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人生100年時代へのライフシフト提唱者 リンダ・グラットンさんのリクルート考

Recruit , 人材育成 , 働き方 , 多様性 , 高齢化 , リクルート考

人生100年時代におけるハイパフォーマーへの転換を支援する企業へ

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2019年4・5月号からの転載記事です

明るい、前向きな女性にエール 世界をリードする日本企業へ

リクルートが主催したHR Intelligence Forum(2018年12月6日開催)の基調講演に呼んでいただけてとても嬉しいです。イベント当日の準備にあたり、貴社の方とコミュニケーションし、また当日もQAセッションで柏村美生さん(現 リクルートマーケティングパートナーズ代表取締役社長)や、個別インタビューで仲川薫さん(現 リクルートコミュニケーションズ執行役員)にもお会いしましたが、皆さんエネルギッシュで前向きなオーラを感じました。

世界の先進国において、少子高齢化が同時に進んでいくなか、日本は最も早く新たな時代を迎えることでしょう。そのなかで女性は今後重要な役割を果たしていきます。社会に対して新しい時代の幕開けを告げ、時代の転換期を情報によって支えてきたリクルートに、頼もしい女性たちがいることがとても心強いと感じました。

少子高齢化時代の新たな働き方 日本が世界で最初の事例になる

私が教鞭をとっているロンドン・ビジネススクールは世界でも有数のヒューマンリソースに関する研究をしています。世界中の多くの企業事例と調査を通じて、未来における働き方や生き方を研究しています。欧米ではAIやロボットの開発が進むことについて、人間の仕事を奪われるのではないかと懸念の声もありますが、日本では労働人口の減少により好意的に受け入れられていると感じています。このことは将来の日本だけでなく、世界にとっても喜ばしいことです。

少子高齢化時代に、働き方、人の生き方、家族のあり方、社会の目指すべき姿を、世界で最も早く見出していくことになるからです。全ては最初から正解を導くことはできません。小さな実験を繰り返しながら、社会全体で正解にたどり着くのです。

社内にどのように人工知能やロボットを導入していくのか。例えばロボットは人間でなくてもできる仕事、つまり型通りのルーチンワークや人間が行うには危険すぎる仕事などを肩代わりしてくれるのです。代わりに人間は、人間にしかできない仕事、例えば非連続な未来を予測する仕事や、人の気持ちに寄り添い選択を支援したり、今ここにない新たな未来を創造する仕事をしていくことになります。今後そういった人間らしい仕事をしていくハイパフォーマーとしての働き方が主流になっていくでしょう。

ハイパフォーマーとして変わり続ける力を

こうした人間らしい仕事に必要なクリエイティビティを開花させるために、政府や企業がしていくべきことはたくさんあります。昔のように、学生時代を経て、ビジネスパーソンとなり、引退して老後をゆったり過ごすといったいわば一本道の人生ではなく、複数の選択肢をマルチに組み合わせた人生になってきます。女性が社会で活躍し続けることが当たり前になってきた現代では、結婚も転職も複数回重ねることは当然ですし、働き始めてから学び直すといった人も増えました。

人生が長くなればなるほど、ハイパフォーマーであり続けるためには、以下の3つが重要になります。ひとつ目は、学び続けること。社会変化のスピードがますます加速していくと、ひとつの仕事だけを一生を通じて全うしていく人は少なくなります。時代に合わせ常に新たな技術やスキルを身に付け、新しい仕事や働き方にチャレンジし続ける必要があります。ふたつ目はアジリティ(適応力)です。そして最後は、Growth Mind Set(成長を志すこと)です。これまでしてきた仕事がなくなったり、社会が大きく変化したことを嘆くのではなく、成長できる機会だと迎えることです。

政府や企業はそういった変わろうと努力する人たちを支援する情報やプラットフォーム、仕組みなどで支援していくべきだと考えています。そして、自らの会社で働く人たちのクリエイティビティを開花させる次世代の働き方を支援していくことです。イギリスに本社があるAT&Tのように、年25億ドルを人材教育に投資し、従業員ひとり当たり8000ドルの学習機会を提供することもそのひとつ。また、人のクリエイティビティは不安やストレスが大きい環境では開花することはできません。マイクロソフトのように、競争から共創へと社風を変化させていき、コラボレートを推奨していくという方法もあるでしょう。そして常に一人ひとりの成長や不安を取り除くようなマネジメント支援をすることも有効です。もちろんクリエイティビティを刺激するようなユニークなオフィスやイベントを導入する企業も増えています。

今、私は日本政府が主催する「人生100年時代構想会議」の委員としてディスカッションに参加していますが、こうした次世代の働き方を推奨する企業が日本にも増えているとお聞きしています。リクルートが主催した今回のイベントのように、多くの企業を巻き込んだHR Tech の推進のための活動をしていることは素晴らしいと思います。世界の働き方変革をリードするのは日本だと考えています。世界をリードする日本企業、そしてそのひとつであるリクルートにも期待しています。

プロフィール/敬称略

リンダ・グラットン(Lynda Gratton)

ロンドン・ビジネススクール教授 Hot Spots Movement 代表

安倍内閣「人生100年時代構想会議」有識者委員。代表的な著書には、FTビジネスブックオブザイヤーに選ばれた『The 100-Year Life』などがある。その他にも、インドのタタ賞、オーストラリアのHR賞、NAHRの年次フェロー、LBSベストティーチャー賞など、世界中で多数の賞を受賞。世界経済フォーラムのリーダーシップ評議会では議長を務める。

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