リクルート現役従業員の本音。“本業”と“副業・兼業”、パラレルワークをするその理由とは?

リクルート現役従業員の本音。“本業”と“副業・兼業”、パラレルワークをするその理由とは?
左より、渡邉、藤原、冬木、宮下

従業員が、本業以外の副業・兼業を行うことを可としているリクルート。その理由として「会社の外の機会を活用することで学ぶことが可能となり、同時に会社としても新たな価値創造につながる機会」※となることを挙げています。現在、従業員数17,047人に対し、1,268人が実践しているこのパラレルワークスタイル(2022年3月時点)。本業と副業・兼業の二足のわらじを履く人たちは、リクルートと社外の仕事の両立によって何を得ているのでしょうか。実際に副業・兼業をしている社員がその本音を語った座談会の様子をお届けします。

2022年7月に実施されたリクルート社内向けトークイベントのダイジェスト記事です/敬称略
※副業・兼業は事前申請制

同僚との何気ない雑談や、飲み会での偶然の出会いが、副業・兼業を始めるきっかけに

宮下:ファシリテーターを務める宮下です。よろしくお願いします。今日は、リクルートでの仕事とは別に、実際に副業・兼業をしている3人の方に集まってもらいました。まずは、それぞれの副業・兼業について教えてください。

冬木:私はリクルートに入社する以前から、地方の若者を支えるプラットフォームとして、コワーキングスペースやシェアハウスを運営する会社を経営しています。現在は、仙台・金沢で展開中。まだまだ小さな会社ですが、スタートして5期目を迎えました。

藤原:私は今、3つの副業・兼業を行っています。1つ目はパートナーが手掛ける農園の広報兼営業、2つ目は地元である埼玉県の越生町で地域活性化のために町を支援する仕事、そして3つ目がリクルートの同期と一緒に立ち上げたECサイトの運営です。このECサイトではフレグランスの種類のひとつである、パロサントの香木を販売しています。

渡邉:リクルートのマーケティング室で長くクリエイティブの仕事をしてきた経験を活かし、東京で働きながら地元仙台でデザイン会社を立ち上げました。地域の企業や店舗のロゴ制作などブランディングを行うだけでなく、地域に人が集まり新しい何かが生まれるような仕組みづくりなど、地域の未来を明るくするためのクリエイティブを追求しています。

宮下:では、最初の質問です。みなさんはどうやって副業・兼業をはじめたのでしょうか。実は今日、この座談会を聞いている参加者には事前アンケートを取っています。「ぶっちゃけあなたは副業・兼業していますか?」という質問に対して、「やってます!」という人が2割いらっしゃる一方、「いつかやりたい!」という人が7割という結果でした。今回のリスナーのほとんどが「興味はあるけれどまだ始めていない」という状態でしたので、みなさんがはじめの一歩を踏み出した経験談を教えてほしいです。

冬木:私がいまのビジネスを始めたそもそものきっかけは、学生時代を過ごした東北で、地方学生の就職活動に課題を感じたこと。後輩たちに少しでも視野を広げるきっかけをつくりたいと、就活支援の学生団体を立ち上げたのがはじまりです。それも、凄く綿密に計画を練ったというより、友達と飲み屋で話しながら、「こんなことがしたい」と意気投合してスタートした感じです。会社にしたのも、活動が地域の若者が集う場の運営へと派生していった流れがあったから。「会社を立ち上げるぞ!」と振りかぶった感じではなく、やりたいことを進めていったら今の形へとなっていきました。

冬木悠生(販促領域プロダクトマネジメント室 住まいカウンタープロダクトマネジメントG)

藤原:私の場合、手がけている3つのビジネスの動機はそれぞれでしたね。まず、農園の広報と営業の仕事は、リクルートを通じて培った営業スキルを活かし、ビジネス支援したい、という想いが発端ですし、越生町の仕事は、自分が育った町を多くの人から愛される町にしたいという想いから始まっています。一方、ECサイトは、リクルート同期の子とよもやま的に話しているうちに、「何か本業とは違うことに挑戦してみたいね」という話から実現しています。ECサイトを副業・兼業で運営していた別の同期につくり方を聞きながら、見よう見まねで立ち上げてみた…って感じです。雑談から…というのは冬木さんのケースと似ているかもしれません。

渡邉:僕は仙台出身なのですが、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた地元のために何かしたいと常々思っていました。ただ、実際に動き出すにあたっては、日々の雑談や飲み会での偶然の出会いに背中を押されていった感覚があります。例えば、2011年当時、東北エリアの飲食店とのコミュニティづくりために、東北の方はタダで参加できる飲み会を東京で開催するという場を企画したのですが、そこで仲良くなったのが、建築の仕事をしている人と、地域活性化の仕事をしている人でした。3人それぞれ仕事の分野は全く違いましたが、同じ想いを持つ者同士でコラボできたら面白いよねという話になって。そのとき3人で盛り上がったことで「実際に事を起こしてみよう」と勇気をもらえた気がします。

