リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」がつくる“安全安心”な場とは?

リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」がつくる“安全安心”な場とは?
リクルートグループのLGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」代表 黄川田(左)、水本(右)

リクルートにはLGBTQ+とALLY(アライ)が参加するコミュニティがある。立ち上げた黄川田知也と水本真梨乃に活動内容とともに「実は一番大事なこと」を聞いた。
※ALLY…アライ。セクシュアルマイノリティを理解・支援する人

きっかけはふたりの出会いと「安心安全なつながりと場をつくりたい」という思いの重なり

—リクルートの部活動「for COLORs」はどのような部活動ですか?

黄川田:リクルートには従業員が部活動を立ち上げて活動できる制度があります。2018年頃から活動を始め、現在はLGBTQ+の当事者とALLY16名(2022年度現在)が参加しています。「for COLORs」はリクルート横断のLGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」の活動を支援する役割を担っています。コミュニティでは、懇親会を開催したり、リクルート社内の各部署から依頼があった際は任意メンバーで協力するなどの活動をしています。例えば、東京レインボープライドで自社サービスがブース出展する時はボランティアスタッフをメンバーから募ったり、人事制度やサービスを改善するためのデプスインタビューやアンケートに協力することもあります。

リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」代表 黄川田
リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」代表 黄川田

水本:他にも、地道な広報活動もしています。コミュニティのロゴをデザインができるメンバーに制作してもらい、複数案のなかから投票で決め、グッズを作ってメンバーに配布しました。直近は社員証のネックストラップにつけることができるキーホルダーを制作。「COLORsが存在していることそのものや、そこに所属しているだけでも安心する」という声をメンバーからもらうこともあり、このキーホルダーをつけていることで広報活動になるだけでなく、仲間とのつながりを感じることができればと思っています。

黄川田:ダイバーシティ&インクルージョン推進施策の啓発月間中は、社内のイントラネットや社内報メールマガジンなどで広報をしてコミュニティの認知を広げる活動も地道にしています。このような「COLORs」の活動を「for COLORs」のメンバーで企画したり、運営をサポートしたりしているんです。

リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」のキーホルダー
リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」のキーホルダー

—部活動「for COLORs」とコミュニティ「COLORs」をふたつ両立している理由は何でしょうか?

水本:まず、「COLORs」のほうが先にできた、母体コミュニティです。2015年に同僚の紹介で私たちが出会って、安心安全なつながりや場をつくりたいと意気投合し、有志で始めました。立ち上げ当初は20名弱でしたが、現在は180名ほどのメンバーが参加しています。

黄川田:部活動は部員名簿を社内に公開する仕組みなので、クローズド(カミングアウトをしていない)のLGBTQ+は部員になりづらいんです。この背景から、オープンのLGBTQ+とALLYだけで登録をしていますが、コミュニティを支援する機能が会社の制度である部活動として存在していること自体も大切だと考え、「for COLORs」も立ち上げました。

—プライバシー保護の観点でふたつを両立しているんですね。このようなコミュニティで約180名という規模は珍しいと思いますが、なぜそこまでメンバーが増えたのでしょうか?

黄川田:コミュニティの「COLORs」のほうは完全に有志で運営しています。そのため、会社に自分がLGBTQ+であることを知られる心配がないので、クローズドの人も安心して参加できる仕組みであることが、メンバーが増えたひとつの要因だと思っています。代表の私たちふたりしかメンバー名簿を見ることができないよう厳重にプライバシーを管理しています。

水本:懇親会はオンライン・オフライン、LGBTQ+のみ・ALLY混合・他社混合など、形態や参加する人にバリエーションを設けて、本人が安心して参加できると思えるものを選ぶことができるようにしています。活動のお知らせもすべてBCCメールにしているため、メンバー同士も同じ懇親会や活動に参加しなければ、「COLORs」に参加していることをお互い知ることができません。自分が安心できる範囲内で社内の知り合いができる仕組みにしています。

黄川田:他社のコミュニティは、管轄部署と連携して会社の施策と連動した活動をメンバー全員がする前提で立ち上がるケースもあるそうです。「COLORs」は代表から広報される活動のなかで自分が参加したいと思うものにだけ参加すれば良く、メンバーになったからといって活動への参加は必須ではないので、参加しないで所属しているだけでもいいんです。

水本:参加する活動や知り合う人の範囲を選ぶことができる、活動に参加しなくても様子を見守るだけでもOKという、コミュニティとの関わり方の自己選択ができる運用にしているため、気軽に安心してメンバーになってくれる方々が多いのかもしれません。

リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」代表 水本
リクルート横断LGBTQ+&ALLYコミュニティ「COLORs」代表 水本

大事なのは“気兼ねなく話せる”場所があり、仲間が居ること

—このコミュニティでは会社に何か提言するなどの活動もされているのでしょうか?

黄川田:提言する活動はしないですね。もちろん困っている当事者メンバーがいたら相談に乗ったり、助けになりそうな人や担当部署につないだりしますが。まず「COLORs」でやりたいことは、気兼ねなく話せる場所と仲間との出会いをつくることなんです。

水本:私たちは、「ただみんなが安心できる環境をつくりたいだけ」なんです。なので、懇親会の開催をメインに活動しています。

—「COLORs」の懇親会の雰囲気はどのような感じですか?

