部屋探しが難しい。声を聞き続けた入社2年目、社会課題解決への決意

部屋探しが難しい。声を聞き続けた入社2年目、社会課題解決への決意

大学卒業後の2020年、リクルートに入社した荻原 楓。配属は賃貸住宅のお部屋探し情報サイト『SUUMO賃貸』を運営する賃貸Divisionだった。営業職としてクライアントである不動産会社に対し提案営業を行いながら、21年10月に同事業部で開始した「カスタマープロジェクト」にも自ら手を挙げて参加。そこで気づいたのは「住宅確保要配慮者」の背後にある社会課題の複雑さと、向き合い続ける大切さだという。

社会の役に立ちたい。機会を求めてリクルートに就職

学生時代から、荻原の意思決定の軸は「社会貢献」だったという。大学時代は医療関係の道に進もうと考え、放射線技師の国家資格も取っていた。しかし、リクルートのインターンで、地域課題解決プログラムを体験。再び進路を考え直したという。

「人間は誰もが社会と関わらずには生きていけないと思います。自分も誰かに影響を与える存在なら、関わる社会をより良くする存在でありたいし、多くの人の役に立つ道がいい。それは医療の道でも実現できるけれど、多様な社会課題に向き合う機会が多い仕事に就くほうが、自分には合っているのかもしれない。そう思い、リクルートを選びました」。

リクルート従業員の荻原 楓は営業として『SUUMO賃貸』のお客様の課題解決に向き合った
入社後の配属は営業。「全国展開するお客様の店舗の現場を一つひとつ見て回らせてもらいました」。目の前のクライアントの課題解決に注力する1年目だったという

「部屋を借りることができない」という困難を抱える人が大勢いる

営業2年目、手を挙げて参加したのが「カスタマープロジェクト」だ。2021年からリクルートの賃貸Divisionで始まった取り組みだ。立候補で集まったメンバーが、部屋探しに課題を抱えるカスタマーへの理解を深める活動をしている。開始当初35名だったメンバーは、2022年10月には90名、25チームの大所帯になった。

荻原が普段の営業の業務と並行して手を挙げたのには訳がある。「純粋に社会課題を知りたい、と思ったことが理由ですが、自分が営業として視野を広げることで、担当しているお客様にとっても何か良いご提案ができるかもしれないと思ったからです。お部屋探しをするカスタマーの課題は住宅業界全体に関わる課題なので」。

リクルート従業員の荻原は市役所の住宅課、居住支援協議会などに取材し、住宅確保要配慮者に向けた制度や活動に関する情報を収集した
荻原は市役所の住宅課、居住支援協議会などに取材し、住宅確保要配慮者に向けた制度や活動に関する情報を収集した

「行政の方や支援団体の方にお話を伺うと、部屋を借りることができれば、住所も定まり、仕事も決まる。生活基盤が整う方が大勢いると分かりました。ただ、住宅確保要配慮者の背景にあるのは複合的な社会課題です。例えばご高齢の方や、生活保護を受給されている方など、その方の課題に応じた施策が必要になってきます。また、『公的支援を受ける基準をギリギリ満たさず、支援対象外となっている方も一定数いる 』。と行政の方から実態を教えていただきました。住宅業界に携わっていながら、そこで住まう方々の課題をいかに知らなかったかを痛感しました」。

セーフティネット住宅を増やす機運を高めたい

「プロジェクトでお話を伺った行政機関から、リクルートへの期待の声をいただくことも多くありました。リクルートは『SUUMO』を運営している会社というイメージがあり、『SUUMO』の情報発信力を通じて住宅確保要配慮者の問題を広く世の中に知らせて欲しいとお声をいただいています。『SUUMO』に携わっている私も知らなかったように、知られていないことはまだまだ多いんです。どんなことに困っている人たちがいるのか。その方々に、どんな団体がどういう支援活動をしているのか。国のセーフティネット住宅を増やす取り組みなども含め、私たちがサポート出来ること、寄与できることがあるかもしれないと考え続けていきたいです」

課題解決は難しい。でも同じ業界、社会のひとりとして向き合い続ける

リクルート従業員の荻原。リクルートの賃貸Divisionが掲げるミッション『百人百通りの住まいとの出会い』を実現したい
リクルートの賃貸Divisionが掲げるミッション『百人百通りの住まいとの出会い』を実現したい

「プロジェクトに参加することで気づけたことは『SUUMO賃貸』はありがたいことに、一定の認知度があるメディアですが、まだサービスを通して価値を届けられていない方が数多くいらっしゃること。社会課題がたくさんあるなかで、自分たちが対峙できているのはごくわずかです。住宅業界の根本的な問題に目を向けられていなかった自分に気づくことができました」。

「学んだことは、社会の声を聞きに行くことの重要さ。複雑な問題を即座に解決しようなんて甘く、ましてや『リクルートが何かできるのでは』という考えは持てません。それでもすぐに解決が難しいから、企業として求める利益につながらないからといって、社会の声を聞きに行くことをやめてはいけないと思います。

誰もが安心して納得度の高い部屋探しができるようあらゆる障壁の低減に取り組んでいきたい。その課題に取り組むと決めたリクルートで働いていることが、少し誇らしく、自分も一歩ずつ課題解決に貢献したいと思います」。

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プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

荻原 楓(おぎわら・かえで)
株式会社リクルート 賃貸Division 賃貸総合企画営業部 総合企画2グループ

大学時代、医学領域で学び、放射線技師の国家資格を取得。より多くの社会課題に向き合い、成長できる場所で働きたいと思い、2020年リクルートに入社。賃貸総合企画部に配属され、現在、全国で賃貸事業を展開している大手不動産会社を担当。21年に、賃貸Divisionで発足した「カスタマープロジェクト」に参加

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