リクルートの中と外、双方に挑戦の機会を持つことで、新しい自分が次々と見えてくる

宮下:本業と副業・兼業の二足のわらじを履くことで、キャリアにはどんな影響がありますか。

冬木:リクルートと自分が経営する会社、複数の場があることでいろんなトライができています。例えば、私はリクルートでプロダクトマネジメントの仕事をしていますが、この仕事は何十億円という規模のプロジェクトをチームで動かしていくようなタイプの挑戦が多い。一方で、副業・兼業の会社は人数が限られており、細かく役割や組織が分かれているわけではないので、ある程度自分で何でもできないと運営がまわりません。創業期は、「何とかして売上をあと5万円つくらないと」とがむしゃらに営業をしてみたこともありました。身につくスキルも能力も全く別なので、種類の異なる経験を同時並行でやっている感覚です。

藤原:複数の仕事を行き来することで、自分の市場価値を客観的に確認できるところですね。本業一本だと、日々の業務が続くなかで自分の成長を感じにくい側面があると思うんです。でも、複数の環境があると比較対象があることで客観的に自分の能力を把握できますし、「本業で培ったスキルを使って、副業・兼業先の仕事をする」ような経験を通して、今の自分のスキルがどの程度外部でも通用するのか試すことができる。社内の評価だけでなく社外での感触も確かめ、今の自分に足りないことに気づけるのが良いです。

藤原 緑(ビューティDivision 領域企画部 営業推進G)

渡邉:リクルートでのダイナミックな仕事にも挑みつつ、個人の名前でも勝負できるところが副業・兼業の意義だと感じますね。良くも悪くも、本業は自分の実力だけでなくリクルートというバックグラウンドのおかげで手が届いている仕事もあると思うんです。でも、副業・兼業は基本的に自分のクリエイティブだけで勝負していますから、純粋な自分の実力でどこまで行けるか試しているところもあります。とはいえ、副業・兼業で関わっている人たちからリクルートの一員として見られている側面はゼロではありません。だからこそ中途半端なことはできないし、良いプレッシャーとなり緊張感を持って取り組めるんです。

宮下:実は私も副業・兼業をはじめていて、渡邉さんが言う「副業・兼業とはいえ、本業の肩書は無関係じゃない」という出来事に出会いました。というのも、私の場合は本業が広報なのですが、社内報の企画で社外の著名人にインタビューする中で、「うちでもインタビューできる人を探していて、よければやってみませんか?」とお誘いいただいたんです。そんなふうに、リクルートでの仕事が副業・兼業の機会をつくりだし、副業・兼業が本業に影響を与えるような相互作用がありそうですよね。

藤原:まさしくあると思います。例のひとつとして挙げるとリクルートの営業の立場から、副業・兼業先で営業を受ける側の立場になったのが凄く参考になりました。相手の提案を聞きながら、「このトーク、今度私も使おう」「この人の話がイマイチ刺さらないのは何でだろう?」と結果として、本業でも成果を伸ばすことができたと感じられることが多かったです。

冬木:私は経営者ならではの機会が大きな学びになっています。規模は小さくても地域の方々からは一人の社長として扱っていただき、経営者の集まりにお誘いいただくことも。そうやって社長同士で話す機会はリクルート社員という立場だけではなかなか得られないので、リクルートでクライアントになりえる企業のトップが何を考えているかを知れるのは、自分の本業にとっても影響が大きいと思います。

渡邉:副業・兼業での仕事によって、本業にも自信が持てるような自己肯定感を醸成する効果があると思っています。シンプルに「イイね」と言ってもらえる機会が増えるなら嬉しいじゃないですか。それによって、自分がクリエイティブの力を信じてやってきたことが間違っていないと感じられます。もちろん、リクルートのなかでも評価される機会はありますが、社外の目線で評価を受けることが、より強い自信に繋がっていると思います。

「どちらか」ではなく「どちらも」。機会を見つけたらどんどん飛び込むのがリクルート流

宮下:今は本業と副業・兼業を並行している状態ですが、今後についてはどう考えていますか。

渡邉:東北での個人の活動は引き続きやっていきたいですし、自分のキャリア資産になるような仕事も、リクルートでまだまだできると思っています。クリエイティブでリクルートのバリューをつくるような仕事にもチャレンジしたいですね。ただ、自分は生涯クリエイティブで生きていくつもりですが、会社員という立場を続けるのならクリエイティブとは少し毛色の違うテーマに挑戦するタイミングがあってもいいかなと思っています。それもリクルートの社員として働く醍醐味だと思うので。

