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Windows、Google Chrome 開発者 及川卓也さんのリクルート考

Recruit , エンジニア , テクノロジー , 事業推進 , 事業立案 , 人材活用 , 人材育成

リクルートグループは社会からどう見えているのか。
私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2017年10月号からの転載記事です

未来への使命感こそ最大の強み 次の進化へ向けてさらなる脱皮を

私はこれまで外資系企業3社、スタートアップ1社でエンジニアやプロダクトマネジャーを務めてきました。業界の特性上、リクルートさんとの接点も多かったですね。最初の協働は2007年に遡ります。当時私はGoogleに在籍しソーシャルプラットフォームをオープン化する、Open Socialという取り組みを推進していました。今でこそ珍しくはなくなりましたが、MTL(現新規事業開発室)と一緒に、ハッカソンイベントを仕掛けたり、Google Developer Dayというソフトウェア開発者が集まるカンファレンスでの登壇をお願いしたり。

その後2011年に東日本大震災が発生し、私は仕事とは別にHack for Japanというコミュニティを形成して東北支援を行っていました。複数企業のエンジニアが集うコミュニティで、リクルートのエンジニアも参加してくれましたし、スタッフの会議を行う時は、会場を提供してもらうこともありました。

Googleを退職したのは2015年ですが、リクルートとの接点は途絶えることなく、むしろ増えていきました(笑)。リクルートキャリアのエンジニア向けサービスの『CodeIQ』が実施するイベントで講演させてもらったり、昨年と今年はENGINE FORUM(リクルートグループ横断でナレッジのシェアを行うイベント「FORUM」のテクノロジー部門)の社外審議員として案件の審査にも携わり、リクルートの技術力にも触れる機会がありました。

企業が持つ技術力を判断する際に着目するのはその幅と深さですが、リクルートはその両方を兼ね備えた数少ない企業だと感じます。ENGINE FORUMの審査をしてびっくりしたのは、セキュリティ技術にしっかり取り組まれていること。その案件は外販できると思いますし、かつ業界トップクラスになれるぐらい高いレベルにあると思いました。リクルートのWebサービスは、その多くが各領域におけるトップもしくは2番手、3番手に来ます。裏を返すと、悪意を持った人にとっては格好の餌食やターゲットになりやすいということ。実際サイバー攻撃もたくさん起こっているはずで、それを技術できちっと防いでいる。そうした特定分野における深い技術を備えていることに驚きました。一方で、量子コンピューティングのような先端技術についても、研究段階を超え実用化を視野に入れている。クラウドやデータサイエンス技術はもちろん、それ以外の技術を扱う幅の広さと、特定分野における深い技術も兼ね備えている。そこはすごいなと感じます。

ここ5、6年でさまざまなWebサービスシステムの内製化を進めていると伺いました。まだ内製化の途中なので、それによる弊害があるのではと感じる時があります。具体的に言うと、企画者と外部パートナーという関係性が社内でもまだ残っている感じがするのです。外部に委託していたものが内部に置き代わっただけなら、それは非常にもったいないこと。企画してから開発、運用へと横に流していく従来の方法から、企画と開発が一体となり、企画段階ですぐに運用し、反応を見て開発に手を加えるというサイクルをぐるぐる回すリーン開発手法への転換がますます求められています。ENGINE FORUMではそうした企画・開発一体型の案件が出てきているので、まさに今が過渡期なのだと思いますが、まだまだそこが課題であり、チャンスでもあると感じます。

リクルートは人生のあらゆるステージに寄り添う幅広いサービスを提供しています。そうしたカバレッジの広さだけでなく、各領域の競争力も高い。また、紙メディアからWebへと転換したこともあり、膨大なリアルでの顧客接点があります。そうした事業の力、ビジネス側の推進力の強さに加えて、そこに開発力が加わった時、より大きなインパクトを生むことができると思います。

そのためにも、事業と開発側を結びプロダクトの成功を成し遂げることに責任を持つ人、例えばプロダクトマネジャーと呼ばれるような人がもっと増える、あるいは活躍できる組織になるといいと思います。例えばエンジニアのなかでユーザーの視点で考えるのが好きな人をアサインしてもいいですし、逆に事業の専門性が高いドメインエキスパートが開発側に踏み込んでプロダクトマネジメントに専念してもいい。やり方はいろいろあると思いますが、お互いをリスペクトし合い、パートナーとなった上で進めていくのが大事です。そうした人たちが組織のハブとなり、欠けている部分を補いながらユーザーにとって価値のあるものに仕上げていくことができると、よりスケールする事業開発につながるのではないでしょうか。

リクルートは大企業でありながら、スタートアップの雰囲気を持ち続けていると思うんです。これからもベンチャースピリットを忘れずに、さらに成長し続けることを志向して欲しいと思います。

プロフィール/敬称略

及川卓也

IT技術者
早稲田大学理工学部卒業後、1988年日本ディジタル・イクイップメント株式会社(日本DEC株式会社)に入社し、基本アプリケーションの開発や製品間の日本語入力アーキテクチャを行った後、Windowsの自社プロセッサ(Alpha)移植のリーダーとして米国Microsoftに派遣。Windowsの自社製品対応などをその後行う。1997年にマイクロソフトへ転職し、プログラムマネジャーとして、Windows製品および関連の組み込みOSやサーバー製品を担当。Windows Vistaでは日本語版と韓国語版の開発を統括。2006年にはGoogleへ移り、Web検索やGoogleニュースなどのプロダクトマネジャー、Google Chrome、Google日本語入力、Chrome OSなどのエンジニアリングマネジャーを務める。2015 年にIncrements株式会社にて、プログラマーのための情報共有コミュニティサイト『Quiita』のプロダクトマネジメントを担う。現在はフリーランスとして、プロダクト戦略やエンジニアリング組織作りなどで、スタートアップを中心に支援を行っている。

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