黄川田:参加しているメンバーが全員フラットである前提で会話ができるので、普段クローズドの人でも気楽に何でも話せている印象です。LGBTQ+に限ったことではないと思いますが、クローズドだと会社生活のなかで、雑談や飲み会は気を張っているというケースも多々あるんです。仲良くなったり、打ち解けたりすると、例えば好きな芸能人やファッション、恋愛や休日の過ごし方の話をすることもありますよね。そういう盛り上がる話題に対して、小さな嘘を積み重ねて、気を張っていないといけないんです。

水本:常に自分のセクシュアリティがばれないように、その場限りともいかない嘘をつき通すのは結構骨が折れます。心を開いて会話していても、ハッと自己点検をしないといけないので、気を抜けない。そして、本当のことを言えないのは少し寂しい気持ちになったりします。

「COLORs」を7年運営し続けているふたりは代表という役割もあるが、お互いが親友と呼べる存在になれたから楽しく続けられていると語ってくれた
「COLORs」を7年運営し続けているふたりは代表という役割もあるが、お互いが親友と呼べる存在になれたから楽しく続けられていると語ってくれた

黄川田:自分のセクシュアリティに気づいてから、学校や家でも嘘をつかなければいけない状況の人もまだまだ多く、それに慣れてしまってはいます。でも、慣れているとはいえ、時には自分が何を言っても気にしない人たちと、気兼ねなく話がしたいじゃないですか。

—なるほど、「自分の発言、大丈夫かな?」と考えながら会話するのは疲れますもんね。

水本:何も気を張らないでいられる時間って、本当に楽ですし、誰にでも必要だと思います。

黄川田:安心安全な場って、人によって結構異なるんですよ。懇親会の選択でもそれは出ていて、LGBTQ+メンバーのみであれば安心して参加できるという人も多いですし。他社と合同開催の懇親会ならニックネームだけで参加すれば所属が分からないので、社内の人にLGBTQ+かもしれないと思われるリスクがないから参加しやすいという人も。オンライン開催に自宅から参加すると同居家族に聞かれるリスクがあるので、リアル開催のほうが参加しやすいという人もいます。

水本:メンバーの声を聴きながら、懇親会のバリエーションはこれからも多くしていきたいと思っています。

開かれた機会づくりにただ注力すれば、自分らしく過ごせる人が少しずつ増えるはず

—運営しているなかで、メンバーの方からどのような声があがりますか?

黄川田:「同じ拠点で働く人とつながって、一緒に遊びに行くくらい仲良くなりました」とかコミュニティをきっかけに、メンバー同士の交流が広がっている話を聞くと運営していて良かったなと思います。

水本:私たちは、安心できる場や人につながる機会は提供しますが、それを必ずこう使って欲しいとか、この活動に必ず参加して欲しいという意図はあまりないんです。機会をどう使うか、どの活動に参加するのかはメンバーに委ねています。この考え方はある意味、リクルートの企業文化と似ているのかもしれません。機会を広げたり、提供することに注力することで、社内で自分らしく過ごすことができる場や人とのつながりをもてる人を増やしていきたいと思っています。

機会が開かれていることが大切。それだけに注力すれば、どう使うか何を選ぶか自己選択することができて自分らしく過ごせる人が増えるはずとふたりは言う
機会が開かれていることが大切。それだけに注力すれば、どう使うか何を選ぶか自己選択することができて自分らしく過ごせる人が増えるはずとふたりは言う

—部活動「for COLORs」とコミュニティ「COLORs」の今後は?

水本:変わらずに安心安全な場とつながりをつくりながら、将来的にはあってもなくてもどっちでもいいものになったら良いと思います。LGBTQ+はひとつの属性にすぎず、その人を表す全てではないですし、特別なことでもありません。またセクシュアリティはアイデンティティではありますが、「猫好き」「ダイビング好き」などのように選べるものでもありません。自己選択できる好きなものや趣味などで集える他の部活動にそれぞれが入って解散するか、この団体がダイバーシティ&インクルージョンを研究したい推進したい人がただ集まっているものになるなどの未来がくることを願っています。

黄川田:それにはまだまだ時間がかかるんだろうなとも思っています。なので、しばらくはまだ継続して運営していきながら、時代に合わせて柔軟に変化していきたいです。昨今「DEI」という言葉が浸透しはじめましたが、LGBTQ+はそのなかのひとつのテーマにすぎないので他のテーマもインクルージョンされていくといいなと思っています。

水本:どんなテーマでも、同じ人間なので共感の接点はあるはず。違いに着目するのではなく、共感の接点を見つけることでインクルージョンの推進は加速するんじゃないかと感じています。私たちもセクシュアリティ以外も共感の接点が多かったので親友になれたんだと思いますし、長年一緒にいろいろ話していても違いはたくさんあるのですが、その違いは楽しむことができているので。

黄川田:共感できる部分に目を向けながら、人は一人ひとり違うという前提のもと、違いは楽しんだり知り合うスタンスでいれば、きっとこの世界がもう少しだけ優しくなるんじゃないかな。まずは、自分たちの手が届くこのコミュニティと部活動がこのような人たちの集まる場であることを維持していきたいと思います。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

黄川田知也(きかわだ・ともや)
株式会社リクルート 戦略統括室 制作・ソリューション推進室 横断統括部

放送業界を経て、2014年リクルートライフスタイルに入社。『ポンパレ』の営業を経験後、『ポンパレモール』を扱う部署の新人研修などを担当。17年にリクルートコミュニケーションズに入社し、HR採用領域にて制作ディレクターを経験。20年より現部署にてコンテストなどの事務局担当をしている

水本真梨乃(みずもと・まりの)
株式会社リクルート Division統括本部 戦略統括室 制作・ソリューション推進室 HRソリューション推進1部

空間ディスプレイ業界を経て、2012年リクルートメディアコミュニケーションズ(後のリクルートコミュニケーションズ)に入社し、HR採用領域の制作ディレクターや組織開発コンサルタントを務める。20年リクルート ダイバーシティ推進部を経て、22年現職に。新規事業提案制度 Ringに複数回挑戦し、社内向けSNSやE-ラーニングなどを起案し2度事業化検討を経験。副業では飲食・不動産仲介業を営む

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