エシカルジュエリーブランドプロデューサー 白木夏子さんのリクルート考

シリーズ

リクルート考

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世界に貢献し共生を目指す新たな時代 社会の転換期にビジネスをリードしていって欲しい

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2021年1・2月号からの転載記事です

社外視点とネットワークを持つ起業家精神あふれるメンバー

私が起業後すぐに出会った『ゼクシィ』の方々とはいろいろなチャレンジをしてきた思い出があります。ロンドン大学卒業後、海外でのインターンシップを経て、国内の金融系企業に就職。リーマンショックを契機に、かねてから検討していたエシカルジュエリーブランド『HASUNA』を立ち上げました。エシカルとは、直訳では「倫理的な」という意味。近年では特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを指すようになりました。

当時日本ではまだ社会貢献と経済的成功を両輪で目指す事業は珍しい時代。リクルートでも新たな結婚式の選択肢を模索していたと伺っています。ゼクシィより少し年齢層の高い読者をターゲットとした姉妹誌(当時『ゼクシィAnhelo』)の編集部が、エシカルウエディングというキーワードで取材してくれたのを契機に、日本のエシカルウエディングを盛り上げていくためのプロジェクトが始まりました。

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当時の編集部や営業部の方々、思いを同じくするクライアント数社で集まりミーティングを重ねました。とにかく全員が手探りで事例創りから始めようと動き出したことがとても印象的でした。

リクルートの方々は、起業家精神にあふれていて、社外の人も巻き込み、若手でもイキイキと意見を主張し、プロジェクトを動かしていくのに驚かされました。社外にも積極的に出ていくので、いろんな勉強会や交流会でもよく会いましたし、共通の知り合いも多かったです。常に「そこに安住しない」という感覚を持ち続けているところが、大企業的ではないと感じました。

原体験は家庭と学校の教育 対等な社会貢献を目指す

遡るとエシカルなビジネスを志した原体験は、ともに暮らしていた祖父から戦争体験を聞き、今の豊かな日本に生まれた自分が世界に対して何ができるかと深く考えたことがひとつ。その後も、社会問題や環境問題などの解決を自ら考えて行動するという授業や、留学中もNPOやNGOをたくさん見て回った経験、ベトナムでの国連インターンなどを通じ、寄付やボランティアだけでは真の解決はできないのではないかと感じたことです。

一方でベトナムでは、現地でビジネスを立ち上げている人たちとの出会いを通じて新しい発見がありました。例えばフランス人デザイナーがベトナム刺繍を入れたファッションブランドを展開していたり、香港人が現地の素材でバッグを生産・販売していたり、ハノイのコロニアル建築物を改装してレストランにして成功していたり。「与える側と受け取る側」という構図の支援ではなく、純粋に現地の伝統技術や素材をリスペクトして双方が対等に、ともに豊かになるような「ビジネス」というつながりを創造していくことは素晴らしいことだと実感しました。

帰国後、投資ファンド系企業に勤めながら起業に向けビジネスモデルを検討するなかで、私たちが身に着けるジュエリーの裏側では危険な目に遭いながらも安い賃金で労働している鉱山労働者がいることも知り、エシカルなジュエリーブランドの設立を決心しました。

ミレニアル世代、Z世代の常識 世界貢献ベースの企業評価

以前の教育では日本の貧困でさえ取り上げることがなかったと聞きますが、私のようなミレニアル世代※ 以下では、学校教育も大きく変わりました。

2030年には、世界の生産人口の75%がミレニアル世代以下になっていきます。この頃には世界中の人たちが、環境やエシカルに関心を払うことが当たり前になり、購買活動や企業評価のあり方も大きく変わることでしょう。既に2020年現時点でも、環境や社会問題に悪影響を与えるビジネスモデルを展開する企業には世界中からの批判にさらされる状況も散見され始めています。

さらに、今後は、世界の中で日本、日本人がどのようなブランドを築いていくのかも重視される時代を迎えています。リーダー不在の混迷する世界の中で日本人としてできることはたくさんあると思っています。世界から見て、言葉が通じにくく特有の精神性や文化が残る地域である日本は、まだまだ神秘の国、未開の地であると同時に大変魅力的な国でもあると思います。神羅万象、日本人の精神性などを誇りにし、日本の技術力、素材、そして精神性の宿った素晴らしい魅力を伝えるブランドを創っていかなければと思っています。

ぜひ、リクルートには、日本発祥のグローバル企業として世界に貢献し、世界をリードする企業であり続けて欲しいと思っています。

※ミレニアル世代:1980~90年代に生まれた層で現在の30代の層であり、Z世代の前に当たる

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

白木夏子(しらき・なつこ)
ジュエリーブランドHASUNA Founder & CEO ブランドプロデューサー・ディレクター
武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員

英ロンドン大学卒業後、国際機関、投資ファンドを経て2009年にエシカルジュエリーブランドの株式会社HASUNAを設立。2018年、多様な家族観・パートナーシップの社会意識変革に向け、プロジェクト『REING[リング]』立ち上げ。2019年からは東海地区の女性起業家育成プログラム『NAGOYA WOMEN STARTUP LAB.』ディレクターとして参画するなど、女性の働き方や起業、ブランディング、サスティナビリティ、ウェルビーイング、SDGsなどをテーマに国内外で講演活動も。2011年、日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞、2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)にGlobal S haperとして参加、2014年、内閣府「選択する未来」委員会委員、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選出されたほか、2017年、CNN「リーディング・ウーマン・ジャパン」に選ばれるなど、グローバルに活躍する起業家。著書に『世界と、いっしょに輝く―エシカルジュエリーブランドHASUNAの仕事』(ナナロク社13年)、『自分のために生きる勇気』(ダイヤモンド社14年)

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