『スタディサプリ中学講座』を進化させたい。100名超にヒアリングした原動力は?

『スタディサプリ中学講座』を進化させたい。100名超にヒアリングした原動力は?

ひとりで100名!がむしゃらにインタビュー

2022年2月にリニューアルした『スタディサプリ中学講座』は、問題が解ける体験と学習した内容の定着を重視し、中学生が自宅でひとりでも学習できるサービスへと変化した。講義動画も短く再編され、集中力も保ちやすくなっている。

このリニューアルのため、企画、エンジニア、デザイナー、データサイエンティストなど総勢50名以上の力を結集し、2年にわたるプロジェクトを推進したのが、小中高のBtoC向けのプロダクトマネジメントを担当する鈴木沙織だ。リニューアルにあたり、鈴木はカスタマー調査も担当し、2年の間で中学生とその保護者100名以上にインタビューしたという。

「私が中学を卒業したのは17年前。大人になった自分が立てたサービス仮説では当たらないかもしれないと思いました。なので中学生やその保護者に会い、学習状況やサービスの使い方を聞き、開発チームに活かしてもらおうと考えたんです。中学生数十名に3週間アプリを使い続けてもらい、そのうち何名かに複数回インタビューを実施しました。また、学習の悩みを聞いたり、YouTube Live放送で何百人もの中学生から、直接、質疑を受けたりもして。プロダクトマネジメントの部署に異動したてだったということもあり、どうすればプロジェクトに貢献できるかと考え、がむしゃらに行動していました。」

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同じ目線に立ったからこそ得られたインサイト

リニューアルしたスタディサプリ中学講座は、学習したい科目や学校の授業の進捗に合わせ、取り組むミッションを示し1週間で終わらせる方式。ミッションコンプリートしたくなるゲーム感覚に近い点が好評だ。

「これまでは中学生が自分で学習する講座を選ぶ必要があったのですが、何から勉強するかでつまづいてしまう学生が多かったんです。そこで、学習したい科目や学校の進み方に合わせ『今週はこれをやりましょう』とサプリから各自に提示。正答率が低い単元は1週間後に再度提示するなど、反復学習を可能にしています。」

楽しく苦手克服ができるこの機能は、ユーザーの日常を深く知ったからこそ創られたという。

「ユーザーテストの際、操作につまずくだろうなと思っていた機能を、どの中学生も難なく使いこなしていたことがありました。驚いて理由を聞くと、ゲームで同じような操作があったからと。今の中学生は日常生活で呼吸するかのようにゲームをしているんだなと、デジタルネイティブ世代を実感した瞬間でした。この体験から、スタディサプリでもゲームと遜色ない操作性や達成感をどのように取り入れるかがテーマになったんです。」

スタディサプリ中学講座のミッション機能

また、本音を知るために鈴木は同じ目線に立つようにしたという。

「『nicola』や『ジャンプ』を読んだり、ゲームの『荒野行動』や『フォートナイト』をプレイしてみたりして、同じ話題で盛り上がり、同じ目線に立てるよう心掛けたりもしました。今時の中学生は本当に賢いので、ユーザーインタビューをしてもこちらの顔色を見て回答を調節してしまいます。ですが、『そういう気遣いはいいからさ、ぶっちゃけどう思う?』と尋ね、きちんと声を聞く。それにより『実は…』と本音を話してくれることも多かったんです。おかげでインタビューしたユーザーのリアルな日常をありありと思い浮かべられるようになりました。何から勉強してよいか分からないという中学生の課題に対する打ち手を考えた時も、これなら部活に打ち込んでいるAさんは帰宅後、夕飯前に、ひと踏ん張りして勉強してくれるだろうなあ。Bさんは疲れて寝転んで見そうだなとか、中学生になりきっているかのような感覚がありました。」

スタディサプリで一人ひとりのポテンシャルを解放したい

こうして2022年2月、システムをフルリニューアルした『スタディサプリ中学講座』。前述のミッション機能の追加だけでなく、UIデザインも大人っぽい高校生向けから中学生向けに変更、演習形式も選択肢だけでなくタイピングや並び替えも追加された。2年間、ユーザーである中学生に迫り続けた鈴木は、10代の“学び”のあり方について、こんな夢を語ってくれた。

「一人ひとりの学生がそれぞれ価値を持っていると、心から信じています。ですがその可能性が成長するのを阻まれている瞬間がたくさんあると思うんです。そのひとつを『スタディサプリ』で解放できないかと考えています。例えば、『スタディサプリ』で効率的に基礎学力をつけ、そこで生まれた新たな時間で、自分の興味ある分野を探究したり、社会と触れ合う機会を楽しんでもらいたい。そのなかで一人ひとりが自らの可能性を発見し、世の中で発揮できるようになると、自分がちょっと誇らしく輝いて見えてくると思うんです。」

その先に鈴木が仕事で成し遂げたいこと。それは「皆が自分の可能性を最大限発揮できる世界を創ること」だそうだ。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

鈴木沙織(すずき・さおり)

リクルート 販促領域プロダクトマネジメント室(まなび)まなび小中高プロダクトマネジメントユニット 小中高BtoCプロダクトマネジメント部 小中高プロダクトマネジメントグループ

大学院卒業後、3年半、戦略コンサルティングファームに勤務。アドバイザーとしての立場でなく自身で事業運営に携わりたいと思い、2017年リクルートマーケティングパートナーズ(現リクルート)に入社。保育園(保育士)と保護者の間をつなぐコミュニケーションアプリ『キッズリー』(19年4月に経営譲渡)の企画開発に関わる。19年10月より『スタディサプリ中学講座』のプロダクトマネジメント担当に。現在は、小学生と高校生向けのプロダクトマネジメントにも関わる

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