仕事の意義とは?『宇宙人とみつける仕事図鑑』監修が自分の仕事を見直す機会に

仕事の意義とは?『宇宙人とみつける仕事図鑑』監修が自分の仕事を見直す機会に
子ども向けお仕事図鑑『宇宙人とみつける仕事図鑑』を監修した従業員たち。普段はリクルートエージェントにてキャリアアドバイザーなどを務めている

2022年4月に発売された子ども向けのお仕事紹介図鑑『宇宙人とみつける仕事図鑑』。この本には監修として、リクルートが展開する転職支援サービス『リクルートエージェント』の名前が入っています。なぜリクルートエージェントが子ども向け書籍の監修をすることになったのか、有志たちだけでどう監修を進めていったのか、監修の取りまとめを行った当社従業員の話をお届けします。

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図鑑監修はひょんなことから始まった

―今回の監修はどのように決まったのでしょうか?

岡田:きっかけは、「雇用のトレンドについて話を聞きたい」という出版社からの取材依頼でした。取材を受けた際に出版社と社外広報担当者とで話が膨らみ、「『リクナビ』や『リクルートエージェント』などを運営し、仕事や働くについて一番詳しそうなリクルートに図鑑に掲載する仕事の監修をお願いしたい」という話になったそう。そこで、取材対応をしていた社外広報担当者から、リクルートエージェント内の組織活性を担当する私に、監修の打診が来ました。

話を受け私は、「リクルートエージェントを広く世の中の人に知ってもらういい機会だ!」と飛びつきました(笑)。ですが、288ページの図鑑監修を私ひとりでできる訳ではありません。日々いろいろな仕事の方の話を聴くキャリアアドバイザーをはじめ、日々「働く」について考え続けているリクルートエージェントに携わる多くの方のご協力が必要でした。 

―どのように協力者集めを?

岡田:Teams上で既に作っていた全国の従業員がつながるコミュニティを活用してお手伝いを募集したところ、業務外ボランティアにも関わらず、「子どもたちのキャリア教育に関わることができる」と40人以上が協力してくれることになったんです。でも、正直そこからが大変でした(笑)。

『宇宙人とみつける仕事図鑑』図鑑監修のとりまとめを務めた岡田菜子さん

576職種の中にはもちろん知らない職業も

―288ページの図鑑の監修なんて考えただけで大変そうです。

岡田:私は監修の取りまとめ役として出版社と従業員有志の間に立ち、出版社から次々送られてくるゲラの管理や修正箇所の確認などを進めていきました。校正のやり方としては、ゲラを共有Excelにまとめ、それぞれ気になった箇所を記入。40人以上の校正観点を可視化することで、それぞれがお互いのものを参考にしながら、自らブラッシュアップできるようにしました。誰がどの職種を監修するのかを把握しながら進めていったのですが、登場する576もの職種の中には、さすがのキャリアアドバイザーも担当したことがない職種も多くて…。

―そんな時はどうしたんですか?

岡田:リクルートエージェントで働く人の中には転職組も多く、そのつてを辿るなどして、該当職種の人に直接取材をしたり、職業に関連する協会の公式ホームページを確認したり、その職種の方が書いた本やブログを読んで、丁寧に調べていきました。また、文言だけでなく、イラストに違和感がないかもチェックしていったんです。「ボディビルダー」がジムで上半身裸でポージングしているイラストもあったのですが、前職がジムトレーナーだった方が、「ジムの中でお客様を前に裸になることはない」と指摘し、タンクトップを着た絵に描き替えてもらうことも。事実として間違えないことはもちろんですが、その職業に対して誤解を与えてしまう表現はないか、相手の立場を想像しながら徹底的に見ていきました。

「子どもに誇れる仕事を」と語る仲間に励まされ

―そこまで丁寧に見ていると、かなり時間もかかったのでは?

岡田:「良いものにしたい!」という思いが皆とても強い分、時間はかかりましたね。私たちの修正指示が細か過ぎて、出版日が遅れそうになる事態もあったくらいです(笑)。最初は、私の「リクルートエージェントを広めるチャンスだ!」という軽い動機で、有志の皆さんにこんなに手間のかかることをお願いしたことに申し訳なさも感じていましたし、私自身、通常業務との両立に苦しみ「大変な仕事を請けてしまった…!」と思ったこともありました。

ですが、皆が口々に「自分の経験や知識を社会に還元できると知れて本当に嬉しい」、「子どもに誇れる仕事を今できていると実感している」、「自分が職業選びに苦しんだ過去があるからこそ、子どもたちにはさまざまな選択肢を教えてあげたい」など、自らのこの監修への意味づけを語ってくれたおかげで、私も前を向けました。

そこからは、私のミッションである組織活性も念頭に置きながら、「せっかく皆が社会との接点を得て、情熱を傾けているのだから報いたい!」と、いかに楽しくこの監修を進められるかも考えて、オンラインゲラチェック会や、リアルで集まって黙々とチェックをする会なども実施。部活動のようなワイワイした楽しい雰囲気を作り出すことを意識して最後まで進めていきました。

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監修は自らの仕事の価値を自覚する機会に

―今回の監修は単なる社会貢献だけではなく、自分の視野を広げたり、自己の仕事の捉え直しができる機会でもあったのでは?

岡田:顧客と密接に関わり合うキャリアアドバイザーをはじめ、私たちリクルートエージェントの携わる人材紹介領域の仕事は、個人や企業と深く向き合う仕事です。ですが、コロナ禍でオンライン化が進み、顧客接点もオンラインのみ、同僚との交流も減っていました。従業員が皆、自分たちの仕事の社会的意義や広がりを感じにくくなっていたタイミングに舞い込んだのが、この監修でした。監修を通して、自分たちの仕事が子どもたちの未来の選択肢を広げる役に立つんだとダイレクトに感じられ、改めて普段の自分たちの仕事の価値を自覚する、貴重な機会になったように思います。

―手をかけた本が実際に出版されましたね。

岡田:無事に迎えた出版日には、出版社からも「指摘が多すぎると思ったこともありましたが、皆さんがいなければここまでのクオリティは担保できなかった。御社に依頼しないで出版なんてできなかった」と感謝の言葉をいただきました。出版社を通して「子どもが夢中で毎日読んでいる!」などの嬉しい感想も届いています。また、監修に携わった皆はそれぞれ、書店に平積みになった図鑑を見に行ったり、子どもに読み聞かせたり、自腹で地元の図書館に寄贈したりと、いろいろな形で自分の仕事を噛みしめています。もし私が引き受けなければ、この喜びを得る機会は生まれなかった。あの時、監修の話に飛びついて本当に良かったと思います。これからも組織活性を担う者として、仲間を信じ、つなぎ、彼らの熱量やつながりをどんどん可視化し、広げていきたいです。

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プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

岡田菜子(おかだ・さいこ)

株式会社リクルート Division統括本部 HR本部 HRエージェントDivision 顧客ロイヤルティ推進部 企画グループ

大手総合電機メーカーを経て、2012年に入社。リクルートエージェントでの営業を経て、18年よりインナーコミュニケーションチームで組織活性を担当。最近、海の見える家に引っ越して、おうち時間を満喫している

 

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