「一緒に働きたくない」メンバーからの苦言をきっかけに考え直した私のマネジメント

「一緒に働きたくない」メンバーからの苦言をきっかけに考え直した私のマネジメント

リクルートでのマネジャー歴10年目。周囲からの信頼も厚く、いつも冷静に客観的に物事を捉えていると評判のリクルート従業員の岡田和生。しかし、そこまでには数々のトライ&エラーがあったとか。いつも冷静に客観的に物事を捉える方法を聞きました。

「一緒に働きたくない」と 言われてようやく考えた

2014年にマネジャー任用され、営業と企画それぞれの組織のマネジメントを経験しました。しかし、いずれも苦戦しました。自分の言ったことがメンバーにうまく伝わらず、同じような業務トラブルが頻発したり、自分よりも経験の長いスタッフとうまく協働できず、スケジュールの遅延が多発。ですが、当時の私はそんなトラブル続きでも「きっとそのうち良くなるだろう」とどこか他人事でした。

ところがある日、「岡田さんと一緒に働きたくない」とメンバーから直接言われました。ショックだった一方、「私のことが好きか嫌いかはさておき、仕事なのになぜやらないのだろう?」と思ってしまったのです。今思い返すと、そんなふうに考えるなんて自分、大丈夫か? という話ですが、当時の私にはメンバーの言葉の背景が理解できず、ただモヤモヤするばかり。私の様子を見ていた周囲のマネジャーや部長からは心配され、そんな自分を情けなく思うと同時に、メンバーへ向き合うことが少し怖くなっていきました。

業務時間の8割を会話にして見えてきた違う景色

そんな折、関西で新しく立ち上がった組織を任されることに。50名近くいるメンバー全員が新人の組織。自分のマネジメントのあり方を抜本的に見直さなくてはいけないと感じていた私は、これを機に思いきって1日8時間のうち、80%をメンバーとの会話に充てることに決めました。

営業や内勤スタッフ、チーフなどいろいろな立場のメンバーたちと重ねた会話は、いつ、何回、何分、どんな会話をしたか? を立ち話も含めて全て記録。1on1ミーティングの指南書や組織開発、リーダーシップやマネジメントに関する書籍は、目につけばすがるようにとにかく読む。そんな生活を続けるうちに、これまでとは違う景色が見え始めました。

「自分と他者は違う」という当たり前の知識を、実感を持って理解できるようになったのです。メンバーの考え方や意見は多様であり、人によって、役割によって、状況によって、日によっても発言や考え方は日々変化する。役割、置かれている状況、究極的には晴れの日と雨の日でも異なる…。皆が違うことによるマネジメントの難しさはあるけれど、それはどうしようもないことで、むしろ違うことや日々の揺れを前提として、皆で組織として成果を出せるよう、やりくりする。それがマネジャーの仕事だと心底理解できたのです。「人は、常に変化している」とメンタルモデルを転換した後は、物事がスムーズに進むようになり、マネジャーとしても少しずつ頼ってもらえるようになりました。

マネジメントのあり方を見直したリクルート従業員の岡田和生

メンバーへは“What型思考”で接する

皆違うからこそのマネジメントがある。そう学んでからマネジメントで心掛けていることがいくつかあります。ひとつは、対人コミュニケーションは“Why型思考”ではなく“What型思考”をすること。

例えば、会社で見るよう定められている研修動画の未視聴者に対し、「仕事なのになぜ見ないのか?」ではなく、「何がそうさせているのか? どうしたら見てくれるのか?」と考えると、前向きで生産的な工夫が生まれます。

また、海に浮かぶ氷山のように、見えている事象だけを全てだと捉えず、水面下の背景や原因にも思いを巡らせます。見えないパターンに着目していると、仮に相手から拒絶されることがあっても、「きっと何かあったのだろう」と落ち着いて考えられます。またそれを直接本人に聞くことも、お互いにモヤモヤを抱えないポイントです。

「言わずとも通ずる」はない

そして、自分自身の内省の時間も大切にしています。自己理解と他者理解は相互に作用していると思うからです。小さなノートを常にカバンに入れておき、コミュニケーションの過程で違和感や心が乱れたことを書き、その理由を言語化します。

違和感などを書き留めるノートは同じものを何年も愛用
違和感を書き留めるノートは同じものを愛用。過去のノートも内省の履歴として保存

言語化する際は物事を客観的に見つめることになるので、自分だけでなく周囲の気持ちにも気付けるようになっていき、自分がどう伝えれば伝わるのかも見えるようになってきます。思いが伝わるようになると、意思伝達のスピードが上がり、空いた時間で実践や振り返りに集中できるようになる。結果として組織の生産性も上がっていくんです。

しかし過信はせず、大前提として「コミュニケーションはとても難しい」と常に心に留めること。「言わずとも通ずる」はないと自覚し、伝えるために理解する努力を怠らないことが重要だと思っています。

リクルートの掲げる「個の尊重」とは

リクルートに入社して15年。リクルートは大切にする価値観のひとつに「個の尊重」を掲げていますが、マネジメントで苦しんだ経験を経てようやく、その意味が分かってきたような気がしています。リクルートの「個の尊重」は、自分を尊重してくれる、という解釈だけでなく、仲間やステークホルダーの一人ひとりの考え方や物の見方を含めて尊重することだと私は捉えています。他者を尊重して初めて自分が尊重され、それぞれへの理解が深まるのではないでしょうか。人は人の数だけ多様であり、同じ人であっても、その感情は常に揺らぐもの。そう受け入れることが、お互いを尊重していく上で大事だと思っています。まだまだ未熟ではありますが、これからも内省を重ねながら進んでいきたいです。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

岡田和生(おかだ・かずき)
リクルート HRサービスDivision セールスマーケティング部 マーケティングディベロップメントグループ

大学卒業後、2008年リクルートHRマーケティング(後のリクルートジョブズ/現・HRサービスDivision)に入社。リテール営業・チーフ、企画職を経験。14年にGM任用、21年より現部署

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