両立支援 【笑顔のイクボスを目指す上司向け】 部下から妊娠報告を受けたら!?上司の心得

《早産・流産》妊娠中のリスクともしものときの部下への対応は?【上司の心得08】

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部下の妊娠と仕事の両立・職場復帰をサポートする上で、上司が知っておきたい情報を、12回にわたってお伝えいたします。

初期流産・切迫流産・切迫早産。

似たような単語ですが、状態、対策、治療法がそれぞれ異なります。今回は、上司としてある程度認識しておきたいその違いについてお伝えします。

◆「初期流産」

「初期流産」とは、妊娠12週(妊娠4カ月)未満に起こる流産のことです。胎児そのものや心拍動が認められなくなり、妊娠が終了してしまうケースが大半で、全妊娠の13%もの頻度で起こります。

◆「切迫流産」

切迫流産は、実際に流産するのではなく、「流産する恐れがある状態」のことです。この場合、赤ちゃんはお腹の中にとどまっているので、心拍が確認できれば妊娠を継続できます。症状は不正出血や軽い下腹部痛なので、無理して働き続けてしまう人も。

◆「切迫早産」

切迫早産とは、妊娠22週以降37週未満に早産の恐れがある状態のことをいいます。日常生活で無理をすることによって起こりやすいのが特徴。 安定期に入ったからと妊娠前と同じように残業したり、ストレスの多い環境で働いている人は、要注意です。

上記以外にも、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病など、妊娠中には予期しない症状が起こり、突然、仕事を休まなければならなくなることも。上司はできるだけ声を掛けながら部下の体調を気遣い、必要に応じて業務量の調整や、突然のお休みへの備えを考えておきましょう。

では、もう少し詳しく説明していきましょう。

《早産・流産》妊娠中のリスクともしものときの部下への対応は?上司の心得08

早産も切迫早産も休みに入るのが早くなる

笑顔のイクボスを目指す 上司の心得

早産について

妊娠37週0日〜41週6日までの期間を「正産期(せいさんき)」といいます。赤ちゃんの身体機能や臓器が胎内で十分に発育し、生まれてくるのに適した期間のことです。また、その期間に生まれることを「正期産(せいきさん)」といいます。それに対して「早産」とは、妊娠22週0日〜36週6日に出産すること。日本では全妊娠の約6%に起こるといわれています(※1)。けっこう多いですよね。

妊娠中の部下がもし早産になっても、大きく慌てる必要はありません。ただ、早産で問題となってくるのは、赤ちゃんの心肺機能や体温調整機能を始めとする身体機能が未熟な状態で生まれてくる可能性が高く、病気などのトラブルを引き起こしてしまったり、障害が現れたりする可能性があること。そのため、特に35週未満で生まれた赤ちゃんは、NICU(新生児集中治療室)という専門治療施設で育てる必要があります。

妊娠中の部下がお医者さんに「早産になりそうです」と言われた場合、生まれる時期をできる限り妊娠37週に近づけるため、かかりつけ医から、緊急入院や絶対安静を指示されるなど、通常の産休(34週から)よりも早くお休みに入ることが考えられます。そうなれば、そのための業務調整などを行う必要が生じます。本人も健診などで突然告げられることがあるため、不安でいっぱいなはず。部下の不安を少しでも軽減するためにも、上司としては業務調整を速やかに行いましょう。

切迫早産について

「切迫」と付くと、早産以上に危険なイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。「切迫早産」とは、早産になる可能性がある状態のこと。子宮収縮の回数が多かったり、出血が多かったりすると、切迫早産が疑われます。妊婦本人の状態や赤ちゃんの状況などで個人差はあるものの、やはり緊急入院や絶対安静を指示されることがあります。

妊娠中の部下が、かかりつけ医から切迫早産だと言われたら、それ以上働くのは無理だと思ったほうがよいでしょう。業務調整を行い、本人が安心して休み、出産に臨んでもらえる環境を整えましょう。ただ、時期や状態によっては、切迫早産から回復し、再び外出などが可能になることもあります。なお、産休前の休業は病休扱いになりますが、病休の場合、4日目からは健康保険から傷病手当金が支給されます。

※1 世界保健機関(WHO)2012年発表より

流産・死産は妊婦さんのせいじゃない

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流産について

「流産」は、産婦人科学会の定義では、妊娠22週未満の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことをいいます。実は、流産は全妊娠の10%から20%に起こるとされています(※2)。流産は決して珍しいことではありません。妊娠した部下から「流産してしまいました...」と告げられる可能性が十分にあるということを頭の片隅に入れておきましょう。

切迫流産について

「切迫流産」とは、流産になる可能性があるということ。仕事や運動をしすぎた場合などに起こります。切迫流産は、安静にするなどの治療で妊娠継続が可能なケースがありますから、かかりつけ医から切迫流産だと言われたら、やはり仕事を休んで、家か病院で安静にすることが重要。傷病手当金のことを伝え、業務調整などを行って、本人には治療に集中してもらいましょう。

死産について

妊娠12週以降に死亡した胎児を出産することを「死産」といいます。妊婦さん本人は自覚症状がなく、妊婦健診で胎児の異常や胎内で亡くなっていることを知るケースもあります。時期や母体の状況にもよりますが、死産の場合、薬で陣痛を誘発し、通常の自然分娩と同様に出産することが多いのです。その後、場合によっては解剖、そして火葬となり、死産届を提出することが法律で決められています。妊婦さん本人にとっても、家族にとっても亡くなっていると分かりながらの出産というつらい状況となります。また通常の出産と同じく1週間ほどの入院となります。

もしもの時のメンバーの対応について

部下から「流産してしまいました」「死産でした」と言われたときは、まずは親身になって本人に寄り添うことが大切です。

流産のほとんどは胎児の問題で、妊婦さんが何かしたから流産になるということは、ほぼないといわれています。とはいえ、流産をしてしまった本人は、自分が無理したことが原因では、と責めることも多いでしょう。その気持ちをしっかりと受け取めてあげてください。

また、死産は、母体や胎児の先天的な要因や病気、分娩時の感染症トラブルなどにより、その発生をゼロにはできず、必ずしも妊婦本人のせいではありません。上司としては、本人に寄り添うとともに、同じ部署のメンバーへの伝え方なども配慮が必要です。

※2 「反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)の相談対応マニュアル」(厚生労働省)
(参考:丸山哲夫「不育症の診断と治療」第68回日本産婦人科学会学術講演会 専攻医教育プログラム

健診結果をこまめに確認できる関係性を!

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流産の多くは防ぐことが難しいのですが、早産・切迫早産・切迫流産は、定期的な健診を受けることで予防・治療が可能なケースが多くあります。また、過度な仕事や運動を避け、睡眠不足を避けるなどといった日々の行動で、リスクを下げることもできます。それには、上司が妊娠した部下の仕事のしすぎを注意できるような関係を築くことや、本人がきちんと定期検診を受診できるような職場の雰囲気づくりをすることが大切です。

また、健診結果をこまめに確認できていると、安心して、状況に合わせながら業務の調整を行うことができます。いざというとき、状態を把握しているのとしていないのとでは、全然違うのです。

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