19歳はリフト券が無料に

ウィンタースポーツ離れで苦境に立たされていたゲレンデに若者を動員し、右肩上がりの成長をもたらせた魔法のような取り組みがあります。それが、19歳であれば何度でもリフト券が無料になる“雪マジ!19”。『じゃらんnet』が考案したこの取り組みがどのように始まり、社会にどのようなインパクトを与えているのかご紹介します。

※2011年に始まり、現在は160以上のゲレンデが参画する『雪マジ!19』。
19歳ならリフト券が無料という施策でゲレンデに若者を集め、ウィンタースポーツの振興に貢献している。

20歳までに経験しないと、一生ウィンタースポーツを経験しない!?

『0円という、魔法』をコンセプトに『雪マジ!19』がスタートしたのは2011年。バブル期に到来した空前のスキーブームが1993年をピークに終息し、客数が激減したゲレンデは苦しい状況に陥っていました。「このままではウィンタースポーツが減退していき、業界どころか、雇用や産業を支える存在を失って地域全体が存続できない」という相談が長野県から『じゃらんnet』に寄せられたのが発端でした。この課題を解決するために調査を行ったところ、『いま子連れでゲレンデに来訪しているファミリー層は、若い頃にウィンタースポーツを楽しんだ経験のある人』、加えて『20歳までに経験しないと、それ以降にウィンタースポーツを始める人は少ない』ことが見えてきました。つまりウィンタースポーツを継続的に盛り上げるために、若者の参加率を高めることが欠かせないと分かったのです。

一方、スマートフォンが普及したことで若者の価値観はスキーブームの頃とは大きく変わっており、友だちとのコミュニケーションから娯楽まで、スマートフォン1台で完結してしまいます。バブル期と比べて趣味に費やすお小遣いも減っている状況も踏まえると、ウィンタースポーツはハードルの高い遊びと言えました。
しかし、様々なことに興味を持ちチャレンジが出来る時期に、お金が理由で経験出来ないということは避けたかった。そこで『じゃらんnet』が考案したのが、お金のハードルを取り除く『0円という、魔法』でした。19歳の利用者のリフト券を1日無料にすることで、一人でも多くの若者が新しい経験にチャレンジする機会を生み出し、またゲレンデに活気を取り戻したかった。そんな想いを聞いたウィンタースポーツ業界からは「収益の柱であるリフト券を無料にするなんてありえない」という疑問の声があがりましたが、それでも効果を確信していた『じゃらんnet』が働きかけることで参画ゲレンデは増えていき、記録的な集客に成功しました。当時を知るゲレンデの方々には、どのように映っていたのでしょう。『雪マジ!19』がスタートした翌年2012年から参画してくださっている株式会社舞子リゾート様にお話を伺いました。

写真左 スマイルリゾートが運営する株式会社舞子リゾートで副支配人を務める伊島達也さん。
写真右 学生時代に『雪マジ!19』を利用し、現在は株式会社舞子リゾートで勤務する鈴木俊登さん。

期待したのはゲレンデだけでは起こせないムーブメント

新潟県南魚沼郡湯沢に本社を構え、スキー場のほか、ゴルフ場やスポーツ施設を運営しているスマイルリゾート。『雪マジ!19』の導入を推進してくださったのは、同社が運営する株式会社舞子リゾートで副支配人を務める伊島達也さんです。
「『雪マジ!19』を導入する前はかなり苦しい状況でした。いまでも忘れられないのが、あるイベントで若い人から『舞子?知らない』と返されたこと。あれは、悔しかったですね。そうした状況でしたから『雪マジ!19』の話を聞いた時、参画したい!と強く感じました。ゲレンデの収益源であるリフト券を無料にするのは大きな賭けでしたが、多様なノウハウがあるリクルートの提案なら信じられると本社に提言したのです。ウィンタースポーツの人口が減っている状況は私たちのゲレンデだけでは改善できませんが、リクルートならムーブメントを起こしてくれるのではないかとの期待がありました。実際に参画してみると、予想を超える大きな反響があり、私たちのゲレンデと相性の良い、ウィンタースポーツビギナーの若者をたくさん集めることができたのです。それを機に何度もリピートしてくれるお客さまも多く、将来、結婚したら家族で遊びに来てくれるのではないだろうかと、一過性に終わらない手応えがあります」と伊島さん。

