルート社内向けトークイベントのダイジェスト記事です/敬称略

どう休むかは、どう働くかとセット。自分流のワークスタイル確立の裏にあったそれぞれの葛藤

宮下:本日のファシリテーターを務める宮下真衣子です。よろしくお願いします。今日のテーマは、「週休約3日の働き方・休み方」。事前の従業員アンケートでは、「増えた休みを満喫・活用したいけど方法が分からない」が全体の約半数という結果でした。多くの人が新しい働き方・休み方を試行錯誤している今、みんなでヒントや悩みをシェアする場にしたいです。それでは本日登壇する皆さん、自己紹介をお願いします。

村松:『カーセンサー』でマーケティングをしている、入社1年目の村松美穂です。私はリクルートの仕事と並行して、学生時代に設立した会社を経営しています。趣味はかき氷の食べ歩き。将来はかき氷屋さんをオープンさせたいです。

吉田:今日は大阪からオンラインで参加しています、『ゼクシィ』営業の吉田理枝です。4歳の子どもがいて、今は時短勤務。休日は子どもと外で思い切り遊んだり、レゴブロックで何かをつくったり。あとは、映画『アベンジャーズ』シリーズを何度もリピートしています。

川島:『ホットペッパービューティーアカデミー』で研究員をしている川島です。現在は、東京と滋賀で2拠点生活に挑戦中。滋賀で家族と過ごす日はほとんど育児に時間を割いていますね。月に何日かは“ママ解放デー”と称して妻に自由な時間を過ごしてもらい、自分が子どもたちを一手に引き受けるようにしています。

宮下:では、最初のお題に入りましょう。ひとつ目は、「自分が望む働き方・休み方のためにどんな工夫をしているか」。リクルートの年間の休み145日(週休約3日)には、個人で自由に設定できる「フレキシブル休日(以下、フレ休)」が含まれています。自律的に休日を計画する難しさを感じている人も多いようですが、皆さんは自分らしい働き方や休み方をどうやって確立しましたか。

吉田:私の場合は子どもの誕生が大きな契機になりました。育児との両立を前提にどうするか考えざるを得なかったんです。そこで私は、短い時間でも価値の高い仕事ができるように、資格の勉強を通して新たな知識・スキルの獲得にチャレンジしました。その後も自分の興味に合わせて勉強は続けています。でも、今のように年間の休みが増えても基本的には仕事と育児で手一杯。子どもの寝かしつけをしながらオンライン講座をイヤホンで“耳だけ受講”するなど、時間の有効活用は必須です。

村松:私は自分が経営している会社との両立に苦しんだ時期があります。リクルートの仕事の合間を縫って兼業の仕事をしていたら、気づくと寝る暇もなくずっと働いていたんです。このままじゃ精神的にも参ってしまうと思い、毎週土曜はどちらの仕事もせず絶対に休むと決めました。すると、適度にリフレッシュできるおかげで仕事にも集中できるようになり、効率アップ。やりたいことがたくさんあるからこそ、メリハリをつけて自律的に休むことの大切さに気づきました。

川島:数年前と今では働き方が180度違いますね。私はもともとプライベートもいとわず働いていたんです。営業時代は、誰よりも仕事の成果を上げて、早く偉くなることに必死でした。でも、第1子のお産の時、妻が頑張っているそばで自分は病院からマネジャー会議にリモート参加していて。さすがにこの仕事の仕方はまずいと気づいて家族を大事にする働き方にシフトしていったんです。

宮下:皆さんそれぞれが両立に苦しんだ時期があるんですね。特に川島さんのエピソードには、オンラインで聴講している皆さんからも「キャリアと家族はトレードオフなのか?」というコメントが入っています。この点をご本人はどうお感じですか。

川島:今はマネジャーを外れているんですけど、だからといってキャリアを犠牲にして家族優先を選んだという感覚ではないですね。チャレンジの種類が変わったというか。以前はとにかく上を目指したいから、周りは全員ライバルという感覚で、何でもひとりで抱えこんでいたんですけど、今は変なプライドがなくなって素直に周囲の人たちを頼れるようになりました。すると、困った時はお互い様で助け合えるし、それぞれの得意分野を束ねて大きな仕事をするような、そんなチャレンジに変わっていったんです。

