iction!×北九州市 プロジェクト

iction!×北九州市 プロジェクト

iction!は、2017年7月1日、福岡県北九州市と同市における女性の就業及び子育てとの両立支援を目的とした連携協定を締結いたしました。人材領域で多種多様な雇用形態の人材サービスを展開してきたリクルートと、女性活躍推進を最重要テーマのひとつに掲げる北九州市が、それぞれのノウハウをかけあわせて「仕事も子育てもしやすい社会」に取り組み、特に高い成果を挙げているママ向けの就労意識啓発セミナー(WORK FIT for MOM)など、これまでの活動をご紹介します。

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連携協定の背景

iction!では、「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」というゴールを目指し、女性の就業率向上に寄与するサービスの開発や、各種調査、セミナーの開催を進めてきました。

一方、連携先である北九州市は、全国的にも早くから労働力人口の減少という課題に直面してきたなかで、市役所内に「女性の輝く社会推進室」を新設するなど、女性が社会で活躍するための支援を続けてきた自治体です。女性の就職・キャリアアップ・創業・子育てとの両立をトータルでサポートする「ウーマンワークカフェ北九州」を国・県・市が一体となって開設するなど、先進的な取り組みを積極的に続けています。

民間企業と自治体。立場は異なれど同じ志を持つ私たちが、それぞれの知見・ノウハウを掛け合わせれば、日本全体の課題ともいえる問題の解決モデルをつくることができるのではないか。そうした想いの一致によって、本連携協定はスタートいたしました。

主な取り組み・実績

連携で取り組んできたことは以下3テーマです。

北九州市での女性の就業及び子育てとの両立支援連携協定取組み内容

<本協定締結時の全体像>

  • ①就業を希望する子育て中の女性の意識啓発や行動の喚起

  • ②子育てや介護等の時間制約がある中でも働ける時間帯の仕事創出

  • ③妊娠や出産による離職防止

これらの実現に向けては、iction!が持つノウハウやサービスを北九州市の地域特性にあわせてカスタマイズしたものや、リクルートグループの各種事業とのタイアップなど、様々な取り組みを実施。自治体との連携により、北九州市内の企業や女性の課題・ニーズによりフィットしたアプローチを行っています。

主な活動内容

WORK FIT for MOM(ママ向け就労意識啓発セミナー)

子育て中の女性やプレママを対象とした、無料の就職応援プログラム。リクルートが人材事業で培ったノウハウを活かして若者向けに実施してきた「WORK FIT(ホンキの就職)」を、"ママたちへの応援プログラム"として再構築したもので、「育児、お金、働くこと」について考えながら、自身の強みを自覚し、就業意欲を高めていくことを支援しています。

セミナー受講後のアンケートでは、「自分らしい働き方のヒントや情報を得られたか」の問いに対し、97.8%が肯定的な回答をしており、3か月後には9割を超える参加者が、このセミナーによって、就職活動や働くことへの意欲につながったという結果に。ママ自身が働くことをポジティブに考え、行動に移すきっかけになっています。

(2017年2018年終了後アンケート結果より)

(2017年2018年3か月後アンケート結果より)

企業向けセミナー

年数回、北九州市周辺の企業向けに、人事や経営層を対象としたセミナーを共同開催しています。2017年は潜在労働力を呼び起こす具体的な手法として「超短時間勤務(時短JOB)」について講演。主婦やシニアなど多様な人材を活用する有用性を、市が行った未就業女性の就業ニーズ調査結果や地元企業の実践例も交えながら紹介しました。

2018年11月には「人手不足解消と企業の持続的発展へ向けた2つの改革」と題し、人手不足時代を生き抜くための「タスク・マネジメント」という発想を講演。「働き方改革」や「業務改革」の最新事例、北九州市内の地元企業による改革事例などが発表されました。

