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SPECIAL TALK SESSION

対談:LINE, Indeed - 億人を惹き付けるサービスから見る世界との戦い方 - 3

Recruit , インターンシップ , エンジニア , グローバル , テクノロジー , マネジメント , 北米
対談:田端×出木場

文:鈴木貴視 写真:依田純子(写真は左から出木場、田端氏、佐々木氏)

世界4億9000万人(※)が利用する「LINE」と月間で世界1億5000万人が利用する求人サイト「Indeed」。その世界との戦い方とは?ファシリテーターに「NewsPicks」編集長の佐々木紀彦氏を迎えた特別対談。

※2014年 7月31日時点

「LINE」の田端信太郎氏と「Indeed」の出木場久征氏、そしてファシリテーターである「NewsPicks」編集長の佐々木紀彦氏による特別対談も3回目。両企業が世界市場で戦う中で、実際に見えてきた壁や社内におけるマネジメントの在り方などに着目。IT企業が世界で成功するために、今やるべきことは何か?

佐々木 さて、グローバルやテクノロジーという所で色々と話がありましたが、テクノロジーの人達を活かすために、マネジメントはどんな風に気を使われていますか。

出木場 邪魔しないだけですね。エンジニアのみんなは僕より頭がいいし、「こういうことがいいよね」っていうヴィジョンだけ共有したら、僕なんか必要ないですよ。

田端 邪魔しないんですね。

出木場 やっぱりエンジニアや技術者は良いことに対して動くので、ちゃんとゴールを設定して、あとはもう自由に走ってもらう。僕が何かやるのはおこがましくて。

出木場、田端氏、佐々木氏

佐々木 採用には関わったりしないんですか?

出木場 一応やっていますけど、基本的には僕が携わるのは一部だけで、ほとんどテストなんです。

田端 プログラミングのテストですか。

出木場 はい。面接の比重は大きくなくて、どっちかというとホワイトボードコーディングといって、ホワイトボード上にお互いコードを書きながら、「こういう課題がありますけど、どうやって解きますか?」といったコミュニケーションを見ている。日本でいうコミュニケーション力とはちょっと違いますね。

佐々木 「LINE」の場合どうですか?

エンジニアを活かすための"邪魔しない"というスタンス

田端 邪魔しないというのは同じ。採用に関しては、CTOクラスの凄い一人を採用するのが一番大事で、あとは邪魔さえしなければいい。一時期、色んな会社がエンジニアを採りたいから、マッサージ室を設けたり合宿のための保養所があります、といったアメをいっぱい持ち込みましたよね。給料も新卒で年収うん千万円とか。それはそれで否定しないですけど、エンジニアと付き合ってて思うのは、心の中で本質をちゃんと見ているということ。「この人は何もわかっていないな」とか。だから、邪魔しない方向で接することとリスペクトすることが大事で。本当に、かつての営業会社における営業のような扱いというか。

出木場 僕も本当にそう思いますよ。だから、リクルートの営業を評価するのと同じです。

田端 そうしないと無理ですよね(笑)。

出木場 本当にそう(笑)。最近、課題解決型エンジニアと言われてますけど、要は設計図があって書くんじゃなくて、最初に「こんなことをやりたい」というのがあって、あとはチームでやってもらう。だから、解決法から考えてもらうという、昔の課題解決型営業みたいなことと実際のところ同じですよね。

出木場

田端 要は、言われた通りとか効率だけの下請的な人って全然意味なくて。課題解決型と言うと美しいですけど、そういう人って基本的にめちゃくちゃ生意気なんです。マネージャーとしては扱いにくいんだけど、だからといって言われたことを言われた通り粛々とやります、っていうタイプだと絶対ダメ。そういう人がうまく適切にハマると「こうしたほうがいいんじゃないですか?」っていうアイデアや課題を自発的に出してくる。

出木場 うんうん。

田端 やっぱりエンジニア自身がオーナーシップを持って、彼らなりにこのサービスはこのためにあるんだ、というのを、勝手にやっておきましたって。それくらいの意識がないと、もうこの世界では絶対無理ですね。

佐々木 そういう意味では、営業を上手くマネジメントしてきたノウハウを活かせば、十分テクノロジーの最前線の人も上手く回る、と?