リクルート ビューティーDivision リサーチ&アカデミーG 川島 崇(かわしま・たかし)さん
リクルート ビューティーDivision リサーチ&アカデミーG 川島 崇(かわしま・たかし)

「休むことの後ろめたさ」を感じない組織の風土をどう作るか

宮下:フレ休は、会社一律の休日とは違って自分の好きな時に休めるのは嬉しい反面、周囲が働いているなか休むことになるので、「業務の調整や引き継ぎなどが大変」「気をつかって休みにくい」といった声も聞こえてきます。誰もが休みやすい組織になるためには、どんな工夫をしたら良いと思いますか。

川島:「申し訳ありませんが、お休みをいただきます」のような、後ろめたさ全開の連絡をやめたいですね。それとは逆に、昔あるメンバーが「新婚旅行で海外に行ってきます!」と連絡をくれたのが良かったです。本人のウキウキ感も微笑ましかったし、「今ごろ現地で何をしているのかな? 美味しいもの食べたかな?」とこちらも少しだけ旅行しているような気分になり、幸せのお裾分けをもらった気分。休日の過ごし方を明るくオープンにし合える組織が良いなと思っています。

吉田:私の組織では雑談専用のチャットルームがあるんですけど、そこで「休日は〇〇していました」みたいな投稿をし合っていますね。旅行先の写真や趣味の写真をアップして報告してくれる人もいますよ。ちょうど今日からある男性メンバーが育休に入るんですけど、「育児頑張ってね」「行ってらっしゃい」と応援のコメントが続々と投稿されていました。

村松:相手の仕事以外の顔を知っていると相手の休みを応援できるし、結果的に自分も休みやすくなるような気がします。私の場合、兼業の話を組織の皆さんに伝えていることもあり、休みを申請した時に上長が「もしかして兼業? 頑張ってね」と声をかけてくれましたし、休み明けに「どうだった?」と関心を寄せてくれることが嬉しかったです。

宮下:「休む理由をオープンにする」という意見には、チャットでも続々とコメントが入っているようです。例えば、「『家でゆっくりします』とか『ドラマを一気見します』といった共有もほっこりする」というコメント。確かに、キラキラした休日ばかり見せられると、休むハードルが上がりすぎちゃいますよね。あと、「不妊治療などあまりオープンにしたくない理由で休む場合もある」というコメントも。これもその通りですね。オープンにしなくても、どんな理由で休むとしても、後ろめたさを感じさせない組織風土や関係性が大事なのかもしれません。

川島:万が一の時にも代わりをお願いできる体制や関係性があるかどうかは、後ろめたさと大きく関係していると思います。うちの組織の場合は「この人しかできない仕事」をなくして、ひとつの役割を複数のメンバーが担える状態を作っているんですよ。私は、社外のイベントで講師を務めることもあるのですが、先日子どもが熱を出した時は、この仕事すらも急遽他の人に行ってもらうことができたんです。あの時は本当に助かりました。

いつでも・どこでも働ける環境だからこそ、自律的なコントロールが求められる

宮下:3人への相談・質問も事前に募集しています。そのなかで多かったのが、「休むとどうしても仕事が溜まってしまい、休み明けにしわ寄せが来る」というお悩み。皆さんはどう対処していますか。

村松:しわ寄せ、私も経験があります。入社したばかりの頃、あまり深く考えずフレ休を設定したら、その週の仕事がまわらなくなって困ったことが…。いつ休むかは個人の自由だけど、その日に休むことを見越して業務を前倒しで進めるとか、優先順位をつけてスケジュールを引き直すとか、自律的に工夫をしなきゃいけない側面もありますよね。

リクルート 販促領域マーケティング2ユニット 自動車領域マーケディング部 自動車マーケティングG 村松美穂(むらまつ・みほ)

