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イノベーションを加速する「知のキュレーター」入山章栄さんのリクルート考

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卓越した「プロソーシャル・モチベーション」で世界にインパクトを与えるビジネスを

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

リクルートグループ報『かもめ』2019年12月号からの転載記事です

圧倒的な強みはカスタマーとクライアント視点

昨年はTOPGUN FORUM(リクルートグループ横断でナレッジのシェアを行う社内イベント「FORUM」の顧客接点部門)、今年はGROWTH FORUM(同「FORUM」の商品開発・改善部門) の社外審議員を務めさせていただきました。

どのプレゼンを聞いていても驚くのは「プロソーシャル・モチベーション」の高さ。プロソーシャル・モチベーションとは、相手の視点、相手の立場に立ってものごとを発想していく力です。

リクルートではよくカスタマーやクライアントのことを「イタコになって考える」というフレーズも出てきますが、まさにそれ。言葉で言うのは簡単なのですが、ここまで本気で行動している人たちが揃っている会社はなかなかありません。

私の研究室の秘書は、リクルートスタッフィングから派遣していただきました。無期雇用期限にあたる3年目に、大学職員として正式採用したいと申し出ました。優秀なスタッフが派遣会社から引き抜かれるのは、本来ならよい顔はしないと思うのですが、リクルートスタッフィングの営業の方は我がことのように喜んで快諾してくれました。ここまでプロソーシャル・モチベーションが浸透している企業も珍しいと実感しました。

FORUMのどの案件も、そういった徹底的な相手視点に立ったところから生まれているイノベーションです。本当に印象的でしたね。

本気で戦うべきはボーン・グローバルファーム

「ボーン・グローバルファーム」とは、創業時から海外市場を意識し、早期から海外市場開拓を開始し、一気にグローバル企業化していくスタートアップ。米国だけでなく、グラブやゴジェックに代表されるように、東南アジアなどでも成功例が出始めています。

この背景には、東南アジアや世界中で英語、数学、プログラミングといういわば共通言語であるプロトコルが揃ってきていることがあります。この3つがあれば、世界中どこでも誰とでもビジネスができる時代なのです。

東南アジアの優秀な若者は、海外市場を意識した大きな絵を描いて事業をスタートするのに対して、日本の大企業の若手はそういった視点に欠けていると感じることは多いです。既にボーン・グローバルファーム群とのグローバル市場の奪い合いが始まっています。互角に戦える力をつけないと日本市場のシェアも奪われてしまいかねません。

事業をアクセラレートするのは未来型の営業力

労働には、肉体労働、頭脳労働、感情労働の3種類があります。肉体労働はロボッティクスが、頭脳労働はAIがその大部分を代替していくでしょう。最後に残るのは感情労働です。営業は、まさに感情労働。商品説明などロジックが通用するものはAIに置き換わるでしょう。

しかし、買う側も人間。論理だけでは動けないし、何に困って、どういう未来を描いているかという話になると極めて感情に近いアート的な世界になる。そこに寄り添って、より良い未来を顧客とともに描き、提案し、どのようにツールを組み合わせていくかなどアイデアを駆使しながら、顧客とともに泣いたり笑ったり、時には怒ったりしながら一緒にゴールを目指す。これからの時代こそ営業が事業を拡大するはずです。

AIの時代でも営業の重要性は変わりません。ただその役割が、より「感情労働型」に変わるのです。

ネットによって世界中どこにいても情報は得られる。情報を得るため、簡単な見積もりを依頼するために営業を呼ぶなどということはなくなっていくでしょう。ロジックが通用する部分は人でなくてもよいのです。IT化されればされるほど、本当のビジネスの勝負は「それ以外」のところで決まる。

つまり、人と人とのつながりやコミュニティの内側の情報網のなかで勝負が決まっていくのです。地価が上がり続けるシリコンバレーになぜ人も企業も集まり続けるのか。しかも彼らのほとんどは世界中で仕事ができるはずのIT系の企業です。そこには優秀な経営者やエンジニア同士がいわば感情的に交わり、新しいものを生み、真の勝負を決めているのです。

人と人とがロジックではなくつながっていき、新しいものを生み出していく時に重要な力は、冒頭にお伝えしたプロソーシャル・モチベーション。リクルートの方は営業もエンジニアもスタッフも職種を問わずこの素地を持っている。

グローバル市場に大きなインパクトを与えるビジネスを、今後もテクノロジーと営業力で実現し続けて欲しいですね。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

入山章栄(いりやま・あきえ)

早稲田大学大学院
早稲田大学ビジネススクール准教授

慶應義塾大学経済学部卒業。三菱総合研究所で、主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。13年より現職。国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社)他。『ワールドビジネスサテライト』のコメンテーターなども務める

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