リクルートのエンジニアリングを伝えたい。「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」初開催の舞台裏に迫る

リクルートのエンジニアリングを伝えたい。「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」初開催の舞台裏に迫る

2024年2月21日に、株式会社リクルートへの統合※後初となるエンジニア向け大型カンファレンス「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」を開催。多彩なゲストスピーカー、けんすう(古川健介)氏(アル株式会社 代表取締役)、和田卓人氏(タワーズ・クエスト株式会社 取締役社長)、栗林健太郎氏(GMOペパボ株式会社 取締役CTO)とともに、リクルートの現役エンジニアが登壇。

リクルートで多様な事業領域に携わる、データ、フロントエンド、バックエンド、インフラなどに専門性を持つ現役エンジニアたちが、事業成長に向けたまなざし、戦略、先端技術の活用への挑戦など、一人ひとりが問いを立て革新に挑むことで得られたナレッジを共有しました。

このイベントを通じて、リクルートの現在地点の開発力やナレッジを伝えると同時に、社会から幅広くさまざまな反応やフィードバックをいただき、もう一段私たちの成長にもつなげたい。そんな思いで開催まで走り切ったプロダクト統括本部の松尾奈美、小川健太郎に課題感や思いについて聞きました。

※株式会社リクルートへの統合:2021年4月1日に主要な中核事業会社・機能会社国内7社を株式会社リクルートに統合(組織再編)した

1. リクルートのITナレッジを社内外に発信する、大型カンファレンス開催の理由

「リクルートのIT技術をもっとアウトプットしていきたい」と語る松尾奈美
「リクルートのIT技術をもっとアウトプットしていきたい」と語る松尾奈美

― 「技術で挑み、技術でつなぐ。」というコンセプトのもと、オンライン開催された「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」。まず、今回のカンファレンス開催を検討するに至った理由を教えてください。

松尾奈美(以下松尾):以前からリクルートが事業を推進する上で得た開発やエンジニアリングのナレッジを外に発信していきたいと考えていて、今回のイベント企画に至りました。さまざまなITサービスを展開している“リクルートならでは”の技術力をフラットに開示してナレッジを社会に還元すること。そして、社会に発信することで、さまざまな反応やフィードバックをいただき、社内のエンジニアにとっても気づきや学びを得るきっかけになる。このふたつが、カンファレンス開催の目的でした。ますます技術・開発力が企業の競争優位になる時代に、あえて情報をオープンにすることで私たちも多くの学びを得ていきたいと考えていました。

― 松尾さんが、リクルートのITナレッジを発信したいと思ったきっかけなどはあったのでしょうか?

松尾:私ごとにはなってしまうのですが…、株式会社リクルートに統合する前は、リクルートグループのIT領域を横断的に担う株式会社リクルートテクノロジーズという会社に在籍して採用や広報を担当していたんです。自分は非エンジニア職だったので、同じ会社にいながらも仲間のエンジニアたちが、IT技術を駆使して社会に新たな価値を生み出しているのを見て、純粋に「すごいな」という憧れがありました。振り返ると、ITが世の中を変える、その絶大な影響力を身近に感じてきた原体験が、ひとつのきっかけと言えるかもしれません。

― 対してエンジニア組織を担当されている、小川さんは今回のカンファレンスをどのように捉えられていましたか?

小川健太郎(以下小川):私はキャリア採用でリクルートに入社してから、エンジニア職としてさまざまな事業に携わってきました。リクルートにはプロダクトを開発するエンジニアをはじめ、データサイエンティスト、デジタルマーケター、プロダクトマネジャーなどテクノロジーと向き合う社員の比率も増加しています。ですが、社外から見ると“営業の会社”というイメージが根強くて、友人から「リクルートにエンジニア社員っているんだっけ?」と言われることも。

私自身としては、多くのIT企業が、テクノロジーカンファレンスを開催しているのを見て、「いつかはリクルートでもやってみたい」と考えていました。カンファレンスは、IT技術力をPRする場でもあります。分社化時代は開発組織も分散していましたが、統合後、ようやく一体感を持ってPRできる時期となり、「ついにここまで来たんだ」という嬉しい気持ちがありました。社内のエンジニアの私たちにとっても、自分たちのIT技術や開発にかける思いをアウトプットできる場ができたことで、モチベーションアップにつながったと思います。

2. 多くの関係者を巻き込めたのは、「技術で挑み、技術でつなぐ。」というコンセプト

自身もエンジニアであるリクルート小川健太郎は、「自社でのテクノロジーカンファレンス開催は夢だった」と語る
自身もエンジニアであるリクルート小川健太郎は、「自社でのテクノロジーカンファレンス開催は夢だった」と語る

― ここからは、開催準備に関して話を聞かせてください。構想から開催までどれくらいの準備期間をかけ、どのようにプロジェクトを推進していったのでしょうか?