出木場 と、思いますよ。でも結局オーナーシップだと思います。いかにオーナーシップを持ってやってもらえるか、というのは営業でも同じじゃないかなと思いますけどね。

IT企業として成功するための、トップマネジメントの条件

佐々木 では、少し視点を変えますが、リクルートは今テクノロジー企業というか、IT企業を目指している部分があるじゃないですか。田端さんから見ると、どうやったら成功できると思いますか?営業オリエンテッドの所から変われると思いますか?

田端 難しいこと、悩ましいことを聞きましたね。だんだん過激になってきた(笑)。出木場さん同意してくださる?

佐々木 どんどんやりましょう(笑)。

佐々木

田端 トップマネジメントの中で、"行動×人間"の比率を増やさないとダメだと思いますね。僕、一応、新入社員研修でJavaのプログラミングしたことあるんです。とはいっても本職には適わない。それでも、エンジニアに対して何か言うときに、ビビっちゃいけないんです。

佐々木 先ほどはエンジニアに対してリスペクトしなければいけない、とおっしゃっていましたが。

田端 もちろん、リスペクトもしなきゃいけないけど、ビビってるなと思われるのもダメなんです。何かサイトを作ってるときも、コードを見てちょっとした間違いに気付いてあげられるとか。そういうのがあると、彼らなりに「こいつの言うことすごい乱暴なんだけど、概ね間違ってないか」みたいな感じになる。こっちがビビってると「俺、本当に全くわからないから、頼られても知らん!」みたいにエンジニアは感じちゃいますよね。

佐々木 信頼度にも関わってきますよね。

田端 リスペクトしつつも、逆に言うと、ブラックボックスじゃなくしていくことも大事。とはいえ、僕も先端のエンジニアのコーディングはわかってないし、そこの価値判断はできないんですけどね。

技術的な問題でも、本質を理解しなければトップの価値なし

佐々木 実際、経営会議にテクノロジーの話題がいっぱい出てくるとか、そんな感じですか。

田端 例えば、「LINE」のビジネス、多分リクルートもそうかもしれないですけど、サービスをやるときにブラウザベースでやるかアプリベースでやるかというのは決定的に違うんです。決定的に違うんだけど、ユーザーからの意見で困るのが、変な写真を「LINE」の中で流出させてる人がいるので、それを消してほしいと言われたりとか。

佐々木 ニュースにもなりますよね。

田端 というのも、「2ちゃんねる」は削除要請したら削除してくれるんです。ところが、「LINE」の場合は消せません。一般ユーザーから見たらWebサイトの掲示板みたいなものだから消せるでしょ?って感じなんでしょうが、スマホの中でに配信されてしまったら、ユーザー個人間でのやりとりになってしまうので、我々が対応することは無理なんですよ。その区別がついてないから、「LINE」は何で非協力的なんだ?ってなる。

佐々木 一般の方から見たらわかりにくい部分ですよね。

田端 アプリかWebか、例えばデータがスマホの端末側に貯まるのかサーバーサイドに貯まるのかというのは、エンジニアに任せておけばいいということじゃなくて、トップマネジメントレベルそのものだと思うんです、コンシューマーインターネットです。

出木場 まさしく、そのとおりです。

田端 データベースがユーザー側か、サーバ側にあるのかで、どういうパワーシフトが起こるのかを見た瞬間に把握出来ないのは、コーディング以下のレベルでダメです。そういう意味でも、本質が絶対わかってないといけなくて。もしかしたら、求人だってP2Pみたいにスマホの中で完結しちゃって、収益チャンスが1円もなくなる話だってあり得るかもしれない。そのレベルの理解がないと、多分「まともに話す価値なし」と思われると思うんです、わかってる人からすれば。