吉田:その意味では、日頃から目の前のタスクを消化していくだけではなく、自分の仕事を1ヶ月単位や3ヶ月単位で捉えてゆとりをもった時間配分をしていく必要がありますよね。私の場合は子どものことがあるので、予定通り仕事が進まない時はどうしてもあります。一時的に業務が溜まってしまったとしても、長い時間軸で自分の仕事を捉えて、いつどこで巻き返すかを調整するようにしています。

川島:フレ休や有給だと、休みの間も仲間やお客様は動いているから、休み明けのしわ寄せは絶対に来る前提で休日明けのスケジュールを調整しておくのもひとつの手だと思いますよ。私の場合、休日明けの日は「休みの間に届いていた依頼や問い合わせに対応する」といった予定で午前中のスケジュールを押さえておくようにしています。まとまった時間を確保することで集中して効率的に対応できるし、もし早く終われば余った時間は他の事に使えばいいだけですから。

宮下:次の相談です。「休日も仕事が気になって、つい仕事用のスマホを見てしまう、対応してしまう」。これも非常に多かったお悩みですが、皆さんは休み中の電話やメール、チャット等の連絡とどう付き合っていますか。

吉田:私の場合はもともと頻繁にスマホを見るタイプじゃないので、自然とほったらかしにしていますね。幸いにも今の組織では休み中に電話やメールが来ることはほとんどなく、お互いで配慮し合っているおかげもあるとは思いますが。

村松:私は吉田さんとは逆に気になって見てしまうタイプなんです。だから、休日は意識的にスマホと距離を置くようにしていますね。外に出かけるのが好きなので、業務用のスマホは家で“留守番”してもらっています。

川島:自分も切り替えが難しいタイプです。下の子が生まれて育休を取った時の話なんですが、業務の引き継ぎはしたものの、育休に入ってもあれこれ会社に連絡をしていて、見かねた上長から「いい加減に育児に専念しなさい」とたしなめられたくらい。私みたいなタイプは、仕事を忘れるくらい没頭できることを見つけるといいんじゃないですかね。家事・育児もそうだし、プールで泳ぐとか好きな映画を観るとか。

吉田:それ分かります。私も出産前はホットヨガに通っていて、それが仕事を忘れて気持ちが切り替わる良い時間になっていました。今は子どもと一緒にレゴブロックを組み立てている時かな。

村松:私の場合、フレ休で平日の美術館に行っています。平日だと混雑していなくて静かだし、アートに向き合っている時間は、仕事上の悩みは一旦どこかに飛んで行ってしまいますね。

リクルート マリッジ&ファミリーDivision 営業統括部 営業3部 名阪G 吉田理枝(よしだ・りえ)さん
リクルート マリッジ&ファミリーDivision 営業統括部 営業3部 名阪G 吉田理枝(よしだ・りえ)

自由な働き方・休み方を前提に、個人の意志で主体的にキャリアを歩むことが必要

宮下:本日登壇いただいた3人は、仕事と並行して新しいことにチャレンジしていますよね。でも、いくら年間休日が増えたとはいえ、同時に複数のことに手を出すのは大変じゃないのでしょうか。「どうやってモチベーションを維持していますか?」という質問もいただいています。

吉田:資格の勉強に取り組む私は、無理をしないことがモチベーション維持の秘けつだと思っています。子どもとの時間を犠牲にしてまでやらないようにしていますし、楽しくないものは続かないじゃないですか。「疲れてしんどい日は勉強しないでOK」くらいの心持ちでいますね。あとは、学んだことを業務で使ってみる。お客様や上司からの仕事のフィードバックを通して身につけた知識・スキルが役に立ったかどうかが分かるので、それが頑張る原動力になっています。

川島:私も質問してくれた人と同じで、モチベーション維持が難しいタイプなんです。弱音も吐くし、すぐあきらめちゃう。だから、人から“熱量のお裾分け”をもらうようにしているんです。何かチャレンジしている人の話を聞いたり、一緒に何かを学んだりして、その人の高い熱量に乗っかるようにしていますね。

