『ホットペッパービューティー』が作りたいのは未来 『訪問美容支援講座』の動画無料公開でノウハウを提供する理由とは

『ホットペッパービューティー』が作りたいのは未来 『訪問美容支援講座』の動画無料公開でノウハウを提供する理由とは

少子高齢化が進むなか、美容室に足を運べない人たち向けの「訪問美容」の需要はさらに拡大する見込み。訪問美容も、サロンや美容師を選ぶように、多くの選択肢から自分にぴったりのおしゃれを楽しめるとしたら、私たちの未来はより良いものになるのではないでしょうか。まだ選択肢が多いとは言えない訪問美容。この夏、『ホットペッパービューティーアカデミー』は「訪問美容講座」の動画無料公開を開始。「訪問美容は、平日昼間だけでも働ける女性活躍支援にもつながる事業です」と語る『ホットペッパービューティーアカデミー』の服部美奈子に話を聞きました。

女性活躍支援につながる「訪問美容」とは?
『ホットペッパービューティーアカデミー』の新たな挑戦

― 『ホットペッパービューティーアカデミー』がずっと手掛けてきた訪問美容の講座を、今年から動画化して無料公開するとのことですが、訪問美容の支援活動自体はいつから始めていたのでしょうか?

服部:『ホットペッパービューティーアカデミー』(以下、アカデミー)では、2015年から訪問美容に関するセミナーをスタートしました。
アカデミーが提供している多くのコンテンツやセミナーは、「明日からのサロン経営に役立つ」情報です。その一方で、視点を5年後、10年後に置いて、業界の課題を考える活動もしています。例えば、土日や夜間の時間帯に予約が多いこの業界では結婚・出産で仕事を離れる人も多い。美容師の方が長く働き続けられるようにするための女性活躍支援と、高齢化社会を見据えた訪問美容の支援活動は重要なテーマなのです。

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― 服部さんご自身は、いつからこのテーマに関わってこられたのですか?

服部:実は私、社会人デビューは美容師でした。4年半ほど埼玉県内で美容師をしていましたが、勤務先の倒産で、派遣に登録、2008年にリクルートに入社して今に至ります。何かしら美容に関わる仕事ができたらそれまでの自分の財産が生きるのではないか、と思っていたので、良い出会いでした。アカデミーには開設の2014年から携わり、2016年から訪問美容支援活動の担当をしています。

― そうだったんですね。ご自身の体験からくる課題感もあったのだろうと想像します。女性活躍支援と訪問美容はどうつながるのでしょうか?

服部:子育て中の女性美容師の方が活躍しやすいのが訪問美容なんです。結婚や出産をされた女性美容師の方は、サロンが忙しい夜や土日に働けないため離職率が高いのです。このような美容師免許を取得していながら、就労していない方を「休眠美容師」と呼んでいて、美容業界にとっても長年の課題となっていました。
一方、ご高齢で移動が困難な方や介護施設の入居者の方、小さな子どもを抱えて外出がままならない方向けの「訪問美容」では、平日の昼間が仕事のコアタイムなので、美容師の方も育児をしながらの仕事の両立が可能になるのです。訪問美容の推進は、美容業界の働き方改革にもつながるだけでなく、サロンでの仕事は一時中断しても、訪問美容師として活躍し続けることができるという、新たな女性美容師のキャリアパスとなっていて、美容業界の抱える「休眠美容師」の問題解決のひとつの方法だとも言われています。

― 介護施設に限らず、誰でも訪問美容師の方に髪を切ってもらえるのでしょうか?

服部:実は、対象が法律で決まっています。通常は美容所登録されている店舗に行って施術を受けなければいけないのです。ただ、例えば結婚式や演劇の直前のヘアメイク、外出が困難な方の場合は例外とされています。その外出が困難な場合というのは、高齢・疾病・要介護の方など。さらに数年前の規制緩和で、育児中で外出困難な方や、要介護者のご家族なども対象になりました。

― 訪問美容師の活躍の場は、さらに拡がりそうな気がしますね。

服部:特にコロナ禍が始まってから、子どもをもつ母親のニーズは拡大していると聞いています。これまで訪問美容という分野はあまり知られていなかったのですが、コロナ禍で外出ができなくなったことで、ネットなどで情報を知って利用する方が増えました。また利用した方の口コミでニーズがさらに拡がっていったようです。ただ、まだまだ訪問美容の認知度は高いとはいえません。また、今後の高齢化社会を見据えると訪問美容を手掛けている事業者も訪問美容師も不足していると考えています。

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誰もが自分らしい「訪問美容」に出会えるために
課題解決に向けたアカデミーの取り組み

― 『ホットペッパービューティーアカデミー』ではこれまでどのように、訪問美容支援に取り組んできたのですか?

