多様な働き方

テレワークはアフターコロナも定着するかーケイコオカ

テレワーク

2020年09月18日 転載元:リクルート ワークス研究所

テレワークはアフターコロナも定着するかーケイコオカ

「コロナ渦」で注目された働き方―テレワーク

2020年、日本をはじめ世界各国は、新しい挑戦を強いられることになった。言うまでもなく、新型コロナウイルスとの闘いである。過去20年を振り返ると、2003年のSARSや2012年のMERSなど、ウイルスの流行はけっして珍しいことではない。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症のインパクトはSARSやMERSとの比ではなく、私たちの生活様式を変えるほど大きく、また、長期にわたるものになりそうである。「ソーシャルディスタンシング」という耳慣れない言葉が日常的に飛び交い、風邪やアレルギーがなくてもマスクをして外出することがスタンダードになり、企業も店舗も人間も、変化への対応を強いられている。

そうしたなかで注目を集めたのが「テレワーク」である。

テレワークはそれほど新しい働き方というわけではない。約30年前の1991年に現テレワーク協会の前身である日本サテライトオフィス協会が設立しており、その当時、新しい働き方としてメディアでも紹介されていた。

情報通信技術の発展とインターネット利用の浸透によって、職種によっては、機器さえそろえばどこでもいつでも仕事ができる時代になってきている。特に、今回のようなパンデミックによって外出が制限される時には、企業と働き手の両方によってテレワークという働き方が便利になる。厚生労働省が、働き方改革推進支援助成金に新型コロナ対策を目的とした取組みを行う事業主を支援する特定コースを時限的に設けてテレワークの導入を推奨しているほか、東京都も事業継続緊急対策(テレワーク)助成金を設置するなど、テレワーク導入への支援体制は広がっている。

日本の企業におけるテレワークの導入率は、1999年にはわずか0.8%だったが、2019年には20.2%にまで増えている(総務省通信利用動向調査)。政府は労働人口減少対策、生産性向上の手段として、テレワークを推進しており、2020年のテレワーク導入企業率を2012年の11.5%比で3倍の34.5%にしたいという目標を掲げている。目標達成は厳しいように思われていたが、ここ数カ月の間にテレワークを導入する企業が一挙に増えた。東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウィルス感染対策のために、在宅勤務を「実施した」企業は55.9%(2万1,408社中、1万1,979社)であった。企業規模別では、大企業の83.3%(3,302社中、2,752 社)が「実施した」のに対し、中小企業では50.9%(1 万8,106社中、9,227社)にとどまっているが、これは社内インフラの整備、人員充足度などの違いが 背景にあるとみられる 。気になるのはパンデミックが収束した後に、テレワークがそのまま定着するかどうかである。

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