Case02

飲食店の調理順序を最適化し

料理の提供遅れ防止を実現

データサイエンティスト×AirREGI

Case02

飲食店の調理順序を最適化し

料理の提供遅れ防止を実現

データサイエンティスト×AirREGI

01Outline
事例のアウトライン
これまで小規模な飲食店にとって、料理の提供時間を精緻に計測することや遅れの実態を把握することは難しく、カスタマーのクレーム要因やリピート率の低下に繋がっていました。
この“提供遅れの問題”に、SaaSプロダクトである『Airレジ オーダー』の『キッチンモニター(注文の調理・配膳を管理するツール)』で最適な順番を提案できれば解決できるのではないかと考え、取組を開始しました。
結果として、『Airレジ オーダー』から定常取得される業務データを活用することで提供遅れ時間の最小化を実現し、調理遅れの件数を削減することができました。
02Issue
直面していた課題
ある調査により、飲食店におけるクレーム要因のトップは”提供遅れ”ということが分かりました。これは飲食店が顧客満足度を引き上げる上で最も重要な課題の1つです。
リクルートには、 注文の調理・配膳を管理できる『Airレジ オーダー』の『キッチンモニター』というプロダクトがあります。この『キッチンモニター』のシステムに提供遅れを減らす機能を追加し、課題解決にチャレンジしたのが本プロジェクトのテーマです。
03Solution
実現した解決策
そもそも、なぜ提供遅れが発生するのか。その理由は、注文が増えたら調理が間に合わないという単純なものですが、調理にかかる時間や調理可能な料理の数は、大幅に変えることは難しい。
例えば、調理に最短10分かかる鍋、5分かかる串料理、3分かかるキムチの注文があったとします。しかし、「すべてを10分以内に終わらせてくれ」と言っても、どう並び替えをしても最短調理時間の合計18分という調理時間を変えることはできません。
では、この問題は解決不可能なのでしょうか?
そもそも提供遅れとは、お客さまが期待した時間に料理が届かないことだと定義することもできます。例えばキムチと鍋では、そもそも顧客が「待ってよい」と思っている時間が異なります。この期待値に合わせて調理順を決めることができれば遅れを減らすことができます。そこで調理遅れの削減を「調理にかかる時間の総和を短くする」問題ではなく、「調理遅れ時間の総和が最小化されるような調理順を求める」問題と捉え直し、問題解決していくことにしました。
ソリューション 図ソリューション 図
04Technical Background
技術的な背景
今回解く問題を、調理遅れ時間の総和が最小化されるような調理順を求める「スケジューリング問題」と捉えました。いくつかの料理を一人の調理師が料理する場合を想定し、特に同時調理可能な注文数が1つの場合は「1機械スケジューリング問題* 」という数理最適化の教科書に載っている問題の一種と置き換えて考えることにしました。工場での作業に置き換えて考えてみると、「注文」→「生産計画された部品」、「機械」→「調理師」、「部品の納期」→「お客さまが待てる料理提供時間」と捉えることができます。分野は違っても各工程は同じように考えられるので、同じロジックで調理順の問題についても解くことが可能でした。
その上で、仮のデータで検証を行ってみると、「注文順に調理した場合」と「最適化によって得られた調理順で調理した場合」を比較したとき、約27%も調理遅れ時間を削減できていることが分かってきました。
しかし、重要な問題がありました。そもそも、最適化の入力データである「調理所要時間」「お客さまが待てる料理提供時間」はデータとして取得可能か?という問題です。結論からいうと、調理所要時間やお客さまが待てる料理提供時間は直接計測することは難しいことがわかりました。そこで、過去に取得したデータと機械学習や統計モデルを利用した手法を用いて、これらの値を推定。また、協力していただける店舗でのテストやヒアリングなどを繰り返し、役に立つといえるレベルのロジック開発を行っていきました。過去に取得したデータと店舗での検証、機会学習や計測モデルを利用した手法を用いることで、これらの値の推測が可能になりました。
*「1機械スケジューリング問題」:1機械問題では、全てのジョブがたった1台の機械で処理される場合に、 ジョブの処理順序を決定する問題。
技術的背景 図技術的背景 図
技術的背景 図技術的背景 図
05Outcome
得られた成果
本プロジェクトによって、自動で最適な調理順に並び替えできる機能を追加することができ、提供遅れが発生しそうな注文は「色」でアラートを出し、お知らせできるようになりました。その結果、表示通りに調理をする割合が23%増加し、調理遅れ件数を11%減少することができました。
キッチンスタッフの調理順検討をサポートすることができ、飲食店からの大きな期待を醸成することができました。
技術的背景 図技術的背景 図技術的背景 図

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