村松:私もモチベーションが下がる瞬間はいっぱいありますよ。一旦立ち止まって休みたいなと思う時もあるんですが、そんな時は将来どうなりたいかを考えるようにしていますね。今はちょっと大変だけど、これを乗り越えたら自分がやりたいことに一歩近付けるはずだと思うようにしています。

宮下:今日は3人にたくさんのヒントをいただきました。最後に、それぞれが目指している働き方や休み方、キャリアについて聞かせてください。

村松:私は、リクルートの仕事も経営している会社もプライベートも、やりたいことは全て全力で取り組みたいんです。最終的には趣味を活かしてかき氷のお店だってやりたい。だからこそ、自分で柔軟に働き方や休み方を選択できるこの環境をもっと活用したいです。ただ、自由は裏を返せば何事も自分次第ということ。働き方・休み方の先にあるキャリアについても、自律的に切り拓いていきたいですね。

吉田:数年前、産育休から復職する時に、「仕事とプライベートのバランス」についてかなり悩みました。当時は今よりも「上の役職を目指さねばならない」「そのためにはプライベートの犠牲は仕方ない」という雰囲気も感じていたんです。ただ、今はそうではないし、今日皆さんと話をしてみても、会社全体で多様な価値観を持っている人が集まり、多様な働き方をしていることに勇気づけられました。もっといろんなキャリアのあり方が可能なのだと思えたので、もう一度自分の目指す理想を整理してみたいです。

川島:私からすると、村松さんや吉田さんは趣味や子どものことなど、自分が本当にやりたいことのためにリクルートで知識やスキルを身につけているように見えたんです。その価値観がとても素敵だなと思いました。私自身のキャリア観は、アフリカの有名なことわざにもあるように、「早く行きたければ、ひとりで進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」。さまざまな個性や価値観を持つ人たちと仲間になって遠くにある大きな目標を実現していくような、そんなキャリアを築いていきたいです。

ほぼ週休3日制になって働き方はどう変わった? リクルート従業員が語る年間休日145日の使い方
週休約3日制になって働き方はどう変わった? リクルート従業員が語る年間の休み145日の使い方

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

村松美穂(むらまつ・みほ)
リクルート 販促領域マーケティング2ユニット 自動車領域マーケディング部 自動車マーケティングG

大学院修了後の2022年にリクルートへ入社。『カーセンサー』でマーケティングを担当中。兼業で、学生時代に起業した知育玩具の会社を経営。趣味はかき氷店巡りで、季節を問わず年間100杯は食べる

吉田理枝(よしだ・りえ)
リクルート マリッジ&ファミリーDivision 営業統括部 営業3部 名阪G

日用品・化粧品の専門商社での営業を経て、2015年リクルートに入社。『ゼクシィ』の営業としてブライダルドレスやエストサロンなどのショップを担当。2018年に産育休を取得し、復帰後の2019年よりブライダルジュエリーショップを担当中。休日の7割は家族で大阪城公園。自転車に乗れるようになった4歳の子どもと、へとへとになるまで遊んでいる

川島 崇(かわしま・たかし)
リクルート ビューティーDivision リサーチ&アカデミーG

大学卒業後の2008年、リクルートに入社。『ホットペッパーグルメ』などの飲食領域で営業、営業マネジャー、営業推進、外食総研などを経験し、2017年より美容領域の『ホットペッパービューティーアカデミー』に所属。プライベートでは2児の父。第2子誕生時の経験を活かし、社内の男性育休アンバサダーに。現在、東京・滋賀の二拠点生活にもチャレンジ中

宮下真衣子(みやした・まいこ)
リクルート コーポレートコミュニケーション企画統括室 コーポレートコンテンツマネジメント部 コンテンツクリエイションG

大学卒業後の2008年、リクルートに入社。『じゃらん』の営業・編集等を経験後、2018年より、リクルートホールディングスに所属し、リクルートグループの社内広報に。現在はリクルート全体のインターナルコミュニケーションを担当。7歳と3歳の2児の母。副業で竹に関するイベントなどを行っている

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