出木場 本当におっしゃるとおりですね。

世界レベルで戦う上で、社会に"ちゃんと"を要求するのは困難

田端 IT担当の役員を置いてくれ、という話くらいに受け取られると、正直ダメですね。ここはあえて言うというより、思っているだろうけど言いにくいことを先に言っておく感じです(笑)。

田端氏

出木場 それがわからない人は...ですね(笑)。一方で、今僕がアメリカですごく思うんですけど、日本のネット企業で多いのが「ある程度コードを書いて偉くなるとマネージャーになっちゃう」ケース。田端さんとは違うレイヤーで言ってるかもしれないですけど。知らない偉い人達が言う斜め上の、コストが掛かるかどうかもわかってない発言を、そのマネージャーが頑張ってやってしまったり、本社主導でやらせたり。やっぱり全部流れを変えないといけなくて。

田端 わかります。

出木場 他にも1つ日本の難しい所としては、ベストエフォートに対しての寛容度が低いんですよ。例えば今年2~3月のアメリカのエアラインって、予定時間から30分以内に飛行機が飛んでる率が20%しかなかったんですよ。僕も先週、6時間ワシントンで待って、やっと乗れたと思ったら全然出発しない。どうしたのかなと思ったら、600ポンドオーバーしたので3人降りる人を募集しますみたいな。それで、その3人にはミールクーポンもホテルクーポンも出すっていったら5人ぐらい名乗り出て来て、今度はその3人を選ぶのにすごい時間が掛かってるんですよ。

佐々木 すごいですね。

出木場 日本では考えられないじゃないですか。日本だったら「おい、こら!」みたいな人が出てくるけど、向こうだとキャビンアテンダントも「私たちのせいじゃないし」って自信を持ってやってる。やっぱりネットビジネスを新しく立ち上げて本当に世界レベルで戦っていくときに、テクノロジーの観点で見たら、ちゃんとつくり過ぎることを要求する社会は難しいなというのはあります。

田端 例えば、セキュリティとかね。これなかなか言いにくい、今どんどん言いにくい内容になってますけど......。

出木場 僕がすごく思っているのは、色々迷ったり、規制されて海外のプレーヤーにやられるくらいなら、もっと新規事業を海外でやっちゃえばいいと思うんです。あっ、公式見解ではありません(笑)。

第4回に続く

対談:2人の17歳CEOが語る、ビジネスと教育と日本の未来

プロフィール/敬称略・名称順

出木場久征

リクルートホールディングス執行役員 兼 Indeed CEO&President

旅行予約サイト「じゃらん」を始め、数々のメディアのネット化を歴任。2009年に旅行・飲食・美容・学びなどを管轄するCAP推進室室長兼R&D担当に就任。11年に全社WEB戦略室室長、12年4月に執行役員を経て、現在はリクルートが買収した求人サイト、米国IndeedのCEO&Presidentに就任。

田端信太郎

LINE株式会社 上級執行役員 法人ビジネス担当

NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げ、R25創刊後は広告営業の責任者を務める。その後、ライブドアに入社し、livedoorニュースを統括。ライブドア事件後には執行役員メディア事業部長に就任し経営再生をリード。さらに新規メディアとして、「BLOGOS」などを立ち上げる。2010年春からコンデナスト・デジタルへ。「VOGUE」「GQ JAPAN」「WIRED」などのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。2012年6月、NHN Japan株式会社に入社、執行役員に就任。広告事業部門を統括。2013年4月、NHN Japan株式会社の商号変更により、LINE株式会社執行役員に就任。2014年4月、LINE株式会社上級執行役員 法人ビジネス担当に就任。現職。

佐々木紀彦

ユーザベース執行役員 NewsPicks編集長

ユーザベース執行役員 NewsPicks編集長。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2007年9月より休職し、スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。09年7月より復職し、『週刊東洋経済』編集部に所属。『30歳の逆襲』、『非ネイティブの英語術』、『世界VS中国』、『ストーリーで戦略を作ろう』『グローバルエリートを育成せよ』などの特集を担当。著書に、『米国製エリートは本当にすごいのか?』、『5年後、メディアは稼げるか?』

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