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自らを変え、成長を志すリーダーの支援者 中竹竜二さんのリクルート考

Recruit , ビジネススキル , マネジメント , リーダーシップ , 人材活用 , 人材育成 , 働き方 , 多様性 , 教育 , リクルート考

弱みをさらけ出せる真の強さと成長し続ける姿勢にこそ信頼は宿る

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2019年7月号からの転載記事です

スキル&スタンスの継承課題を引き起こす現場の構造的変化

リクルートとの最初の出会いはワークス研究所『Works』から取材依頼を受けたこと。そこからのお付き合いがかれこれ7年くらい続いています。その後は、いろいろな事業のリーダー育成トレーニングに携わったり、講演などをさせていただいています。

ある事業で実施したリーダートレーニングでは、弊社の『TBスキャン』という組織診断をまず行いました。その結果はいかにもリクルートらしいと思える結果でした。当事者意識、挑戦、情熱、個性の発揮など、スタンスに関する項目が、他社も含めた平均値と比較すると圧倒的に高い。一方、スキルに関する項目、例えば構造的に俯瞰する、分析的に問題を捉える、仮説を立てて効率的に動くなどのスキル面がやや弱く出ていました。

一般的に、スキルはそこそこあっても、スタンスがぐらついているところが多い。リクルートの場合は、強いスタンスで多少のスキル不足も気合いで乗り越えてしまうという、ある意味「らしさ」が垣間見えた気がします。しかし、見方を変えると、かつてのリーダーたちに比較してスキル面が落ちてきているとも言えるのではないかと思うのです。

その背景にあるのは、現場の構造的な変化ではないでしょうか。昔は遅くまで共にオフィスで働き、時には飲みに行ったりして、いわば"口伝"でスタンスと同時にスキルも伝承することができました。しかし、時間を経るごとに従業員数も拡大し、働き方改革などでコミュニケーションの形も変わりました。今まさに、スタンスやスキルをきちんと言語化し、現場に落とし込むための仕組み化が必要とされる時期に来たのかもしれません。

スキルもスタンスも、理解し意識するだけでは意味がありません。習慣化、行動化し、さらに継続することが重要です。スポーツのように、日々の練習で身に付けた技術が、本番の試合でも常に発揮できることが大事なのです。

強い組織を作るスポーツとビジネスに共通するもの

私は3年生まで公式戦出場経験がなかったにも関わらず、4年次に主将を務め全国大学選手権で準優勝に導きました。卒業後はラグビーから離れ、渡英しました。帰国後、三菱総研でコンサルタントとして働いていたある時、監督にならないかと連絡が入りました。大学ラグビー現役時代から有名選手であり、また監督として早稲田大学ラグビー部を日本一にした清宮克幸監督の後任として、監督経験ゼロにも関わらず突然、監督を引き受けることになりました。

現役選手には五郎丸歩選手などがいた時代です。私の技術は選手に及ばず、監督としても戦略・戦術について素人同然でした。そんな自分が監督になったら、分からないことは、選手たちに考えてもらうしかないんです。徹底的に聞く、考えてもらう、課題はチームで結論を出していく。

私が行ったのは、分析やチームビルディング。分からないのに分かったふりをしたり、強がったりしても全く意味がない。「次の戦略はどうしましょう」と問われたら、「どうしたらいいと思う?」と問い返し、選手の答えに「なぜそう考えたのか、どうすればできるのか」と問いかけます。選手たちはこのプロセスによって考えを整理して言語化し、自ら考え行動するチームに成長していきました。

リーダーは弱みを見せず、チームの中で誰より優れたスキルを持ち、メンバーを引っ張っていこうと考えがちです。しかし、自分の弱みを認めてさらけ出して、選手やあらゆる事象から学ぶ姿勢と、日々成長し変化していく自分を見せるしかない。時として背伸びしない等身大の自分を示していくことで仲間たちとの心からの信頼関係が作られるのです。

弱みをさらけ出せる真の強さに対して、人は信頼し、自らの力を惜しみなく尽くしたいと思える。スポーツ、ビジネスを問わず"強い組織、チーム"はそういったリーダーの姿勢から生まれるのです。

"強い個"を育てる社風に変化?"リクルートの私"になっていないか

個が強く、人としてぶつかり合って互いに成長していく方が多い印象です。しかし昨今、会社のブランドにプライドを感じている人、リクルートの自分をベースに語る人も出てき始めたと聞きます。それはとてももったいない。無駄なプライドは、お客様やチーム内での信頼醸成も遠ざけます。もちろん、自分をさらけ出すことは誰でも怖い。リーダーとなればなおさらでしょう。

リクルートの皆さんには、肩の力を少しだけ抜いて、素直に弱みをさらけ出し、認め合える組織を作り続けていって欲しいと思っています。それにより社内にも、多くの新たな試みが生まれ、失敗からも成功からも常に学べる起業家集団へとさらなる成長をしていけると思います。世界にイノベーションを起こし続ける組織であり続けて欲しいと願っています。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

中竹 竜二(なかたけ・りゅうじ)

公益財団法人日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター
株式会社チームボックス代表取締役

1973年福岡県生まれ。早稲田大学人間科学部に入学、ラグビー蹴球部に所属。同部主将を務め全国大学選手権で準優勝。卒業後留学し、レスター大学大学院社会学部修了。株式会社三菱総合研究所入社。2006年、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2年連続で全国大学選手権優勝。10年、日本ラグビーフットボール協会初代コーチングディレクターに就任。12年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチも兼務。14年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックスを設立。18年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。主な著書に「部下を育てるリーダーのレトリック」(日経BP社)など。

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