未経験からのキャリアチェンジで挫折。上司からもらったのは再挑戦の機会と期待

未経験からのキャリアチェンジで挫折。上司からもらったのは再挑戦の機会と期待

手作業で行っている定型業務をロボットにより自動化・代行することで、年間14万時間以上の業務効率化を実現した、音羽佐智子。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に詳しいIT人材として大規模プロジェクトを推進するようになるまでには、未経験からのキャリアチェンジでの挫折、そして周囲の支えがあったそうです。

異動希望制度に手を挙げ、未経験からシステム開発のキャリアに挑戦

入社後、配属された営業部で、大規模な商品リニューアルを経験しました。それまで住宅領域で発行・運営していた複数メディアの名称を変更し、『SUUMO』ブランドに集約する。これにともない営業の介在価値だと思っていた工程がシステム化される姿を目の当たりにし、「これからはシステムのことを知らないとクライアントに貢献できないかもしれない」と思い、社内異動希望制度に手を挙げ、IT部門へ異動しました。これは「キャリアウェブ制度」という、年間約200種類ある募集ポストに応募し、自分の意思でキャリアを広げられる機会です。私も毎年秋頃に送られてくる募集メールに目を留め、すぐに応募しました。システム開発の経験はゼロ。経験もスキルもなかったけれど、熱意や営業としての課題感が買われて異動が叶いました。

着々と経験を積むも、初の大規模プロジェクトでリーダーの役割が果たせず

同時期に配属された新人と一緒に3ヶ月間の研修を懸命に受け、『タウンワーク』などを扱う部門のシステム担当になりました。小規模、中規模のプロジェクトで経験を積み、2年後、クライアントと営業の間で大量にやりとりされる紙の申込書をWeb化する、400人/月を超える大規模プロジェクトのリーダーを任されました。
ところが、ビジネス検討や要件定義を進めるなかで、みるみるうちに工数が増加。事業のこと、システムのこと、マネジメントのこと…、どれも深く理解していない自分が判断することに怖さを覚え、だんだん何も決められなくなってしまったのです。途中から、プロジェクトマネジャーや周囲の方が介入して軌道修正してくださり、なんとかプロジェクトを終えることはできました。
結果的には現場混乱もなく、事業のKPIも達成したのですが、その一方で私は、プロジェクトに全く貢献できず無力感でいっぱいでした。周りの人たちからの信頼を失ってしまったように感じ、つらい負のスパイラルに。別のプロジェクトが始まってからも、しばらく自信を持てない状況が続き、悶々としていました。

退職も覚悟で挑む新案件。かけられた言葉は「好きなようにやってみなよ」

プロジェクトを終えても、吹っ切ることができず、「もう一度全力で頑張ってダメだったら、その時は会社を辞めよう」という思いで再起することに。上司が私に任せてくれたのは、デスクワークを中心とする定型作業をロボットが代行・自動化するRPAプロジェクト。依頼の際、こう言葉をかけられました。

「音羽の好きなようにやってみなよ」

ふと、以前の大型プロジェクトを担当していた時、プロジェクトオーナーや周りの方から「周りにお伺いを立てすぎ。自分で決めていいんだよ」と言われていたことが蘇ってきました。今回、私はプロジェクトリーダー。方向性を決める人、決めていい人、決めなくてはならない人。自分の役割をはっきり自覚すると、これまでくすぶっていた気持ちが一気に晴れていったのです。
そこから、100名近くいる関係者と連携し、日々の業務課題をヒアリング。これまでの営業経験、プロジェクト経験、上司や先輩の判断軸や行動を思い出し、参考にしながら、自動化すべき業務を見極めていきました。自分の意思を込めてRPAスキームを作り上げ、結果、22組織39業務の早期RPA化を実現。年間当たり、14万時間の削減にもつながりました。

振り返ってみると、私は周りに気をつかいすぎて、自分の役割をしっかり認識できていませんでした。専門スキルを持った人たちが役割を担って、プロジェクトは動いているのに、「その全てを把握しなければならない」という思い込みがあったのかもしれません。
時間はかかってしまったけれど、これまで私を見守り、期待し続けてくれた先輩や上司に、ようやく仕事で恩返しできたことが、今、何よりも嬉しいです。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

音羽佐智子(おとわ・さちこ)
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 プロダクトディベロップメント室 横断業務ディレクション部

2007年リクルートに入社。住宅領域での営業を経て、10年よりIT部門にキャリアウェブで異動し、アルバイトパート領域の開発ディレクションに従事。16年に販促領域の開発ディレクションへの領域異動をきっかけに、多数の社内業務改善案件に携わり、年間14万時間相当の業務効率化を実現。22年4月より新設された横断業務ディレクション部に異動。RPAだけにとどまらない「IT活用を伴う社内業務効率化」をテーマに、リクルートの各領域に対し、現場の課題に向き合っている。プロジェクトの判断に迷った時、メモしておいた上司の名語録を見返し、勇気をもらったそう

最新記事

この記事をシェアする

シェアする

この記事のURLとタイトルをコピーする

コピーする

(c) Recruit Co., Ltd.