NewsPicks CCO 佐藤留美さんに従業員がインタビュー。「社会のモメンタムを捉え、情報を活かす方法とは?」

NewsPicks CCO 佐藤留美さんに従業員がインタビュー。「社会のモメンタムを捉え、情報を活かす方法とは?」

経済誌の編集記者として第一線で活躍し、リクルートグループの取材も多くご担当されている株式会社ニューズピックス 執行役員CCO(Chief Community Officer) 佐藤留美さんに、入社4年目のリクルート AirプロダクトDivision菊地夏帆がインタビュー。マスメディアから見たリクルートグループのユニークさについてお話を伺いました。

リクルートグループ報『かもめ』2023年5月号からの再編集記事です

社会は、コロナ禍を機に「成長」から「ウェルビーイング」へ

202306NewsPicks CCO 佐藤留美さんが、マスメディアから見たリクルートグループのユニークさを語る。ソーシャル経済メディア『NewsPicks』編集部のオフィスにて15_v002

―菊地夏帆(以下菊地):本日は初めての取材でドキドキしていますが、どうぞよろしくお願いいたします。まずは、ひとつ目のご質問から伺いたいと思います。
約800万人の読者を抱えているソーシャル経済メディア『NewsPicks』として、社会の変化をどう捉えていますか?

佐藤留美さん(以下佐藤):1990年代のバブル崩壊後から始まった「失われた30年」。今なお経済は低迷し、どの企業も変革を迫られているなか、変わることができた日本の大手企業はごくわずかです。また、ビジネスがグローバル化する一方で、健全な市場競争を確保するため、近年、独占禁止法の課徴金制度や罰則が強化され、寡占に対する社会の目はより厳しくなっています。法律に抵触した企業は世の中から叩かれますし、市場を支配しようとする「ビッグブラザー」は間違いなく嫌われます。リーディングカンパニーには、ひとり勝ちするのではなく、その成功事例を無償で提供するなど、より「社会への貢献」が求められていると感じます。

―菊地:まさに私は、失われた30年の間に生まれ育ってきた世代です。「生活者の価値観」には、どのような変化があったと捉えていますか?

佐藤:コロナ禍を機に、社会のモメンタム(勢い・流れ)も大きく変わったと思っています。2021年10月に『NewsPicks』で企画したバーンアウト(燃え尽き症候群)特集が、読者から大きな反響をいただきました。皆、疲れてきていて、成長や圧倒的な何かを求めるようなムードではなくなったのです。必要以上に一生懸命働くことをやめる「静かな退職」という現象も発生しました。在宅ワークで自分に向き合う時間も増え、「自分はいったい何をやっているのだろうか…」という焦燥感を抱きやすくなったことも背景にあるでしょう。ですので今、私たちも「頑張ろう!」「成長しよう!」という企画を封印中です。世の中は、誰もが一律に右肩上がりに成長する時代から、一人ひとりが自分を主人公にして考えるナラティブな時代へ移り変わりました。今、成長は一旦、横に置いておいて、これに取り組みたいとか、自分の幸福や心身の健康を大事にするウェルビーイングへの意識が高まり、複数の職業や収入源を持ちながら働く「ポートフォリオワーク」という動きも活発になっています。

「企画、戦略、実行の三位一体」のベースにある当事者意識

リクルート AirプロダクトDivisionの菊地夏帆が、ソーシャル経済メディア『NewsPicks』編集部のオフィスにてインタビュー

―菊地:そんな社会変化のなか、佐藤さんからはリクルートグループはどう見えていましたか?

佐藤:リクルートは、失われた30年のなかで、変革をやり遂げた数少ない会社かもしれませんね。今や海外売上比率は50%を超え、ビジネスモデルも紙からネットへシフトしました。また、愚直に営業を続け、菊地さんがいる組織ではカスタマーサクセスにも取り組んでいます。会社全体で、過去の手法をどんどんアップデートしていく変幻自在さがある。3年後どうなるか分からないけれど、目が離せない、といったところでしょうか。

―菊地:確かにビジネスモデルも含めて大きく変化をしてきたと思います。そんななか、外部の方からご覧になっていて、リクルートグループのユニークさはどのようなところにあると感じられているのでしょうか?