渡邉洋治郎(マーケティング室 ブランドプランニング3部 クリエイティブディレクション1G )

藤原:実は私、今日営業から企画の仕事に異動したところなんです。営業のときよりも事業全体を俯瞰する立場になったこともあり、まだまだ私はリクルートでいろんな挑戦がしたいですね。私の副業・兼業はスモールビジネスなので、リクルートくらい大きな組織・金額を扱う経験は副業・兼業ではなかなか経験できませんから。

冬木:本業と副業・兼業、それぞれでしかできないことを意識してキャリア形成をしたいですね。リクルートは事業規模が大きいので、必然的に自分の関わった仕事がクライアント・カスタマーに貢献するインパクトも大きい。影響範囲の大きなものごとを動かすスキルを身につけたいです。一方で、副業・兼業はどちらかと言えば、家庭菜園のように手の届くサイズ感で自分の目指す世界観を自由につくりたいという気持ちが強いです。同じ想いを持つ同世代のメンバーと共感の輪を広げながら事業を運営していきたい。やりたい方向性が全く違うので、正・副の関係性ではなく、フラットな位置づけでパラレルにやっていきたいです。

宮下:みなさん、副業・兼業で独立や転職を視野にいれているわけではないんですね。

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藤原:将来的にどうするかは正直分からないです。でも、少なくともまだ完全に外に出ていくほどの準備はできていないと感じているのが私の本音です。むしろ副業・兼業を始めたことで、私の足りていない部分や、リクルートでチャレンジできることがまだまだあると気づけた。リクルートで成長できる伸びしろがあると見えてきたからこそ、今は本業と副業・兼業の両立を続けたい。そして大きく成長できた先には、越生町がもっといろんな人たちに好きになってもらえる存在になるよう、越生町にフルコミットするという夢を叶えたいです。

冬木:副業・兼業はリクルート入社前から足掛け5年やっている仕事なので、周囲からは「いつまで二足のわらじを履いているの?」とよく言われるんです。でも、二束のわらじだからこそ得られている経験が多くあると考えていて、本業と副業・兼業ではコミュニティや関わる人が異なり、多様な人々から刺激を受けている今の状態が好きなんです。今後ライフステージの変化によってバランスの取り方は変えないといけないかもしれませんが、どちらかの仕事もゼロにすることなく続けていきたいです。

渡邉:「自分を成長させてくれるチャンスは、いろんなところにあった方が良い」という感覚なのかもしれません。本業でずっと同じ仕事を続けているより、さまざまな立場の人と関わることで自分の視点・視座を常にアップデートし続けていたいんです。あとは、純粋に人とのつながりを求めているところもありますね。コロナ禍の2年半、人とのつながりが減ったことは寂しくもありました。時として、本を一冊読むよりも人と1時間話したほうが、学びや刺激が圧倒的に多かったので、関わる人を増やす意味でも自分の居場所は複数持っておきたいですね。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

藤原 緑(ふじわら・みどり)

リクルート ビューティDivision 領域企画部 営業推進G

大学卒業後の2020年、リクルートに入社。『ホットペッパービューティー』の営業を経て、2022年7月より同領域の営業推進を担当。最近ハマっているのは、週2~3回のサウナとセルフお灸

冬木悠生(ふゆき・ゆうき)

リクルート 販促領域プロダクトマネジメント室 住まいカウンタープロダクトマネジメントG 

大手インターネット関連企業を経て、2021年リクルートに入社。『SUUMOカウンター』のプロダクトマネジメントに従事。リモートワークを活用し、自然豊かな土地への移住を検討中

渡邉洋治郎(わたなべ・ようじろう)

リクルート マーケティング室 ブランドプランニング3部 クリエイティブディレクション1G 

大学卒業後の2007年、リクルートに入社。一貫してマーケティング室でクリエイティブディレクションを担当。『タウンワーク』、『SUUMO』、採用広報、インナーブランディング等を経験し、現在の担当は『ホットペッパー』『リクナビ』等。3歳と1歳半の息子2人の子育てにも奮闘中

宮下真衣子(みやした・まいこ)

リクルート コーポレートコミュニケーション企画統括室 コーポレートコンテンツマネジメント部 コンテンツクリエイションG

大学卒業後の2008年、リクルートに入社。『じゃらん』の営業・編集等を経験後、2018年より、リクルートホールディングスに所属し、リクルートグループの社内広報に。現在はリクルート全体のインターナルコミュニケーションを担当。7歳と3歳の2児の母。プライベートでは竹を使ったDIYにハマっている

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