周りが優秀に見えた時の対処法。リクルートの事業開発部に異動し、もがいた2年半

周りが優秀に見えた時の対処法。リクルートの事業開発部に異動し、もがいた2年半

念願の新規事業開発に挑戦できる環境へ異動できたものの、職場の同僚が優秀だと感じ、自分と比較して落ち込んだというリクルート従業員・井上恵太。もがきながら自分らしく働く方法を見出す時に参考にしたのは、普段は手厳しい上司から聞いた失敗談だったそうです。

社会人8年目に新規事業開発に挑戦。希望したはずなのに、だんだん八方塞がりに

大学卒業後、「面白そうな人が多いな」と興味を持って入社したのがリクルートキャリアコンサルティング。企業再生のための再就職・キャリア支援などを手掛ける会社です。同社で営業、マーケティング、営業企画などを経験するうちに事業開発に挑戦したいという思いが芽生え、当時の上司に希望を伝えました。

すると、どこからともなく上司がポストを見つけてきてくれ、社会人8年目にしてリクルートキャリア(現・リクルート)の事業開発部署に出向することに。ミドルシニアのキャリア支援をテーマにした新規事業開発に携われることになりました。

しかし、顔見知りもいない新天地では、仕事の進め方が全く違うことに大苦戦。おまけに事業開発に携わるのが初めての自分には、ゼロから進めるためのスキルも備わっていない。当初は毎日のようにダメ出しを受けてばかりでした。出向前はそれなりに仕事を任されて自信もあった自分が、全く戦力になっていないことが歯がゆかった。そんな状況だから、余計に周囲の優秀な同僚たちに引け目を感じていました。他の人が1日で出せるアウトプットに、自分は1週間もかかるし、市場リサーチ、データ分析、分かりやすいスライド作成…どれも上手くできずすっかり萎縮してしまいました。気付けば誰かの言う通りにしか動けなくなり、それすらも上手くできず、だんだん八方塞がりになっていったんです。

普段は厳しい上司から初めて聞く、リクルートでの挫折と立ち上がり方

転機になったのは、事業開発2年目の初夏。当時の上司と飲みに行った時に、「自分はどうしたら良いか分からない」と、八方塞がりに感じていることを吐露しました。

すると、いつもは厳しい上司が、この日は自らの経験を話してくれました。上司も初めて事業開発に挑戦した時は毎日部長から指摘を受けていたこと。周りと自分を比較して気持ちばかりが焦っていたこと。そして、こうアドバイスしてくれたんです。

「隣の芝生は青く見えるものだよ。人それぞれに得意なやり方は違うのだから、周囲を気にしすぎても良いことはない。自分なりの強みが最大限活きるやり方を見つけて、小さくてもいいから自分の城を築き、そこで試行錯誤して勝ち筋を見つけることが大切。そうやって確からしい事業を創るんだ」と。過去に新規事業を大きく育て上げた上司の考え方を知った私は、ようやく思考停止の状態から抜け出すことができました。

「一次情報から仮説を立てる」自分らしく事業開発に挑戦できるように

なるほど、ゴールまでの道のりはひとつではない。だったら周囲の人のやり方を無理に真似しようとするのではなく、自分が得意な方法で、納得感を持って動ける道を探そう。こうして辿り着いたのが、具体的なステークホルダーの声から発想を拡げる方法でした。

人材募集をしたい企業の担当者の方は何を思っているのか、求職者の皆さんは何を課題に感じているのか。実際にサービスを利用するかもしれない方々にお話を伺い、リアルな一次情報を基に仮説を立て、アクションし、検証する。このやり方が自分には合っていて、当事者のリアルな意見を根拠に事業開発の検討サイクルをひと通り経験できたことが、大きな自信になっていきました。

当時検討したテーマは、残念ながらサービス化することは叶いませんでした。けれど、私にはこの時の経験がかけがえのない財産になっています。例え上手くいかなくても何がダメかを明らかにして変えていけば良い。度々の異動の際も、失敗を恐れず何回でも自分なりにチャレンジできるようになれたと思います。

現在は、地域で人材紹介業を担うステークホルダーとの協業という、新しい業務に挑戦中。自分と全く異なる専門知識やスキルをお持ちの方々と、尊重し合える関係を築くことを大切にしています。自分の強みを活かすことで、求職者の皆さんにとっての機会創出や、人を採用したい企業や地域の人手不足の解消に少しでも貢献できたらと思います。

※リクルートグループ報『かもめ』2023年11月号からの転載記事です

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

井上恵太(いのうえ・けいた)
リクルート HRエージェントDivision. ソリューション統括部 ソーシャルリレーション推進部エリアSR推進グループ

2006年にリクルートキャリアコンサルティングへ入社。企業向けの再就職支援事業を経験後、13年にリクルートキャリア(現・HRエージェントDivision)へ出向、16年に転籍。現在は地域の人材紹介を促進するため、地方金融機関とのアライアンス業務を担当

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