好奇心から始まる徹底思考とは? 顧客接点最適化へのチャレンジ
2023年4月、リクルートの営業企画職の野口英幸は入社17目を迎えた。住まい領域、飲食領域、SaaS領域で営業や営業企画を経験。事業や役割が変わっても変わらなかったのは、顧客接点からの一次情報を起点に徹底的に思考する姿勢。その根底には、「知りたい!」という飽くなき好奇心があった。
顧客接点の全貌に迫る仮説設定
リクルートの業務・経営支援サービス「Air ビジネスツールズ」。それらを、多くの事業者の皆さんに喜んでもらえる形で届けるべく、最適な顧客接点のあり方を追求しているのが、AirプロダクトDivision セールス統括部 横断統括グループの野口英幸だ。
サービスや顧客数が増え、組織も急拡大するなか、まずは、顧客接点の全体像を把握しようと、接点を持つ組織とその役割を明確にしていくところから始めた。
「“営業接点の最適化”ではなく、“顧客接点の最適化”というテーマになった瞬間、自分が所属している営業組織だけの話ではなくなりました。営業する先の顧客がサービス利用者でもあるため、プロダクト組織が担うヘルプデスクの対応、CMなども含めて顧客接点。いつもより多角的な視野で顧客接点を見渡す必要があると思った時、顧客接点の全貌を知りたいという感情がふつふつと湧いてきたのです。
そこで、間違っていても良いので、自分なりに各組織での顧客接点の取り方や日々の業務運用に関する仮説を考え導き出し、その仮説を持って社内関係者へヒアリング。顧客に対し、どんな接点でどんな働きかけをしているのか? なぜ、そうするのか? 浅く表面的な理解で終わらぬよう、背景を深く掘り起こしていきました。
そして、マーケティングとセールスが協働した顧客接点最適化プロジェクトのなかで、収集した情報をベースに顧客接点の全体像を整理。最適化すべきポイントは、接触“タイミング”であるということを突き止めました」。
一次情報を起点とした思考プロセスにこだわる意味
このように、顧客接点での一次情報を起点とした野口の思考プロセスは、住宅領域や飲食領域の営業時代に育まれたという。
「当時、担当するクライアントとの接点から得た一次情報をマーケットの声として積み上げ、それを基に商品を企画・開発していました。一次情報こそが世の中であり、その一次情報を通じて課題を突き止め、解決するサービスを作り、磨き続けることで、世の中に提供できる価値を増やしていける。どの事業にいようと、サービスを進化させる源泉は、仮説を生み出す基となる顧客の一次情報にあり、それは顧客接点を持つ現場にしかないと思っています」。
徹底的な思考を支える自分の好奇心とは
今、野口は、顧客接点の実態と理想の接触タイミングの間にあるギャップをどう埋めるか、必死に考え続けている。徹底的に思考するモチベーションは、いったいどこから生まれてくるのだろうか?
「自分の好奇心が満たされるまで、物事の全体構造を知り尽くしたくなるタイプ。子どもの頃から、モノづくりの“過程”が大好き。そのモノがどういう構造で成り立っているのか? なぜ、そういう構造になっているのか? 何で、何での興味が尽きませんでした。
ビジネスパーソンとして論理的思考力を向上させたい、ロジックを大事にしたいという以前に、習慣的に思考するクセがついてしまっている感じです。周りの人からはしつこいと思われているかもしれません。
今回も、顧客接点の最適化という仕事を任された時、顧客接点の全体構造が気になって、知りたくなって、顧客接点を持つ社内の多くの人たちに聞いて回りました。
改めて、全体の顧客接点から営業が持つ接点を眺めると、ビジョンとのつながりや改善点が見え、自分が何をすべきかが分かってくる。すると、仕事に対しても、任されたからと義務的に取り組むのではなく、『その業務は、絶対に取り組むべきだ!』と心から思えるようになるんです。ビジネスへの理解も一段深まり見える景色も一変し、主体的に行動できるようになります。
業務が細分化され、仕事の意味を感じにくい時が誰しもあるかもしれません。でも、全ての仕事が、事業、そして会社のビジョンとつながっていて、考え方次第で戦略案件になる可能性がある。
大げさに聞こえるかもしれませんが、自分の思考を支えているのは、人間を人間たらしめている最大の好奇心だと思っています」。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 野口英幸(のぐち・ひでゆき)
- リクルート AirプロダクトDivision セールス統括部 横断統括グループ
-
大学卒業後、2007年リクルートに入社し、住宅領域の営業部に配属。10年、飲食領域に異動し、法人営業を担当。その後、営業推進として、飲食領域内での「Air ビジネスツールズ」の推進に関わる。20年、SaaS事業本部営業統括室に異動し、21年4月より現部署。Division横断での営業推進や営業戦略における論点整理などを担当