服部:2015年当初は、セミナーイベントと全国の取り組み事例を紹介するWeb上での記事連載から始めました。セミナーではたくさんの参加者が集まってくださったのですが、実際に訪問美容を始める方は少なかった。そこで、人数を30人に絞って、徹底的に伴走していく「訪問美容ゼミ」を開始しました。

― 徹底的に伴走とは?

服部:訪問美容を始めるにあたって一番大きな壁になるのがお客様を探すことです。それまで美容室で働いていた方々は、お店でお客様を待っていればよかったのですが、訪問美容でお客様と出会うためには、まず、介護施設やケアマネージャーさん、個人の方でニーズを持つ方とお話をしてサービスのご提案の上、契約をする必要があります。そのノウハウを提供することもさることながら、第1期のゼミではお客様へのご提案の現場に同行もさせていただきました。

― 現場に同行まで!?

服部:実際に同行させていただくと、ふたつの気づきがありました。ひとつはお客様にご提案をすることを非常に申し訳ないことだと感じている方が多いこと。訪問美容は、ご利用者様にも、介護施設など介護に携わる方々にも価値のある、本当に素敵なことなので、とてももったいなく感じました。
もうひとつは、こちらからご提案をしなければと気が焦るためか、お客様の課題や希望を十分にヒアリングすることができず聞き逃してしまっているケースが多かったこと。
これら2点をゼミ参加者の皆様にお伝えすると、皆様の表情も変わり、壁を乗り越えられるのを実感することができました。

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― 確かに、今まで店舗でお仕事をされていた美容師の方々からすれば、どうやって集客をすればよいかが壁になるのですね。

服部:訪問美容を志す方々とともに学び合うことで、私たちも課題と乗り越え方がつかめました。そのうえで。知識をさらに分かりやすく伝えられる方法を模索し、講座の動画化と、定員を設けず広く無料公開をしていく今期の方針につながりました。

動画公開で「訪問美容」を支援し、
業界活性化に貢献していきたい

― こうして積み上げてきた知見を動画にまとめて無料公開するとのことですが、迷いはなかったのでしょうか?

服部:もともとホットペッパービューティーアカデミーのコンテンツは完全無料で提供しています。むしろ無料で提供し続けることに意味があると考えています。「訪問美容をやってみたいけれど、どうしてよいか分からない」という方々に対し、ひとりでも多くの背中を押せたらと思っています。
ただ、これまでセミナーやゼミを通じて対面でお伝えしてきたことを、幅広い対象者の方々に「動画」でどのようにしたら伝えられるかが課題でした。情報の取捨選択にはかなりこだわりましたし、忙しい方でも隙間時間で視聴ができるように、1本の動画は10分以下に編集しています。

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― これで訪問美容への関心の裾野が拡がるといいですね。
最後に、服部さんから見た訪問美容の価値、今後の期待について聞かせていただけますか?

服部:訪問美容の支援を担当し始めた当初は、リアルなイメージがもてず、まず現場に飛び込みました。ある介護施設で出会ったご高齢の方は、髪をセットしてもらった後の目の輝きが、施術前と全く違っていて、驚きました。何歳になっても、美しくなることで心も輝く。「美容の持つ力」を実感しました。
また、介護施設の方からいただいた「月1回の訪問美容師が来る日は明るくなります」というお話も印象的でした。介護士さんから利用者様に「素敵になりましたね!」という声がけが飛び交い、施設全体に笑顔があふれます。介護施設で働くスタッフさんにとっても、その笑顔がとてもよい刺激になるというお話を伺い、訪問美容の多面的な価値に気づかされました。
私自身も子育て中に美容院に行くこともままならない経験をして、より訪問美容を身近に感じるようになりました。
歳を取らない人間はいない。いつか家族や自分にも関わることです。家族や私自身が外出がままならない状況になっても、いつでも自分にぴったりの訪問美容師さんに出会える世界を創りたいと考えています。少子高齢化社会が進展しても、訪問美容によって、誰もが生き生きとした毎日を過ごすことをお手伝いできるかもしれません。それは、リクルートグループのビジョン“Follow your Heart”にも通じるような気がしています。
そんな素敵な希望あふれる世界を創るための1歩が、この訪問美容の支援活動だと考えています。これからも、美容業界の活性化に貢献できたらと思っています。

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プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

服部 美奈子(はっとり・みなこ)

株式会社リクルート ビューティDivision リサーチ&アカデミーグループ

美容院勤務、派遣スタッフを経て、2008年リクルートに入社。美容領域でスタッフとして勤務後、10年1月に『ホットペッパービューティーアカデミー』開設準備室へ。2016年より訪問美容支援活動を担当し、現在に至る。現在2歳の子どもの育児と仕事の両立中。

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