シリーズ - 海外を見る「香港」

シリーズ - 海外を見る「香港」

インタビュアー:高山 典久(RGF HR Agent HK 拠点長) 企画:榊原 宏一(SEA Planning Group MG) 文:MeetRecruit編集部

IT化、プラットフォーム化が進み、グローバルビジネスが盛んになってきた昨今。日本企業に限らず、海外展開を当初から念頭に据えたビジネスを展開する企業も多い。ただ、現地にいるからこそ分かることもある。

今回はアジアを中心に、海外での現地採用・グローバル人材採用を支援するリクルートの海外法人ブランドRGF(リクルート・グローバル・ファミリー)の香港拠点長 高山典久が、伊藤忠ファイナンスアジア代表取締役社長 樋口千春氏に、中国・香港の今を伺った。

補足:伊藤忠ファイナンスアジア
アジア市場の中で中国・香港・上海をメインに、「消費者金融事業」「リース事業」「投融資事業」「中古車関連事業」の4つを柱にビジネスを行う、伊藤忠グループの事業会社。

北京や上海は厳しいビジネスの競争環境。現地の方々の動きは早く、力も強い。

樋口千春氏

伊藤忠ファイナンスアジア代表取締役社長

「4つの中心事業において、その事業のステータスによって展開する国が多少違います。
例えば金融事業は歴史も長く、元は深センを中心に展開していましたが、現在は拡大し中国市場で15拠点あります。最近、中古車事業を始めたのですが、これも金融ビジネスの成功体験もあり、深センから始めています。マーケット的にも"一番車が走っている地域"は北京ですが、中古車流通の割合としては深センの方が高い。市場として成熟していると感じています」

話を聞くと、特に中古車関連事業に関しては、IT化の流れもあり、欧米VCなどの資金流入も増えてきているのだそうです。特に深センは中国の「経済技術開発区」に指定されている事もあり、情報通信産業やサービス業が発展しているエリアです。

逆に中国の最大都市である上海や北京に関しては、多くのプレイヤーが市場として目指すため競合の参入が多く、過当競争気味であることを指摘されていました。

香港の日系企業で一番驚いた事、それは「日本語」

樋口千春氏

伊藤忠ファイナンスアジア代表取締役社長

「私の海外駐在自体は香港が初めてではなく、中近東に8年ほど、その後現在まで4年弱香港にいます。香港に来て一番最初に驚いたのは、現地採用の人間も含め、すべて日本語でコミュニケーションが成り立つこと。今駐在員が6名、現地採用が8名(香港・日本・中国)といますが、オフィス内の会話はすべて日本語です。新入社員の日本人より、上手かもしれませんね(笑)もちろん各拠点に足を運んだ時は、ご飯を食べたり話を聞いたり、と当たり前の事をしていますが、ちゃんと"言えば改善してくれる" "約束を守る"という事をやっていれば、自然と人も定着します」

確かに、そこまで深く思っていませんでしたが、RGFの香港事業所でも日本語での会話が自然と繰り広げられています。樋口氏は、機微が掴みやすく、そういった点では日本にいる感覚が強い、とも教えてくれました。

ただ、海外の人材回転率は高く、チャンスがあれば積極的に動いていくのは、中国に限らず、世界的な一般です。そういった点も念頭に置いて、社員マネージメントを行うのが良いのかもしれません。

話を聞く高山

事業にコミットし、高い目線でビジネスを考える。どの国の人間でも採用要件は変わらない

樋口千春氏

伊藤忠ファイナンスアジア代表取締役社長

「世の中のニーズを見つつ、ビジネスチャンスをひらめき、馬力をかけて巻き込み、実行する。そういう人材が欲しいですね。そのものずばりの人はそうそういない。日本の新入社員だって育成まで3年はかかる。"ガッツ" "言葉" "コミュニケーション能力" などに加え、何かに対する一芸を持ちながら、まだ誰もやったことのない商売をやってやる、という人を受け入れて、積極的にチャンスを広げてあげる事が、会社、というより私たちの世代の役割だと思ってます」

樋口氏も、そもそも私も社長になりたくて商社に入ったんだ、と笑いながら教えてくれました。最近日本でも「セカシュー」というようなワードで、海外を目指す若者が日本企業からの駐在ではなく、直接現地採用で飛び込んでいく傾向が強まっていると感じられます。その中では、確固たる意志を持ってチャレンジしていく事が重要です。

最後に、樋口氏はこう締めてくれました。

「ガッツのある方は、失敗を恐れずに、チャレンジしてほしい。受け入れたい。」

プロフィール/敬称略

樋口千春
伊藤忠ファイナンスアジア代表取締役社長

1962年生まれ。84年横浜国立大学卒業、伊藤忠商事入社。86-88年アラビア語の研修2年間をカイロで経験。93-99年イスタンブール。2010年香港
入社時は自動車関連に従事。2001年から金融関連事業。
ここ近年10年以上は、消費者金融に従事。2006年―7年。金融バブルではつらい地獄を見たそう。本社部長時代に、全70人の部長の中で最下位ぶっちぎりは、自分だけ。そんな経験も事業を養ううえでは血肉になったそう。

高山典久
RGF香港・拠点長

1982年生まれ。日本で、製造業・商社を中心とした採用コンサルティングを経て、2011年よりリクルート海外人材斡旋事業であるRGFに参画。現在、RGF香港 にて、ゼネラルマネージャーを務める。香港にて日系大手企業への人材戦略・組織構築の提案を初めとし、世界のビジネスハブとして注目されている同エリアにて、金融・IT分野を中心に、外資系企業へのビジネス拡大にも挑む。

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