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「スマートワーク」という新たな働き方への改革で着実な成果!

‘16.03.11 Fri

生産性高く働くということ

2013年1月、株式会社リクルートスタッフィングは「スマートワーク」という働き方を採り入れました。「スマートワーク」とは、より生産性が高く、より効果的な働き方のことです。誤解されやすいのですが、単に時間短縮することではありません。より中身にこだわり「限られた時間の中で、賢く・濃く・イキイキと働くことで、最大の成果を出すこと」と定義しています。

そもそもなぜ、このような発想が生まれたのでしょうか?
1つめは「男女間でキャリア形成に対する意識の差がある」という課題です。グループ全体で年に1回「ダイバーシティアンケート」というものをとっています。そこで一部の項目に男女の差分がありました。「私は将来、より高い役職を担っていきたい」「私はこの会社で仕事と家庭を両立することは可能だと思う」という項目に対して、女性に若干の躊躇が見られたというものです。
もう1つの課題は「営業成績と労働時間に相関は見られない」ということです。社内で営業業績と労働時間のデータを過去10年分近くを洗い出した結果、労働時間と業績は連鎖しないという事実が判明しました。同社代表取締役社長の長嶋由紀子は言います。「企業が成長していくには、男女の別なく共に活躍できる環境を作るべきです。しかし女性に限定すれば、多くの場合、出産や育児によってキャリアをあきらめなければならないのかと不安や葛藤に見舞われやすいのが現実」。そこで企業の競争力を高めるために打ち出したのが、「時間あたりの生産性」を重視する「スマートワーク」だったのです。

「トップコミット」と「現場主動」の両輪で推進

とはいえ習慣化された働き方を変革するには、相当なパワーが必要です。『どのような働き方が評価に値するのか』といった価値観を見直すところからの挑戦でした。具体的に「営業成績と労働時間は相関しない」というデータを示し、「短時間で好業績=かっこいい」というイメージを浸透させていきました。

推進のポイントは「トップコミット」と「現場推進」の両輪を回し続けること。「働き方改革」のような大切だけれどもすぐに大きなインパクトにつながらない取り組みや、数年かかる変革については、「トップコミット」で進めることが必要であると判断。そして、例えトップが代わってもこの価値観が風化せず、着実に社員一人ひとりの力を強くし、企業の成長につなげるためにも「現場主動」と両輪で進めることが肝要でした。
具体的には、部長以上の管理職に中期事業計画を共有する場で、「働きかた改革が最大の経営戦略だ」と伝え、議論したのです。その後、年間労働時間の上限を決め、全従業員がその範囲を一人も超えないことへのチャレンジを宣言しました。また、社長やスマートワーク担当役員が従業員との「スマワクランチ会」や「アサカツ会」を開催し、直接対話する場を作りました。その他、全組織にスマートワーク委員を設置し、社内報でのナレッジ発信やツールの共有、年1回の成果報告会などで意識変革を進めました。

労働時間が減っても、前年度以上の売り上げを実現

スマートワーク導入後3年が経過し、目に見える成果が出ています。2012年度と2014年度を比較した結果、1日あたりの労働時間は3.3%ダウンした一方、労働時間1時間あたりに換算した売上生産性は4.6%アップしました。従業員の意識調査でも、この2年間で「将来、高い役職を狙っていきたい」という女性社員が0.5ポイント増え、男女差は0.6ポイントに縮まりました。また「この会社で仕事と家庭を両立することは可能だと思う」などの両立に関する指標は男女問わず、すべて向上しました。

深夜労働時間は86%削減、休日労働時間は68%削減となりに社内ビジネスカレッジ受講者数も2年で1.6倍に増えました。こうした調査結果を見るだけでも、スマートワークによっていかに生産性が高まったか、さらには従業員が働きやすくなり、意欲が高まったかがはっきりとわかります。

また同社の女性管理職比率は2015年現在41.4%に達しています。「女性を積極的に登用したわけではなく、あくまで機会を平等に与えた結果です」と長嶋は言います。

優秀な人材を活かす、新しい雇用スタイルを創出

「近い将来、子育てに限らず、両親の介護などで労働時間が限定される人がもっと増えてくると思います。多様なワークスタイルを実現できるチャンスをもっと増やし、『らしさ』の数だけ働き方がある社会を目指すことが私たちの使命だと考えています」と語る長嶋。

そうした観点から、同社では「キャリアサポーター」という働き方を実践しています。キャリアサポーターは週3~4日、時短勤務で、株式会社リクルートスタッフィングの派遣スタッフと、派遣先の企業の間に立ち、お互いにとってよい関係を築けるように調整する仕事。子育て中の女性などを中心に、限られた時間でもやりがいを感じられる仕事への就業を実現しています。

今後は時間の許す限り行動量で上げた成果ではなく、時間あたりの生産性を正当に評価する企業が増えていくことが、女性だけでなく何らかの制約のある人も当たり前に働ける社会の基盤となります。スマートワークは、その先駆的なモデルケースと言われるよう、ますます進化していきます。