松尾:実は、最初にひとりプロジェクトで企画書をまとめたのは2年前。全社のナレッジマネジメント担当組織や広報、人事などさまざまな部署と会話を進めながら、準備段階となる横断組織ができたのが1年前。最初は3~4名のメンバーでイベントやオンライン配信などのナレッジを獲得していきました。
そして、2023年にはカンファレンス準備を始め、部署の垣根を越えてコミュニケーションを取りながら、イベントの規模や内容を一つひとつ決めていきました。小川さん含むエンジニアの方に何度も壁打ちさせてもらいました。

小川:やはり今回のイベントは、エンジニアの技術をアウトプットする文化や仕組みを作りにいくという意味でも大変意義があったと思います。エンジニアのなかには、アウトプットが得意な人もいれば苦手な人もいるので、イベントで実現したい価値を関係者で共有し合う必要があった。そこをリクルートとして社会に対し、技術・開発ナレッジを共有するスタンス、社内に対しては外からの評価や互いの取り組みを認め合える仕組みづくりをしようという狙いをしっかりと伝えながら推進し、第一歩が踏み出せたということが何より大きな収穫だったと思います。

― ゼロからイチにする大変さがあったのですね。開催にこぎつけるまで、大切にしてきたことはありましたか?

松尾:大切にしていたのは、本イベントの主役であるエンジニアの方々がどんなテーマなら聞きたい・参加したいと思ってもらえるかということ。そのために、社内のエンジニアをはじめたくさんの方々と会話をしながら、コンセプトや具体的なプログラムを固めていきました。

― カンファレンスのコンセプトは、「技術で挑み、技術でつなぐ。」…この言葉にはどんなメッセージが込められているのでしょうか?

松尾:グループ経営戦略のなかの「Simplify Hiring:人材マッチング市場におけるマッチングの質の圧倒的な向上」、「Help Businesses Work Smarter:SaaSによる日本国内企業クライアントの業績および生産性向上」、これらのテーマにおいて、カスタマーやクライアントの抱える顕在的な課題だけでなく潜在的な課題を発見し、エンジニア自らが課題を発見し、その解決のために技術を強みにした価値創造をリードしているのが、今のリクルートです。

リクルートのエンジニアが「技術を競争優位としてカスタマーやクライアントの抱える課題発見と解決に挑んでいること」、「それにより社会における新たな価値につながっていること」を伝えたい。そしてカンファレンスを通してその取り組みを広くシェアすることで、社会の、または誰かの価値につながっていって欲しい」という思いを込めて「技術で挑み、技術でつなぐ。」というコンセプトを掲げました。このコンセプトがあったからこそ、膨大な準備のなかで決断に迷うことがあっても、軸をぶらさずに検討を進めることができたと思います。

3. 登壇したエンジニア、参加者の声から得た視点、学び

リクルート本社内スタジオからLIVE配信形式で開催された「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」の模様
リクルート本社内スタジオからLIVE配信形式で開催された「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」の模様

― 今回のカンファレンスでは、業界の第一線で活躍されているゲストスピーカーだけでなく、まさに日々の業務でカスタマーやクライアントの課題解決に技術で立ち向かうリクルートのエンジニアが登壇。惜しみなくそのナレッジを共有する姿が印象的でした。カンファレンス開催のなかで、おふたりが印象に残っていることがあれば教えてください。

松尾:データ領域のパネルディスカッションで、当社データ組織の責任者が、「私たちは「How」だけでなく、「What」そして「Why」を重視している。カスタマーとクライアントに価値を届けることを目的にした場合、専門性は単なる手段にすぎない側面もある。逆に言えばその手段を最大限に輝かせるためにも「何のために、どういうものを作るべきか」を大事にしているんだ」と話していました。全てのトピックスがまさに、カンファレンスのコンセプトに込めた思いとリンクしている気がして印象に残っています。

