3児の母とリクルート。「常に仕事優先じゃなくてもキャリアは積める」

3児の母とリクルート。「常に仕事優先じゃなくてもキャリアは積める」

3人の子どもの産休・育休を挟みつつも楽しく働いてきたという入社17年目のリクルート従業員・菊池綾子。順調に育児と仕事の両立ができていると思っていた2021年、役割の変更と子どもの受験・思春期などが重なったことで、途端に両立が厳しくなったといいます。

仕事も育児も上手くいかない 望んだはずの役割変更で始まる“魔の半年間”

リクルートに入社以来、3人の子どもの産休・育休を挟みつつ、『リクナビ』や『タウンワーク』などの営業や採用人事、代理店企業へ支援を行う渉外として、子どもが小さいうちは「細く、長く」キャリアを積み上げることを第一に働いてきましたが、もう一段階仕事のギアを上げてみたいという気持ちも徐々に膨らみ、タイミングを見計らっていたところもありました。そこで2021年春、第3子も5歳になって手がかからなくなってきたこともあり、これまでより対応する範囲や知識を必要とする業務に挑戦してみることにしたんです。しかし、慣れない仕事にみるみる忙殺されていき、仕事も育児も上手くいかない“魔の半年間”が始まりました。

仕事は初挑戦の業務かつコロナ禍も相まって、なかなか結果を出せず焦っていました。役に立ちたい・貢献したいという気持ちは人一倍な私。何とか巻き返そうと奮闘するのですが、その分仕事は増え、時に食事をしながら仕事をするような状態になることも。必然的に子どもたちとの会話も笑顔も減り、子どもたちには「あれやった?」「早く食べて」「なんでできないの?」といった言葉を一方的に言ってしまうばかり。当時小学6年生だった長女は、本人の意思で始めた中学受験勉強の真っただ中でしたが、成績に伸び悩む長女に寄り添い、相談に乗ることもままなりませんでした。

仕事と育児の両立に悩んでいたリクルート従業員の菊池綾子

理想と現実のギャップ 埋められたのはマネジャーへの相談から

私はそもそも「仕事を通して、子どもたちが生きる未来を期待できる明るい社会にしたい」という思いをもって、この仕事を選択し働いてきました。なのに、目の前にいる自分の子どもたちさえも笑顔にできていない。そんな現実にハッとし、理想とのギャップにモヤモヤは大きくなっていきました。

そんななか、「俺のことを全然見てくれない」と長男が家出。子どもたちのケアを私以上に担ってくれていた夫からも「俺はどうやったってママにはなれない」とどうやっても自分にしかできない役割があることを諭されました。この家族の一大事を経て、仕事と家庭への関わり方を変えることを決意。上司であるマネジャーとの毎週の定例会では、長男の家出や長女の受験など公私の心配事も共有するようにしました。マネジャーは、いっぱいいっぱいになっていた私の業務に優先順位を付け、他の人に頼める業務は周囲に頼ったり、時に休むという選択を示し、背中を押してくれました。この時、業務を精査し、たとえ自分がやりたいことでもどうしても譲れないこと以外は一旦手放しました。大事にしたいはずの家庭に波風が立っている今は、あれもこれもと求めるのではなく、しっかり家庭に向き合える時間を持つ時期だと気づけたからです。

結果、業務を整理できたおかげで家族と向き合う時間と心のゆとりが増え、家庭の雰囲気もどんどん良好に。長女の受験本番時期の冬にはしっかり寄り添うこともでき、一時期セーブしていた仕事にもまた意欲的に取り組むことができるようになっていきました。

子育てはずっと続く お互いのギアチェンジに寄り添い合えたら

子育てが大変な時期は乳幼児期だと思っていましたが、それは物理的なもの。子どもたちが大きくなっても子育ては続いていくものだと痛感しました。振り返れば、役割変更をしたタイミングから、誰に言われたわけでもないのに「自分で望んでチャレンジした新しい仕事。早く結果を出さなくては」と焦ってしまっていたんだと思います。結果、家族をないがしろにして問題が発生し、仕事にまで影響が出てしまった。私にとって仕事と育児を両立する上で必要なことは、家庭とのバランスを取ること。これこそが仕事の安定にもつながる方法だったんです。

自分で上げたギアを下げることに抵抗を感じて道に迷いそうになっていましたが、上司や同僚、家族の助けを借りてギアチェンジし、一度立て直すことができたからこそ、今またギアを上げて前に進むことができていると思っています。今回私の場合は子育てでしたが、誰しも人生の時々でギアチェンジが必要なことが出てくるはず。私がマネジャーや同僚に快く助けてもらえたように、私も皆のギアチェンジに寄り添っていけたらと思っています。子どもたちは私の背中を通して社会を見ています。だからこそ、時にギアチェンジもしながら周囲と助け合ってキャリアを重ねていく姿を見せていくことができたらと思っています。

キャリアは成長一直線だけではないと語るリクルート従業員の菊池綾子

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

菊池綾子(きくち・あやこ)
株式会社リクルート HR本部 HRパートナーユニット パートナー渉外2部 渉外3グループ

2006年にリクルート入社。以来、3児の育児と両立しながら、HR領域で営業や人事、営業企画、渉外業務などを担当。2021年に自ら希望して新しい役割に挑戦したところ、育児と仕事の両立に苦労し立ち止まる

関連リンク

最新記事

この記事をシェアする

シェアする

この記事のURLとタイトルをコピーする

コピーする

(c) Recruit Co., Ltd.