佐藤:まずは、「事例の宝庫」で、ひとつの装置として面白いところ。私が最新事例を調べる時、必ず行き着くのがリクルート。編集記者として、専門領域が組織・人事やキャリアへシフトした2008年頃、人事制度や働き方改革などの先行事例はリクルートにありました。最近も他の記者から「人的資本経営、どこが進んでいますか?」と、よく聞かれるのですが、そんなとき「リクルート」と言わざるを得ないことが多いです。創業から60年以上、「個をあるがままに生かす」を中心に据えた「心理学的経営」が社内に根付いている様は、年季が違います。もうひとつは、「企画力、戦略力、実行力が三位一体」で動いているところ。経営方針に対し、現場が一体になって動いていく。企業文化として、一人ひとりが意志を持つ実行者、当事者になっていることが特徴的だと思います。

先行事例の発信で“特別な人”だけでなく、“誰もができる”の実現を

株式会社NewsPicks 執行役員CCO佐藤留美さんに、リクルート AirプロダクトDiv.の菊地夏帆がインタビュー。ソーシャル経済メディア『NewsPicks』編集部のオフィスにて

―菊地:リクルートグループにどのようなことを期待されていますか?

佐藤:「特別な人だけができたこと」を、「誰もができる世界」に広げていくことに期待しています。リクルートは過去、知人や学校の伝手を頼るしかなかった新卒の就職活動や、ごく一部の人しかしなかった転職を「一般化」しました。そういうことが得意な会社だと思うんです。最近、飲食店で、スマホでメニューを注文するというのがありますよね? でも、スマホ操作が苦手なシニアは、飲食店への足が遠のいてしまう可能性があるかもしれません。今後、高齢化社会のなかで、誰もがスマホ注文できるようにするというような支援も求められるようになってくると思います。また、人生100年時代に入り、ミドル以上のリスキリング(学び直し)の重要性も指摘されていますが、正直、学び直しというのは容易ではない。一方で、世の中にあふれている事例は、特別な人たちの学び直しの成功事例ばかり。今こそ、誰でもが実践できる学び直しの事例や情報が必要です。こうした誰もができる工夫やアイデアにあふれた先行事例をどんどん作り発信し、日常生活や人生で直面するさまざまな課題を解決してくれることを、社会は求めていると思います。

―菊地:先行事例を作り、発信していくことで、カスタマーやクライアントの方々の課題解決につながるように努力していきたいと思います。日頃気づいていない視点や、広い視野でリクルートグループを見ることができ、貴重な機会となりました。ありがとうございました。

NewsPicks CCO佐藤留美さんと対談したリクルート菊地夏帆。がインタビューを終えて。ソーシャル経済メディア『NewsPicks』編集部のオフィスにて

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

佐藤留美(さとう・るみ)
株式会社ニューズピックス 執行役員CCO(Chief Community Officer)

人材関連会社勤務などを経て、2005年編集企画会社ブックシェルフ設立。『週刊東洋経済』『PRESIDENT』『日経WOMAN』などに人事、人材、労働、キャリア関連の記事を多数執筆。『仕事2.0 人生100年時代の変身力』(幻冬舎)、『凄母』(東洋経済新報社)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)など著書多数。14年7月から『NewsPicks』編集部に参画して15年1月より副編集長、20年10月『JobPicks』を立ち上げ、編集長に就任。22年7月から現職に

菊地夏帆(きくち・かほ)
リクルートAirプロダクトDiv. IDポイントサービスソリューション部 プロダクト管理グループ

大学卒業後、2019年リクルートホールディングスに入社。リクルートキャリア(現リクルート HRA Division)に配属され、新卒斡旋事業のキャリアアドバイザーに。20年より、SaaS事業本部に異動し、22年4月よりカスタマーサクセス部で『Airペイ』を利用する顧客のオンボーディングを支援。23年4月より現部署。趣味は読書

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