新規性や技術性の高さだけにこだわらず、カスタマーやクライアントの目線に立ち、本当に求められている課題の発見・解決のためにエンジニアリングの技術を磨いていく。それこそが“リクルートのエンジニアらしさ”なのではないか、と再認識する機会になりました。

小川:なんといっても、カンファレンス当日に、オープニングキーノート『エンジニアの未来を考える』で、けんすうさんと対談する機会をいただけたことをはじめ、準備期間を含めて本当に得難い経験になったと思っています。

正直に言うと、準備を進めながら、前例がなく自由に企画ができる分、「1回目で失敗したら2回目はないのではないか」というプレッシャーも感じていました。だからこそ、参加者の方からのX(旧Twitter)のコメントで「自分も同じ課題に取り組んでいるので学びになった」「もっと話を聞きたい」という共感や期待の声が届いているのを見て、ホッとしましたね。こうして他社のエンジニアの方々を含めた社会とのつながりを感じられるのも、リクルートらしいなと感じました。

今回は初回ということもあり、参加者とのリアルタイムでの交流は少なかったですが、次回以降は、ぜひ開催者と参加者の双方向のコミュニケーションにもトライしてみたいです。

4. もっと便利な世の中を目指して。技術で未来へ立ち向かう

「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」は大盛況のうちに幕を閉じた
「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」は大盛況のうちに幕を閉じた

― 第1回カンファレンスが終わったばかりではありますが、最後に今後の展望についてお聞かせください。

小川:カンファレンスを経て、IT企業としても、もう一段踏み出せたような気がしています。エンジニア関連職の数も増えて成果が多様化し、さまざまな開発ナレッジが蓄積されてきたのが今のリクルート。IT技術や開発力によって、日本全体の生産性はまだまだ上げることができるはず。便利で本当にやりたいと思えることに集中できる人が増える世の中にできたらいいですね。多くのカスタマーやクライアントとの接点があるリクルートだからこそ、現場の抱える真の課題発見とその解決に立ち向かえるのではないかと思います。

松尾:近年、さらに加速度的に新たなIT技術が生まれてきていますよね。それだけ、テクノロジーの伸びしろは、まだまだ大きいと思うんです。今回実施した、「RECRUIT TECH CONFERENCE 2024」ではエンジニア職を対象にしていますが、プロダクトマネジャーやデジタルマーケタ―などの職種を対象にしたイベント、各種サイトからの情報発信など、今後も複合的にナレッジシェアへの取り組みを行っていきます。
また今回、カンファレンスのタイトルに2024を掲げたのは、2025、2026…へつなげていきたいという思いから。時代とともに進化するリクルートの技術力、開発力を社会の多くの方々とともにさらに進化させ、活かしていただけるようになれたら嬉しいです。

カンファレンス終了後に、撮影スタジオに集まった登壇者・社外ゲスト・運営メンバーで撮影
カンファレンス終了後に、撮影スタジオに集まった登壇者・社外ゲスト・運営メンバーで撮影

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

小川健太郎(おがわ・けんたろう)
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 プロダクトディベロップメント室 販促領域エンジニアリングユニット ユニット長

新卒で受託開発企業に入社し、カスタマーサポートからキャリアをスタート。プログラマー・SEを経験後、2012年リクルートに転職。ライフスタイル領域の新規事業開発エンジニアとして従事し、スマートデバイス横断領域や『ホットペッパービューティー』開発マネジャー、ディビジョンチーフエンジニアを歴任。2019年よりリクルートのグループ会社3社を兼務し、エンジニア組織開発に従事。2021年より現職

松尾奈美(まつお・なみ)
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト企画統括室 コミュニケーション&ナレッジ推進部 部長

2006年、新卒でリクルートに入社。リクルートおよびリクルートテクノロジーズにて、一貫して経営企画、採用、広報といったスタッフ領域を担当。現在はプロダクト組織(プロダクトマネジメント、プロダクトデザイン・マーケティング、プロダクト開発)のコミュニケーション・ナレッジマネジメントの推進・発信を通じて、メンバーがよりイキイキと活躍できる組織づくりと会社の魅力を発信することの「両輪」を担う。2023年より現職

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