少子高齢化や人口減少など、地方創生に関する課題が深刻化する中、株式会社リクルートでは、地域の複数の企業や自治体と協力して、地域ぐるみで採用・育成・定着を行うサービス『マチリク』を提供しています。一つの企業では難しいことも、地域コミュニティで協力することで、地域雇用の活性化を目指していく。これは、マチぐるみで採用し、人を育てる、「コミュニティ・リクルーティング」という新しい採用活動の形です。今回はその事例の一つとして、北海道のニセコ町商工会とリクルートが連携して始まった、人材採用&移住定住推進プロジェクトについて紹介します。

マチリク

2014年に東北から始まり、全国へと活動の輪が広がる『マチリク』

地方企業では、多くの雇用に関する課題を抱えており、例えば、多様な働き方の受け入れ態勢が都市部の企業に比べると万全ではないことが挙げられます。「移住したい」「地方企業で働きたい」と希望する方々の多くが、「希望する求人があるのか」「多様な働き方ができるのか」「地域のコミュニティに馴染めるのか」といった不安を感じているのが現状です。

そこで『マチリク』が提供しているのが、採用・育成・定着を「個社単位」で行うのではなく、複数の企業や自治体と協力し「地域ぐるみ」で行う「コミュニティ・リクルーティング」です。地域コミュニティを作り、みんなで採用し、みんなで育てていく。企業の垣根を越えた横のつながりを研修などで作ることで、「地域同期」のコミュニティを創出し、職場での活躍と地域への定着の支援につなげています。

『マチリク』の取り組みは2014年に東北から始まり、今では全国の地域へと活動の輪を広げています。また、その効果は採用だけに留まらず、業種を超えた地域イベントでの連携や、地域一体となったビジネスモデルの構築など、これまでになかった新しい取り組みも次々と生まれています。

北海道ニセコ町で人材採用&移住定住推進プロジェクトが始動

北海道ニセコ町で人材採用&移住定住推進プロジェクトが始動

左からリクルートの金光 雅志、日高 誠人、ニセコ町商工会の市橋 貴之さん、リクルートの五木田 雅彦

北海道ニセコ町では、2022年の春ごろよりコロナ収束を見据えてリゾート施設を中心に求人が拡大傾向です。人材不足を経営課題として挙げる地元企業も増える中で、ニセコ町商工会とリクルートが連携して、人材採用&移住定住推進プロジェクトを始動することになりました。

まず2022年4月に開催したのが、町内事業者向けの人材採用強化セミナーです。これまで商工会やハローワークのWEBサイトで求人情報を掲載してきましたが、移住検討者と求人情報のマッチングに課題を抱えてきました。そこで、より分かりやすくイメージしやすい求人情報を掲載することで、マッチング課題や人材不足の解消を目指し、まずは『Airワーク』採用管理の無料説明会を開催しました。

参加前の町内事業者からは「『Airワーク』や『Indeed』の名前は聞いたことがあるけれど、いまいち仕組みが分からない」「掲載料や手数料などの費用がかかるイメージ」という声が寄せられていました。しかし実際は『Airワーク』を活用することで、無料で採用ホームページを作成でき、採用の成功報酬までが全て無料で完結。さらに『Indeed』と連携して求人ページが掲載されるため、多くの求職者にリーチでき、自社求人サイトとして、チラシなどの販促ツールとして活用できるというメリットもあります。

人材採用強化セミナーは約2時間のプログラムで行われ、前半は国内の求人状況や移住者が求めている求人情報などのお役立ちデータを提供。後半は『Airワーク』の採用管理ページを実際に作成するまで行いました。より多くの人に検索・応募してもらうためのノウハウなども具体的に紹介し、参加した町内事業者の皆さんも満足された様子でした。

ニセコ町移住定住支援員として活動をされている奥田さん

ご自身も元々は移住者で、現在はニセコ町移住定住支援員として活動をされている奥田さん

ニセコ町移住定住支援員の奥田さんは次のように語っています。

「実際、ニセコ町への移住相談はとても多いです。移住の際に最も重要となるのが“住宅”と“仕事”。住宅については移住前に内見もできますが、仕事については移住した後に働いてみないと分からないのが実状です。

移住される方は“こんな移住ライフを送りたい”という理想を持っていらっしゃる方がほとんどで、移住後の仕事が想像していたものと違った場合、移住そのものが失敗だったということにもなりかねません。移住前にWEB上で仕事の内容を分かりやすく紹介することでミスマッチを防ぎ、移住後も、満足して長く定住をしてもらいたいと考えています。それは移住者だけではなく地域の事業者にとっても有益なはず。」

ニセコ町商工会とリクルートでは、今後も人材採用&移住定住推進を目指してさまざまな取り組みを行っていく予定です。

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