一方で気になるのが収益性ですが、この点においても期待以上だったと言います。「若い人は施設内のレストランでお腹いっぱい食べてくれますし、用具の購入やレンタルで還元してくれるので業績も上がりました。嬉しいことに効果は私たちのゲレンデに留まらず、近隣の宿や食事処、お土産屋にも波及し、町全体が若返ったような活気が生まれています」さらに『雪マジ!19』の効果を実感する伊島さんは、舞子スノーリゾート独自の取り組みにも意欲を燃やしていると言います。「より多くの若者に楽しんで欲しいとの思いから、対象年齢層を広げた“雪マジ世代応援プロジェクト”を独自で展開しました。私たちが一歩踏み出すと、他のゲレンデからもやってみたいと反応もあって。これからも多くの人にゲレンデを楽しんでもらえるような取り組みを続け、ウィンタースポーツ業界も、地域全体も活性化していきたいと思っています」

『雪マジ!19』参画を経営陣に提言された伊島さん。副支配人の仕事だけでなく『雪マジ!19』と連動するオリジナル企画の推進やイベントへの出展、他のゲレンデのプロモーション担当との連帯を通じ、ウィンタースポーツを盛り上げています。

スキーの面白さを感じる側から伝える側へ

一方、鈴木俊登さんは『雪マジ!19』でスキーを楽しんでいた学生時代から、株式会社舞子リゾートで働く現在までの心境をお話しくださいました。 「最初にスキーを経験したのは幼少期ですが、それからはブランクがあります。水泳を始めてからはプロを目指そうと夢中になっていました。大学に入り、先輩から後輩に語り継がれて利用されている『雪マジ!19』を知り、再び頻繁にスキーを楽しむようになりました。学生にとって"無料で"スキーを楽しめるってすごく重要で、ゲレンデを探す時は『雪マジ!19』を使うのが当たり前。無料だから何度も行けるし、スキー未経験の友人も誘いやすかったです」 ゲレンデに足を運ぶ機会を重ねるにつれ、人よりもスキーが好きで、得意だと感じるようになったと言う鈴木さんでしたが、そうした中で一つの決断を下したそうです。

「水泳のプロになるには実力が足りないと痛感し、夢を諦めることを決めたのです。これから何を目指せばいいのだろうと途方にくれていた時、思い出したのはスキーでした。自分自身が大好きなスポーツであることはもちろん、未経験の友人にスキーを教え、楽しんでいる姿を見るのがとても嬉しかった。その気持ちが、ゲレンデで働くという決意につながりました。実際に舞子スノーリゾートで働き始めてからは、ますますスキーの楽しさを実感する日々です。今はスキーが初めてのお客さまに指導する仕事や、ゲレンデの魅力を多くの人に知ってもらえるよう広報の仕事をしています。スキーを楽しむ側から、楽しさを伝える側にまわったことで、世界が広がりました。これからは、ウィンタースポーツ業界そのものを盛り上げていけたらと思っています」と話してくださいました。

就職を機に出身地である三重から南魚沼に移り住んだ鈴木さん。学生時代にスキーで訪れたことのある土地で新しい生活を楽しんでいると言います。

データで見る『雪マジ!19』のインパクト

株式会社舞子リゾート様をはじめ、現在160以上のゲレンデが参画する『雪マジ!19』。ユーザーの会員登録数、参画ゲレンデ数ともに右肩上がりで伸び、観光業界から熱い注目を集めています。さらに現在は『マジ☆部』という形で対象を拡大し、マリンスポーツ、ゴルフ、温泉なども展開しています。観光産業の振興に寄与していたことが評価され、2015年には観光庁長官賞を受賞しました。『じゃらん』はこれからも『0円という、魔法』で観光産業を盛り上げます。 雪マジ!19 需要創出アクション数(※1)

2019-2020年は降雪量が少なかったため減少しましたが、年々ゲレンデへの来訪回数が上昇傾向にあります。 ※1『雪マジ!19』会員アンケートで『雪マジ!がなければゲレンデに行かなかった』と回答した割合を会員数に割り戻し需要創出人数を算出。需要創出人数×平均雪山来訪回数を需要創出アクション数としています。

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