2月には女性のキャリアとライフをテーマにしたイベント「働く女性のキャリア&ライフカフェ」を開催。"新たな時代に、自分らしく輝くために"と副題を掲げたこのイベントには、キャリア形成や家庭との両立に悩む女性はもちろん、企業のダイバーシティ推進担当や男性も含め、約100名が参加。各セミナー4ヶ月後に参加者にアンケートを行ったところ、セミナーをきっかけに企業で雇用形態を見直したり自身のキャリアを見直したりと変革を進めておりセミナー参加企業の4割以上が超短時間勤務の雇用を増やしているという結果や(「潜在労働力を呼び起こす具体的な手法とは?」セミナーより)、約9割の参加者が人事改革と業務改革をセットにした働き方改革を検討した、という回答も得ており(「人手不足解消と企業の持続的発展へ向けた2つの改革」セミナーより)自治体との連携によって、地域企業の雇用を支援することの有用性が示されています。

(2018年3月時点 フォローアップアンケート結果より)

(2019年3月時点 フォローアップアンケート結果より)

iction!みらい家計シミュレーション 北九州市版

iction!が全国向けに展開する「iction!みらい家計シミュレーション」を、北九州市の標準的な教育観などにあわせて、より市民の実態に則したツールへとバージョンアップさせました。
PCやスマホで誰でも無料で行えるという利便性はそのままに、セミナーやイベントなど自治体と市民との接点のなかでも積極的に活用。利用後のアンケートでは「働くことに気持ちの変化はあったか」の問いに対し、利用者の6割以上が肯定的に回答。仕事に就く、または働き方を検討するなどの意識の変化が見られます。また、「家計シミュレーションの結果を家族にも共有したい」と答えた人は7割以上。家計や就労に関して家族で話すきっかけにもなっています。

(2019年3月時点 終了後アンケート結果より)

(2019年3月時点 終了後アンケート結果より)

活動成果

本連携協定では、上記3つの取り組みの成果を社会的インパクトの大きさを測る指標であるSROI(※)を用い、貨幣換算しています。2017年~2018年度において、全体では投資額に対する付加価値は14.64倍と非常に高い結果が得られ、各取り組みについても有効性の高さが実証されました。

※SROI(Social Return on Investment)とは...
SROIとは、社会的インパクトの大きさを定量化・貨幣化して評価する手法のこと。企業が投資対効果を測るうえで用いるROIを、「社会的投資効果」に置き換えたものであり、SROIの値が1のときは、投資に対する効果が1倍。値が大きいほど投資対効果が高いことを示す。(本文中の評価は、株式会社公共経営・社会戦略研究所による第三者評価で示されたもの)

自治体の声

「お互いのノウハウを掛け合わせたことで、行政サービスの幅が広がりました」

――北九州市 総務局 女性の輝く社会推進室 女性活躍推進課のみなさん(2018年3月時点)

働きたいという想いはありながらも、「育児と両立できるのだろうか」と不安を感じて一歩踏み出せずにいる。そんな北九州市の女性の想いにフィットした取り組みが、iction!との連携によって続々と生まれています。また、企業への働きかけについても、これまで様々な企業の人事課題を支援してきたリクルートのノウハウは納得感があり、自治体にはない観点を取り入れられたと感じています。市としてのサービスの幅も広がり、私たち自身もより積極的に企業や市民のみなさんへアプローチしていけるように。これからも自治体の枠に捉われない連携によって、誰もが自分らしく活躍できる社会にしていきたいですね。

企業の声

「女性と上司、それぞれの課題にフィットしていて活用しやすい」

――株式会社安川電機 山崎 美和様

当社では、『カムバ!』『カムバ!ボス版』の活用がはじまっています。女性活躍は、マネジメントと女性自身、双方の意識変革が必要不可欠。妊娠~職場復帰までの女性の不安を解消するのと並行して、妊婦やワーキングマザーのマネジメントに慣れていない上司にも具体的なヒントを提示できる、即効性の高いツールだと思います。

「超短時間勤務の導入で、フルタイムの女性にも働きやすい職場に」

――極東ファディ株式会社 吉水 請子様

iction!×北九州市主催のセミナーで「時短JOB」の話を聞き、導入しました。3時間という超短時間勤務は人手不足の解消だけでなく、女性の働きやすさにも影響。店舗を運営する当社では、防犯や業務量の観点で人手が必要な時間帯を増員したところ、女性社員の心理的負担・不安の軽減につながり、店長を目指す女性が増えています。

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